課外授業だ。みんなランダムに座って、だるそうな先生の話を聞く。わたしの目の前には轟くんが座っていた。いきなりだが暇なので彼の背中に文字を書くことにした。
チョコ アイス ケーキ マフィン
意味なんてない。たまたま頭に浮かんだ言葉だ。人差し指をペン代わりに文字を刻んでいく。ただひたすらに。次はタルトだ!と意気込めば、今までノーリアクションだった轟くんが急に振り向いてきた。
「食いてえのか」
「え…?!」
「さっきからスイーツばっかりだろ」
「え、あの…た たまたまっす…」
「そうか」
「う、うん」
そして何事も無かったかのようにまた前を向いた。彼がこちらを向き目が合った瞬間のわたしは確実に心臓が止まっていた。何背中触ってきてんだよ、なんてそもそもなツッコミをすっ飛ばしての「食いてえのか」に面を食らう。大物だよね、轟くん。背中に伝わる指の感触だけで書いた文字が分かったのもすごい。
そしてハッとする。時計を見るとちょうど3時のおやつ時。そうか、わたし眠くてボーッとしてたんだ。クラスメイトの背中をノート代わりにいきなり触るなんてどうかしてたよ。どうかしてるついでに“スキ”とでも書いてみようか。どんな返事がくるだろう。「スイーツじゃねえのか」なんて言われたら可愛くて笑っちゃうな。
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