僕の中での彼女の存在
(吉岡徹也)
自分の今までの恋愛を振り返ると、やはり今の恋愛は自分の中でも違うな、と思うところはある。それほど彼女に、本気なんだろうね。
今までは告白されて付き合うことが多かったけど、どうも上手く付き合えなかったんですよね。
今の彼女、新見唯香とは高校で出会ったクラスメート。バスケで星の里高校に進学したという唯香だが、部活内で色々とあって、1年生の夏に退部している。
唯香と俺が話すようになったのは高校に上がってすぐだ。同じクラスに、同じ北春日市出身の人は唯香しかいなかったから、話も合った。唯香の通っていた中の島中も、男子ソフトテニス部は強いから、知り合いも多かったし。
唯香が部活を辞めようかという相談も俺が受けていた。色々と俺も意見言ったけど、まあ結局退部しちゃったから、力になれてなかった気がしたけど。
唯香のことを好きになったのは、知り合ってから早かったと思う。初めから可愛いなと思ってはいたけど、話していくうちに、気づいたら好きになっていた、みたいな感じで。
俺は1年生の9月に、人生で初めて自分から告白した。唯香も笑顔で返事してくれて、そこから俺達は交際がスタートしている。
でも部活仲間とか見てると、結構みんな彼女にベタベタしてたり、既にエッチまで済んでる奴も多い。俺はそんなこと、できるのかな、なんて思っていた。前まではね。
それまでも手繋いだりとかキスしたりとかはしてたけど、2年生に上がって少し経ってからだろう、俺が唯香に触れたいって強く思い始めたのは。あんなことまで考えちゃうし。
自分でもびっくりしているし、周りに相談してもびっくりされている。俺も部内では純粋キャラで通っているらしく。まあ、あいつらに比べたらそうかもしれないけど。
6月、県総体が終わってそのまま、大会を見に来ていた親の車で実家に一時帰省した自分。次の土曜日は部活休みなのでね。北春日市と江南市は交通の便が良い地域なので、行き来しやすいんだよね。だから日帰りでも全然余裕ってくらい。
その土曜日は唯香と遊ぶことになったのだが、唯香もこの日は北春日に来て一緒に遊ぶことになった。
本当はお互い寮生だから、学校の近場のカラオケ行って何か食べてその辺ブラブラするだけだったんだけど、そろそろ彼女紹介しろって、大会後の西の森からの帰り際に、親に言われてしまったから、急遽唯香にも北春日に来てもらって、俺の家に呼ぶことにした。
唯香が家に来た途端に、やはり騒がしくなった吉岡家。だいたいいつもこんな感じだわ。
「ごめんね、うるさくて」
俺は一応、謝っとく。
「いいよ全然。吉岡家楽しそう」
「まあ、イベント事とかは盛り上がるね。」
俺の親はまあ、唯香に色々と話しかけるよね。そういう性格だから、両親共に。
だから中学のソフトテニス部のメンバーと県大会で会うとすぐ話しかけたがるし、というか、元ペアの玲矢たち東陽高校のメンバーとも親しくなってるから流石に面白いわ。
「あの徹也がベタ惚れしてる女の子なんだもんなー」
と、家にいた兄ちゃんにも言われる。俺の兄は俺より3つ上で、現在は専門学生。高校まではサッカー部に入っていて、この人も結構モテるし彼女変わるしなんだよなぁ。今の彼女とは安定して1年半くらい続いているらしいけど。
「うるさい、つーかなんで知ってんの」
「玲矢とその友達情報」
「結局あいつかよー。」
「この前会ったんだよ。部活帰りの玲矢と。その時に言ってた」
玲矢もこういう話だけすぐベラベラ喋るから俺の家族にも広まるんだよ。まあ俺的には玲矢が1番話しやすいっていうのもあるんだけどさ。あいつに彼女できたら仕返してやろうかな。いやなんか最近の玲矢も良い感じの子いるみたいだけどな。まあそんなことはいいや。
母さんとか張り切っちゃって、ご飯作っちゃってるし、俺の家族と唯香も一緒に、昼食を食べた。
しばらくして、部屋に上がると、俺は途端に、唯香にキスをする。
「なに、今日積極的じゃない?」
「なんか、そんな気分になった」
だって、やっと触れられるもんね。普段だと、中々二人きりなれる場所がないからね。お互い寮生だから余計に。
しばらくは口付けを交わし続けた。こんなの自分じゃないみたい、って言うぐらい。
今の自分はとても興奮状態。とりあえず、触っていたい。そんな気持ちが強い。唯香の胸に手を当てると、俺はそのまましがみつく。
「確かにまあ、最近すぐ触ってくるもんね。欲求不満?」
「かもしれないね」
