「こんな不細工貰う男の気が知れねえなあ」
獪岳はそう言って、私の鼻をぎゅっと摘まんだ。ふわりと桃の香りがして、よく食べているからきっと染み付いてしまったのだろうなと笑う。それがどうやら、鼻を摘まれて喜んでいると思ったらしく、気色悪いと言われてしまった。そうではないのに。
「まあ、いいんじゃねえか。良かったな、貰い手がいて」
「何がよ。私、知らない男の人と暮らすより獪岳と鼻摘みあったりしてる方が好きよ」
「何だそれ、変なやつだなぁお前」
獪岳がからからと笑う。それでいい。それがいいのだ。
とうとうお嫁に行く日になって、最後に獪岳に挨拶しようと思っていたのに、いつの間にか彼は鬼殺隊の選抜試験に行っていて、今はいないらしい。






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