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05/05
前置き
「おれ皆の前じゃないとヒヨって言えなくなりそうだから、今言うな。だから悪いけど傑と硝子付き合ってくんね?」
「別に構わないよ」
「私も別に」
二人に確認を取り、恋人に向き直る。

「じゃあ本題の前にあのな、悟。浮気するのは別にいいんだ。そもそも俺なんかお前に釣り合う訳ねえし、それで帳尻が合うなら安いモンだと諦めるよ」
「浮気!?」「悟…」と慌てたような諦めたような声が聞こえるが、まあ気にしない。悟は顔面蒼白にして絶句していた。その顔ウケる。

「ただ俺の家に連れ込むのは止めてくれ」
「え…」「うわぁ」ドン引きした声も気にしないが、それより悟やけに顔が青いけど大丈夫か?

「百歩いやこの際三歩でいいや。三歩譲って同居してるなら分かる。え、なんで俺の部屋でヤんの」
「夏油何これ新手のホラー?」「映画化したら全米も恐怖で泣くだろうね」お二人さん現実逃避はやめてくれ。悟も顔を赤くしたり青くしたりして忙しないな。

「ホテル代浮かせてるとかは悟に限ってないだろうし。けどまあそれも百歩譲って許すとして」
「許す此奴もやばい」「だから悟も付け上がるんだよ」俺で妥協して貰ってるから仕方ないだろ。悟もホッとしてるしな。

「お前が先に用事ある時、女蹴り出すの止めてやれよ。薄着で玄関前に蹲ってて可哀想だろ」
「最低だな」「親友やめたくなった」こればっかりは俺も擁護できねえからな。悟も縮こまるな。

「俺任務帰りで疲れてんのに女もてなさなきゃいけねえんだけど。温かい紅茶入れたり、風呂沸かしたり」
「別れなよ」「もっといい人いるよ、こことか」俺もそう思うよ、まじで。

「おまっ、お前が!モテるからだろ!」
今まで黙っていた悟がキレたように話し出した。
「お前に色目使う奴を落として捨てんだよ。そしたらお前のこと見なくなんだろ!」
「いやでも場所俺の部屋…」
「お前の匂いじゃねえと駄目なんだよ!!!!」
顔を真っ赤にさせた悟が叫んだ。
「ねえもうやんない。浮気しない。別れるなんて言うなよ。傑のとこ行くなよ、なあ。なあ!」
終いには俺の膝に縋り着いて泣き始めた。悟は泣き落としとか出来るのか。器用だな。

「俺の部屋使わねえなら、ま、いっか」
「一番イカれてんの此奴じゃない?」「かもしれない」お二人さん聞こえてるからな。
「許してくれんのか!」
「別にいいよ許す許す」
パァと喜色満面の笑みを浮かべて俺の膝に頭を擦りつける悟。鼻水は付けんなよ。

「で、本題なんだけど」
「「今のが前座!?」」
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