お 星 さ ま を 裏 切 っ た午 前 2 時 。






リエ「新しくね?星を発見したら好きに名前を付けられるんだって」


ゾロ「ヘェ…星に名前ね」


寒い日の夜、見張り番だったリエに付き添っているゾロ。

楽しそうに話すリエにつられるよう満天に輝く星を見上げる。


リエ「そう。素敵よね、その人だけの星になるのよ」

ゾロ「何か役に立つのか?」


リエ「役に立たないけど…」



ロマンのないゾロのセリフにぷくりと頬を膨らませて少し怒ったようにゾロを見上げる。

子供っぽいそんなリエに笑いそうになってしまうが、笑ってしまったら本格的に怒り出すだろう、と口を紡いだ。



ゾロ「で、リエは何てつけてェんだ?」

リエ「キャンディ」

ゾロ「あ?キャンディ?」


予想しなかった言葉に寒そうに毛布に包まっているリエを見上げると、彼女はにこりと笑って床に散らばっている綺麗なセロファンに包まれた飴を2つ手に取った。



リエ「キャンディ」


そしてまた同じ名を呟いてはい、とゾロに手渡す。


ゾロ「あァ…つまり腹が減ったと」

リエ「ち、違うもんっ!」

ゾロ「キャンディな星ってまた…甘そうだな」

リエ「あ、それはいいわね。甘くて可愛い星」



自分で決めた名前なのに他人事のように言い、空を見上げ目を細めて星を眺める。


リエ「あ!ゾロ!」

ゾロ「ん?どうした」

リエ「みて、流れ星だわ」

ゾロ「へぇ、見れたか?」

リエ「ばっちり見れた〜!わぁい、」


ゾロ「何だっけか?願いをかけるんだったか」

リエ「そう、3回唱えるの」

ゾロ「ふーん」



願いだとか祈りだとかそういった類のものを全く信じない、行動にしないゾロだから流れ星に願い掛けなんて言葉しか知らなかったようで3回ね…と無に呟くとまた空にキラリと星が光り瞬時に下方へと消えていく。



リエ「…あ、ねえ見た?また流れたわ」

ゾロ「あァ、見れた」

リエ「えへへーっ」



寒さに赤くなった頬を上げて楽しそうに笑うリエにつられてゾロも優しく笑い、冷たくなってしまった金の髪をそっと指で梳かす。


月明かりに照らされて輝く彼女の薄い色をした髪の毛に 星みてェだな…とそっと指に巻きつけると綺麗なブルーの瞳を向けられて 目は惑星か、なんて思案する。


リエ「わたしはね、ゾロってするの」

ゾロ「あ…?」

リエ「新しい星の名前、ゾロにする」

ゾロ「キャンディはどうした」

リエ「あれは適当に言っただけ〜」



可愛いものが好きな彼女、てっきり響きもそれらしいキャンディ≠ノすると本気で思っていたけれどどうやら違うようで 、 照れたような顔でゾロにそっと身を寄せる。



リエ「ゾロと新しい星を見つけてね、ゾロって名前をつけるの」

ゾロ「おれァ自分の名前を星につけなきゃならねェのか」

リエ「ふふ、普通はそうものなのよ?でも、わたしは絶対ゾロがいいわ」

ゾロ「何でだよ」

リエ「だってね、もしゾロと離れ離れになっちゃっても夜になるとその星が現れて…空を見上げたらゾロって星が輝いてて、ほら寂しくなくなる!」

ゾロ「くくっ…それじゃおれが死んだみてェだな」

リエ「あ……確かに…」


想像したのか悲しそうに眉を下げるリエの体をぎゅっと寄せて胸の中におさめる。
すると、リエも小さな手でぎゅっとゾロのコートを掴み顔を疼くめる。



ゾロ「そんな名前付けねェでいい」

リエ「やっぱりあれは縁起悪い…?」

ゾロ「いや、違ェよ。そういう意味じゃねェ…」

リエ「んん…?」

ゾロ「おれがリエを離すかよ」

リエ「ん…っ」

ゾロ「こんな大事な女…離す気ねェし、離させる気もねェ」

リエ「…うん」

ゾロ「お前が嫌がってもな」

リエ「嫌がるなんて…そんなのあるわけないよ。離したら絶交するもん…」

ゾロ「はは、あァ…上等だ」

リエ「一生口聞いてあげないもん」

ゾロ「そりゃ…この上ねェ程辛ェな」


満足そうに微笑むリエにゾロも同じように笑んで、そっと引き寄せて冷たい唇にキスをする。


リエ「ん……」

ゾロ「…冷えてんな」

リエ「うん…寒い…」

ゾロ「ほら、ならここにいろ」

リエ「見張り番、わたしの日なのにゾロまで付き合わせちゃってごめんね?
お部屋で寝たいでしょ?」

ゾロ「遠慮するような仲じゃねェだろ。謝るな」

リエ「あいたっ…」

ゾロ「つか、今話したばっかじゃねェか、離さねェって」

リエ「でも、風邪引いちゃうよ?」

ゾロ「はは、そりゃおれの台詞だな。
いいよ、気にすんな。おれが引くか…
部屋よりリエのがいい。だから出てきたんだ」

リエ「…うん、」

ゾロ「朝までいてやるから、おら…ここで休んでろ」



と、後ろから抱きしめ毛布を2枚体にかけてくれる。


リエ「毛布…」

ゾロ「いいよ。寒くねェ」


リエ「…確かに、ゾロあったかい…!」


筋肉が多いからかポカポカとするゾロの体はまるでカイロのようで、愛しい男が与えるこの暖かさが何より心地よい…



リエ「ゾロ…」


ゾロ「あ?」


この大きな愛にたまらない幸せを感じ、涙が溢れそうになりそれを隠すために星を見上げる。


リエ「…流れ星、見つけよう?」


ゾロ「おう…。また流れたらいいな」


リエ「ふふ。流れるよ、きっと」





( お星さまを裏切った午前2時 。)


( だって 、 キミの愛に攫われちゃったもの )


fin...




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