優雅な休日。カーテンを開け、なだれ込む朝日の光に目を眩ませたところで携帯に通知がきた。差出人は栄純。一枚の写真が送られてきたようだった。小首をかしげながら内容を開封すると、液晶画面に写ったのは白く奥ゆかしい一輪の花の写真だった。…え?栄純さんが、花って……え?
小さなパニックに陥っていると、切れ目なくメッセージが届く。
『似てる』
と、一言。意味が分からないので花への感想を返信することにする。
『可愛い花だね』
送信したところで、どうして栄純はいきなり花の写真を送ってきたんだろうと考える。朝からロマンチストだなとは思うけど意図が全く理解できないのだ。私が寝起きだからなのか栄純がおかしいのか。するとまた『この花似てね?』とメッセージがきたのでそろそろこのミステリーを解明したいと思う。
『何に似てるの?』
『だからいつもシュッシュしてるだろ』
『?』
『なまえの部屋にある水色のやつ』
『え?』
うーん…たぶん栄純さん寝ぼけてるんだろうな と本質とは違う解決をしてさて二度寝を決め込もうとしたら今度は電話がかかってきた。
「もしもし?」
「だからアレだよお前あの、水色の液が入った白い花のやつ!」
「白い花…?てか栄純おはよ」
「はよっ!それよりお前なんでわかんねーの?あのいい匂いがするやつだって」
「…あ!それってもしかして香水?」
「そうそうソレだ!香水だ!」
気持ちいい〜解決した。
「初めからそう言ってよ」
「だからそう言ってんじゃん。で、似てねー?」
私は携帯を耳に棚の上に置いてある香水を眺める。お気に入りの香水。いつも付けてるし、栄純も好きだと言ってくれてる。確かに似てる 似てるよ。写真の花にそっくりな香水のキャップを見て感動した。
「確かに似てるね!栄純が見つけたの?」
「おう!走ってたらなんか目に入ってなまえに見せたくて」
「わざわざありがとう 香水なんてよく覚えてたね」
「お前気に入ってるみてーだし」
「うん」
「いつも使ってんじゃん」
「嬉しいよ栄純。なんか照れる」
「…おう」
「うん…」
「でも携帯持ってなかったから急いで寮に取りに走って戻ってきた」
「何してんの!?」
「あははは!ウケるだろ?」
二人して大爆笑。朝のランニング中というのにふと私に関係のあるモノを見つけてくれたんだね。あんな小さな花を栄純はよく見つけたもんだ。しかもわざわざ携帯を取りに帰っただなんて。私が笑えばそれ以上に栄純が笑う。生き生きとした声が耳に伝わってきた。
「見張っててやるから見に来るか?」
見張るって…花って逃げるの?大袈裟な物言いにまた笑みが溢れる。
「すぐ行く!」
急いで準備をして 一大事かのように家を飛び出した。上着を羽織るのを忘れたくせに香水は手に持って、そして答え合わせをしよう。走り出した瞬間に感じた爽やかな朝の匂いを体いっぱいに吸い込んだ。
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