※えろくないけどセックスしてるよ!
「今日人生で初めて寝坊した」
「どんな人生やねん」
赤也が小馬鹿にしたように笑いながら突っ込んできた。視線はテレビ画面のままである。ゲーム中に申し訳ないけど、今日私は人生でセーブポイントがあるのならやり直したいと切望するほどの不測の事態に見舞われたの。なのにアンタは何でそこまで他人事なの?私は今、人生の岐路に立っていると思う。彼女の一大事だよ。ねえねえ…だから話を聞いてよ…
「親に死んだと思われたくらい爆睡してた」
「そんな?つうか親も死んだって思ったのに放置してたんだ?それもヤベエ」
「あ それもそうだよね」
「ええー今気付いちゃったのこの人」
「そんなもんかなあ」
「俺んちなんてウッゼーくらいにお節介すよ」
「赤也ぁー!!今日なまえちゃん泊まるの!?ご飯食べてくの?お風呂は?!パジャマとか持ってるの?!どうするのー?!」
赤也が自分んちの事情を喋った途端、絶叫とも言える声量で彼の言葉を裏付ける証言がこだました。たぶん一階のリビングからだ。赤也ママの声量すげえ。横アリでもマイクいらないんじゃないかってレベル。お互いに目が合う。「ほらな」なんて笑う赤也。一連の流れが出来すぎていて筋書きでもあるんじゃないかとちょっとビビる私。
赤也はせわしなく動いているであろう赤也ママに適当に返事を返し、コントローラーから手を離した。そしていつ空けたか分からない缶ジュースに手を伸ばす。明らかにスプライトをパクってるロゴがなんとも安っぽい。ていうか絶対に炭酸抜けてるはずだよそれ。ゴクリと一口飲んでこっちに渡してきた。げえー いらなーい。首を横に振る。すると彼はそのまま全て飲み干し缶をへこませた。ベコベコになった缶はゴミ箱ではなくやたらゴミだらけの机の上へ置かれる。いちいち缶を凹ます意味ってあるの?毎回そう思うんだけど、今はそんな話してる場合じゃないんだよね。私は体育座りで身を縮ませる。
「人生で初めてだったんだもん、起きられなかったのって」
「あのさーむしろ寝坊したことない方がありえねえの」
「え…まじ?」
「そうじゃね?」
「え、みんなそうなの?え ちょ ま」
「とりあえず落ちつこうぜ」
「パニクってきた」
「まあ先輩がわりと頭よええのは俺だけが知ってるわけじゃない周知の事実だし、そこまでネガッてんの見ても驚かねえんだけど」
「ひどーい!寝坊とアンタからのディスとでダブルでショックなんですけど」
睨む。ジトー。睨みまくる。目ん玉裏返りそう。そしたら赤也が体を滑らせてグッと私の隣へやってきた。一気に縮まった距離にドキドキ。ベッドを背凭れにして座り見つめてくる彼を見るともう睨む気にならない。「まあまあ元気だしましょうよ」と背中をポンポン叩いて励ましてきてくる。そんな大雑把なフォローが嬉しい。彼が言うように私は頭がすこし弱いからこんなとこですぐ舞い上がっちゃう。
「俺なんて逆に寝坊しかしてない人生っすよ」
「いやそれこそどんな人生やねん」
そういや遅刻しかしてねえわ、とへらへらし出す赤也。そんな怠慢が原因で真田に吹っ飛ばされた時に脳みそ揺れて一瞬記憶がバグったとか、ペナルティで教師から体育倉庫の掃除を課されたのにそこで女とパコっちゃったとか、ペラペラと武勇伝を語り始める。その姿はまるで元ヤンの悪行自慢のようでわりと痛い。聞くに耐えないので机の下で見つけたコロコロでカーペットを掃除していたら、そんな私の態度を違う方向へ勘ぐった赤也が弁明してきた。
「あ ヤッたっつってもずっと前の話っすよ!」
「ふ〜ん」
「俺らが付き合う前だから」
だから許してと言わんばかりに顔を近付けてきて、ああキスをねだられてる。チューの唇になってる。まじまじとそんな顔をされたら恥ずかしい。話題を変えてなんとか交わそう。
「赤也の誕プレには目覚まし時計をあげるね」
「え〜やだやだ 俺目覚ましキライなんすよ〜」
「なんで?」
「急にデカイ音鳴んじゃん。ビビんじゃん」
「そりゃあ目覚まし時計だからね」
「で、ムカついてぶっ壊しちゃう」
「ええー怒りの沸点低すぎー」
「引く?」
「ううん想像通り」
「え なにそれ 逆にショック」
「そこまでショックじゃないでしょ」
「おう てかチューしていい?」
「やだ!」
