あいつはうちの部署の女性社員たちみたいにぺらぺらとよく喋るようなタイプではなかったけれど、自分が言いたいことははっきりと口に出す女だった。「好きです」その一言はその言葉が本来持っている意味だけではなく、あの女の様々な感情も含んでいた。こちらの反応に対する恐れ、絶対に通じ合うことはないだろうという諦め、それでも捨てられないほんの少しの希望。そういったものまで嫌でも感じさせられる、真っ直ぐな物言いだった。あまりにも向こうの感じていることが勝手に伝わってくるもんだから、こっちが何か感情的な言葉を一言でも発しようものなら、同じように俺が思っていることの全てがあいつに筒抜けになってしまうんではないか、という気がした。だから、これ以上どんな感情も入り込める隙がないくらい鋭い言葉で拒絶をした。優しさなんかいらない。救いになり得ないその場を取り繕うだけのそれは、互いにとっての毒のようなものだ。願わくばさっさともっと傷ついて、俺から離れて行ってしまえ。