上鳴のどこが好きかって聞かれたらこう答える。
何週間も放置してた彼への連絡を今更返してもすぐ返信してくれるような素直なところ。プライドの高い私に対して、余計なプライドを捨てて相手をしてくれる度量を持っているところ。「連絡おっせえ 宇宙旅行にでも行ってたんか?」なんて笑って電話をかけてきてくれるところ。少し切ない声を出しただけでヒーローみたいに飛んできてくれるところ。今みたいにね。
上鳴は私の髪をすくってゆっくりとキスをする。平然と。でも上鳴はこういうことを誰にでも出来ちゃうんだよね。切島くんに聞いたから知ってる。
「もうオレ完全に忘れられたんだなって思って毎晩枕濡らしてたわ」
「嘘ばっかり ほんと調子いいよね」
「アッハ、厳しい〜」
「お見通しだよ」
「もう何なりとコキ使って下さいよ、お嬢さん」
「バカじゃないの…っ」
「その笑顔が見れんならお前の足の裏も舐め倒すわオレ」
でもいいの。そのプライドの無さが私を心地よくさせてくれる。女王様になったような気分になって気持ちいの。
上鳴といるといい女になってるような気になる。その軽さが私を素直にさせてくれる。夢みたいだよ。脳みそ詰まってないみたいにイチャイチャできるなんて。アンタの前だとそうなれる。上鳴相手じゃないと私は喧嘩の種をまきまくる腐ったビッチなの。
「なまえちゃんはラッキーだよな〜 オレに相手してもらって」
「はあ?なにそれ」
「まあ、あくまでオレが好きでやってんだからな」
「…」
全部オレがやっていること、だと。オレがお前を好きなんだから、だと。そう言われて気が大きくなった私は柄にもなく「そんなことないの。私が上鳴にメロメロなの」と本音をブチまけてしまった。なんて人なの なんてことを言わすの?この私に。思わず出たとはいえ、自分で言った言葉に勝手に恥ずかしくなって黙り込む。そんな私を見て妙な方向に勘ぐった上鳴は的外れなことを言い出した。
「さては、オレへの連絡シカトして他の男を相手してたんか」
「はい…?」
「そうだろ 絶対そうなんだろ」
「なんでそうなるの?そんなことしないってば」
「まじ?そうは言ってもなまえちゃんいい女だしな〜体も超キレイだし。こんなん誰が放っとくわけよ?そんな奴が居たらオレは見てみてーよ」
手を取りキスをする様は忠誠を誓った下僕みたいだった。はあ…気持ちよくてたまんない。こんな傲慢な女を相手できるのは世界中どこ探してもアンタしかいないよ。どこまで出来るの?どこまで私を良くしてくれるの?私もその分アンタにあげるから教えてほしいよ。
「アンタのこと試してンの」
「へ?」
「どこまで無視しても絶対に見放さないでいてくれる 上鳴はなんか…お気に入りの…下僕ってやつ?」
「うーわ お前最低な。めんどくせえってその感じ」
「ごめんね 怒った?」
「いや〜?でもむかつくから今日オレ頑張っちゃうわ」
私の暴言をさほど気に留めていないのか上鳴はクスクスと笑って組み敷いてくる。イジメっ子みたいな笑顔に電流キメられてる気分だ。その顔も好きよ。
「なあ どうする?いっぱいチューしたい?」
「ええ〜言わなきゃだめ?」
「だめ〜」
「あはは もういいからチューしてよ、おねがい」
「急に可愛いんかよ ああもう」
わざとらしく頭を抱えて、それから望み通りにキスをくれた。数にならないくらいの色んなキス。このキスも大好き。ねえ こんなに好きになったのは世界中で上鳴だけなんだよ、本当に。
でも、恋人になりたい なんて絶対言わない。そんな情けないこと出来ないよ。だって上鳴がそうなりたいって言わないんだもん。
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