密かに、本気に@





(平松源太)


星の里高校の女子の部活で強い部活は大半が恋愛禁止。特にその原因となった女子バドミントン部は厳しい。ソフトテニス部、ソフトボール部なども女子の部活は恋愛禁止しているみたい。男子ソフトテニス部は今のところはまだ大丈夫だけど。

自分は体育科に在籍してるから、その辺の部活の女子との絡みも多い。そして、恋愛禁止ながらも好きな人がいる女子や、既に関係が成立しているところもあるらしい。同じクラスのサッカー部の男子とソフトテニス部の女子もそうだし、部活の人だと1つ上の中藤先輩もそうだった。

ソフトテニス部の後輩の内藤駿芽も、俺と同じクラスでソフト部の菊崎愛結と関係が成立しているぐらいだ。付き合ってはないらしいけどね、両片想い状態っていうの?



まあ俺も、その1人なんだけどさ、実際。







星の里高校は、2年生の1度だけクラス替えがある。その中でも俺と蓮は奇跡的に3年間同じなんだけどさ。

他にもずっと同じの女の子がいる、それがバドミントン部の濱口百菜。俺が学級委員長、百菜が副委員長としてこのクラスをまとめている。気の合う性格なので、1年生の頃から仲は良い。






発端は2年生の秋頃。北春日での新人戦の県大会が終わり、次の日の祝日には、かなり珍しい休日の部活オフ。平日の部活オフならあるけど、休日になんて、こんなことなんて滅多にない。ということで、昼過ぎまで寝てしまった。


起きて、家には誰もいない。近くのコンビニに買い物に出ると、そこで出会ったのだ。
百菜は部活終わりに飲み物を買いに来た程度だ。なんか、コンビニのカフェラテが飲みたかったらしいとかで。


俺の家から星の里高校は近いから、よくこうやって近所に出るだけで色々な人に会うんだよね。あとは体育科の友達とかは、寮生多いから。というか体育科2年で学校すぐ近くに住んでんの、俺と女テニの萌絵くらいだろう。

百菜はさくら市の星華中出身。だから寮生なのだ。星華中といえば、西星高校でも大活躍している長島泰聖くんや、花田陽介くんの出身校だなと俺も聞いた事がある。その人たちと中学の同級生ってことだ。


その、会った時に百菜のほうから告白された。された当時までは何も思っていなかった。だからそこから意識するようになった。
でも百菜はバドミントン部。って分かっているのにも関わらず、段々と、好きになってしまった。



結果、俺の方からも気持ちを伝えたのはその2ヶ月後の話。そこから、今の自分たちの関係は出来上がった。






以降、部活の後とか、たまに俺の家にも来るようになった百菜。この状態がかれこれ、現在進行形で続いている。どころか、もう、ここまできたら離れられない。

キスだってその先だって、ある程度のことは済んでいる。むしろ、ここでしか、こんなことしか俺らはできないんだから、今は。




「百菜は本当に、誰にもこのこと話してないの?」
と俺は聞いてみる。

「中学の親友以外には話してない。この前の愛結の事件見て、星の里の人には余計に言えなくなったよね」
「それは、あるけどさ。」


実は愛結と駿芽が密かに想い合ってたことを、ある生徒のせいでソフトボール部の顧問にまで伝わってしまい、大事になったのだ。つい最近。愛結のせいでソフト部を辞めたという人が起こしたらしいが、ただの恨み晴らしじゃん。

それで駿芽も俺の部活の後輩で、レギュラーとしてもかなり貢献してくれている1人だ。春休み中の高校選抜の遠征前に発覚したことなので、夜に抜けては顧問の薄井先生に自らその話をしに行ったたんだ、駿芽は。
まあ話の途中で部長の俺も呼ばれたけどさ。駿芽あの時、ガチ泣きしてたし。



「そんな光景目の当たりにしても離れられないから、やっぱ俺は百菜こと好きなんだわ」
「何、いきなり。照れるからそんなの言われたら。引退まで待ってて。」
「うん、それは分かってる。」