「まあ、嬉しいよ。今までからの徹也見てたら」
「俺も結局こうなっちゃった。唯香が可愛すぎるから」
「ありがと。」
唯香からもキスをされる。
「私脱いだほうがいい?」
「それは任せる」
「本当に直に触りたいくせに、かっこつけて」
「別にかっこつけてないし」
「まあいいよ。徹也も上脱いで」
「……俺もかよ。」
まあ、慣れないながらも、お互い上脱いで、そのまま俺は唯香のことを後ろから抱きしめた。
「なんか徹也、これだけでもエロすぎ」
と、俺のことをまじまじと見ながら言う唯香。
「それ言っちゃ唯香も、可愛すぎる。というか、このままだと俺もう我慢できないよ」
「あはは。好きなようにしていいよ?」
まあ、まさか自分にも、こんな早くに、こんな日が来るとはなぁ……。
とっても幸せな時間だったよ。
それから10日くらい経ったであろう。部活終わりに突然、駿芽に質問される。
「ここ最近の徹也って、彼女にべったりしてない?」
と。
「まあ、前よりは……ね。」
と俺は一応返しとく。いやこう言う時ってみんな正直にヤっただのなんだの言ってるけど、言えねえよこんなの。でも一部の人には相談に乗ってもらってたし、いつかは言おうと。
「絶対なんかあった」
と後ろにいた飛鳥にも言われる。
「なんもないよ?」
「嘘つけ。最近本当に教室でもお互いベタベタ触ってるじゃん。嫌味みたいによ」
確かにまあそれは、無意識でした。
飛鳥とは同じクラスなんですよね。だから普段から見られているってわけだ。しかも飛鳥だから、意外とこういうの察するの早いんだよな。言わないだけで。
「誰だよ、東海遠征の時あんな質問してきたの」
と近くにいた健一まで話に入ってくる。
「まあー、ね?」
「まってもしかしてお前本当に…」
健一は多少びっくりしながら、俺の腕を掴みながら聞いてくる。
遠征の時に、飛鳥と健一と怜樹には、相談してたんだよ。
俺もつい、にやけてしまった。
「徹也も男だったわ、以上」
と飛鳥に言われる。
「え、そういうことで捉えていいの?」
駿芽にもびっくりされながら言われる。
「とりあえず今度ちゃんと話すから!!!」
まあ、一瞬でバレちゃったけど、いいや。
その次の週末に、自分は大会があった。全国交流大会。4月の東支部予選を勝ち抜いた俺と駿芽も、出場する。そしてこの日は唯香も見に来てくれていた。結果はともあれ、まあ楽しかった大会だった。唯香が俺の大会を見に来るのははじめてだったし。
「お疲れ。」
「ありがと。」
唯香から飲み物を差し入れしてくれた。ありがたい。
もう今回は出番が終わったので、あとは平松志村ペアの試合が終わるまでフリーなんだよね。しかも先輩たちの試合もまだまだだし。
「やっぱ徹也、かっこいい。モテるのも分かるわ。なんか、悔しいけど。」
「え、妬いてる?」
「まあ、普段からそうですけどー。そのイケメンオーラ周りに見せちゃって。だから今でも告白よくされるじゃん」
「されるけど。なに唯香、可愛いこと言うじゃん」
俺はつい、唯香の頭をポンポンした。
「まあでも、徹也のあんなところ見れたのも私が初なんでしょきっと?それは嬉しい」
「というか、好きな子に俺からここまでしたのも唯香が初めてだから。それほど好きってことだから。不安にならなくても。」
「照れてる可愛いー。ありがとう。」
なんて話していると、後ろから
「おーい、人前でイチャイチャするなそこー。嫌味かー。」
と、駿芽に茶々入れられた。
ってまあ駿芽も、付き合う寸前の女の人いるけどな。
「つーか徹也たち、前よりもかなり寄り添ってる感じするし、ラブラブだし、羨ましいわ」
「そう見えるなら良いんだけど…。」
「最近の徹也変態化してない?唯香ちゃん大丈夫?」
と、駿芽も面白半分で唯香に聞く。
「いや、大丈夫じゃない」
と笑いながら答える唯香。
「いや、おい」
「だって本当じゃん。むしろ前まで逆だったもんね。あ、でも本当はしたくてしたくて仕方なかったけど、徹也ができなかっただけか」
「馬鹿にすんな」
「多分それ」
「駿芽も乗るな」
いや、2人とも馬鹿にしやがって。
でも確かに今思うと、前までの自分がバカバカしく思えるかな。とっととやってしまえば、良かったのに何を躊躇っていたのか。まあ、1度やってしまえば余裕が出てくるってことだ。
俺はまあ、少し、前よりも大人になれたのかなとは思うよ。唯香のおかげで。
今後も彼女のことを精一杯、愛していきたいし、幸せにさせたい。そして俺も、今後も楽しみたい。