実際俺らってもう付き合ってるも同然。人前に出れないだけで。

こんなはずじゃなかったのにな、こいつが告白してくるから。










「じゃあね」
「うん、バイバイ」

いい時間になったので、帰ろうとする百菜を玄関まで見送った。本当は寮まで送ってあげたいけど、仕方ない。それは、夏にならないと。




と、百菜が帰ろうとして家のドアを開けると、そこには俺ら2人にとって見知った人間がいた。

そう、蓮だ。

そのまま百菜は帰ったが、蓮は驚いた顔をしている。そりゃそうだ。俺の家来ていきなりこいついるもんな。


「ちょ、来るなら連絡しろ」
と俺はとりあえず蓮に言った。
「いや、してるのに返信しないのそっちじゃん。だから来たんだし」

スマホを確認してみると、蓮からのメッセージと不在着信が多数。その更に前には山岡と飛鳥からも。あ、すいませんっした。


「飛鳥のカバンにお前の財布入ってたらしいから、なかったら困ると思って届けに来たけどさ。なんで百菜いんの?」


と、聞かれ、俺はつい無言になる。


「まさかお前ら隠れてコソコソ付き合って……」
「みたいな状態。」
「まじかよ、全然気づかなかった。いつからよ?」
「いやとりあえず時間ある時詳しいこと話すから」
「じゃあ明日の部活終わりな」

というわけで今日はこの辺で蓮も帰ってもらった。いや、バレたかー。
これどう説明するべきか。一晩で考えれるわけねえや。まあいいか、こいつなら。





次の日の、日曜日の部活は15時終わり。その後に、蓮は待ってたかのように帰り支度を一瞬で終わらせ、俺を連行しようとしていた。


「俺やること終わってないから待って。それに全員出るまで帰れないんだから」

と、行く気満々の蓮を止めるように言う。
俺の立場考えてみろ。部長だわ。部室の鍵閉めしなきゃだわ。




まあそんなことも終わり、一緒に学校近くのファミレスにでも入る。まあ、おやつ程度にね。



「いつから百菜のこと好きだったの、俺何も知らないんだけど」
「だって言ってねえもん。最初は向こうから告白してきて、それで俺も好きになっちゃった感じ」
「ふえー。ずっと仲良いとは思ってたけど」
「それは1年から仲良いですけど。付き合ってるも同然な関係になったのは昨年の秋とか冬ぐらい。」


ダメだダメだ、と思い込むほど百菜のこと好きになる。いやもう俺、ダメだわ。
もう後戻りなんてできっこないし。



「まあ、駿芽と愛結のことあったから、今バレたらテニス部もやばくなりそうだけどな」
「本当にさ。駿芽の件は薄井先生は許してくれてたけど、ここで実は俺もでしたーってなったらどうなるか。一応あの時俺も呼び出しされたし」
「もし万が一のことあったら俺も被害者?」
「どころか飛鳥とか色々と被害者いるわ。まあ、気をつけるわその辺は。」


薄井先生は懸命な判断だったが、駿芽の件は許した。けど、次はない、とのことだったらしい。高校選抜の直前だったもん、あの時は。

俺たちソフトテニス部3年生も最後の夏が迫っている。個人戦もだけども、昨年先輩達が果たした団体でのインターハイ出場。今年も果たしたい。



「でも俺、駿芽よりやばい。駿芽たちは別にキスしたぐらいじゃん」
「お前の言っている意味分かった。」
「まあ分かってくれたのなら説明はしない。」
「家に連れ込んでるだけあるもんな」
「俺ん家しかあーやって会えるとこないもん」
「そういう人だったんだ源太って」
「いくらでも言ってくれ。それが事実なんだから」


すぐ意味合いわかってくれるとはさすがこいつだわ。恋愛マスター。
俺も過去に好きな人できたこともあったし、付き合った経験もあるけど、ここまで好きになったのは百菜が初めてかもしれない。



「まさか高校生のうちに源太のガチ恋見れるとはな」
と蓮には少々馬鹿にされる。いやまあ、俺が1番思ってるよ。

「好きすぎて仕方ない。」
「もう末期だわお前」
「本当にどうにかしたい。」


自分じゃ抑えれない。もう。

中学時代の恋愛とは比べ物にならないぐらい、今の恋のほうが本気度は高い。本当はもっと一緒にいたいし、色々なことしたい。

出来れば一緒にお出かけとかもしたいけど、今そんなことしたら、また男子ソフトテニス部か、なんてなりそうだし。面倒事は避けたい。けど恋心は強くなる一方だ。





まあ、俺もしばらくはまだ、ひっそりと恋しているよ。あと数ヶ月、上手くいくと、いいけど。