なんか癪に触る態度なので拒否すると顔は離れていったが、引き換えに手を奪われた。強く引っ張られたのでしょうがなく右手を差し出す。赤也は自分の手と絡めては私の手の相をなぞったりモミモミとマッサージをしたりしていじくりまくる。赤也の湿った手が気持ち悪くもあり気持ち良くもある。不思議な感覚だ。
されるがままに絡み合う手をボーッと眺めていたら、今度は私の様子を伺いながらゆっくりと手の甲にキスを落としてきた。じっと私を見つめながら。上目遣いで。もう、やめてよそんなガラじゃないこと。私はまた目を逸らす。
「じゃあ私が目覚まし時計になってもムカついてぶっ壊しちゃう?」
「あー」
「なに」
「いやムカついて犯すかも」
「こわー」
「引く?」
「ううん 好き」
「ッシャア!」
ガッツポーズをしながら立ち上がったと思えば、今のうちに予行練習しとこ!と意味分からんことを言いながら意気揚々としている。ボフッ。束の間後ろのベッドに体が沈む。押し倒されて気が付く。練習って犯すっていう部分だけかい。しかしそんな訴えは赤也の舌に盗まれてしまった。もはや私はおとなしく白旗を挙げることを余儀なくされる。
鼻息を荒め体を撫でてくる。目の前の首に腕を回せば赤也は嬉しそうに顔を緩め息を漏らした。
「ちょう可愛いっすね」
「そう…?」
「出来ればずっとその態度でいてよ」
「んっ…出来ればって…うんっ赤也、」
「いや どっちでもいいんだけどさ」
たかが腕を回しただけ。ちょっとしたスキンシップなのに、私の首元に赤らめた顔を埋めチュッチュしてくる。こそばゆくて体が一気に熱くなった。奥からじわじわと込み上げてくる感覚に耐えられるのか不安さえ感じる。目が合えば気持ち良くなることしか考えられなくなったけど。
なんやかんやでバンチキバンバンしてる。抱え込まれてバカみたいに気持ちいいことをしてもらっている。ヤバいよ 世界一幸せかも。そろそろ交代して上に乗ってあげたい。けど赤也は今夢中になって没頭してるから中々離してくれないんだろうな。喉がかわいてきた。さっき勧められたスプライトっぽいヤツ飲んどけばよかったなあと今更後悔。そしてイキそうになってきた時、彼の動きが急に止まった。不思議に思い息絶え絶えに彼を見上げると飄々と汗を拭っている。
「けど、そうなっても結局遅刻しちゃうっすねえ」
「へ?」
「さっきの話」
「あ、うん…そう、だよねー」
「ん。ムカついて犯した所で遅刻だもんなあ」
「…うーん どうしよーか」
「どうしましょーか」
「困ったねえ」
「困ったっすねえ」
「うーん」
「…」
「んっ…あ…」
自分から動きを止めて耽ってたくせに、めっちゃ自分勝手なタイミングでまた腰の動きを再開させてきた。突っ込んだままの至近距離での場違いな会話にちょっと意識がそっちに持ってかれたけど、やっぱり赤也は気持ちいいことをするのが得意だからすぐにそのモードになれた。私を見つめながら、今私以外考えられないって顔をしてる。…のに。いや やっぱり気になるわ。さっきのは一体何だったのよ。謎は深まるばかりである。動きを止めて、と目で訴えると、赤也は「ん?」と不思議そうにしつつも私の指示通りにしてくれた。
「ねえ さっき、イキそうだったんだけどっ…」
「へ?」
「なんで、わざわざさあ…」
「あー」
「ちょっと、ねえっ…!」
私が放った言葉を理解した瞬間、ああそんなことか、みたいな表情をしてまた腰を動かして奥を突いてきた。勝手に一人で納得すんな。
「ちょっ…と!」
「あーうん わりい。半分意地悪っす」
「…」
「アハ」
「ぶっころ」
「ちょ…っ」
「ちんちん折ってやる」
「ひええ〜何言っちゃってんの〜?焦ること言うなっつの」
苦笑いを浮かべるクソわかめ。
「もうやだ 場所変わって。私が上にいく!」
「却下。めっちゃこえーもん」
「ズタボロに泣かせてやる!」
「だろ?それに耐えられる自信ないから勘弁して」
胸板を必死に押し上げても聞く耳を持ってくれない。それどころか動きを激しくしてくる。まるで挑発されているみたいで苛立つ。
「やだっ変わって、っ…!」
「つーか今この状況で上に来れんの?」
「ああっ、だからっ、止めてよ…!」
「辛そうじゃん」
「だからっ、赤也あっ…うう、やめっ…」
「無理無理、なまえには無理だから諦めて」
「だって、んあっ…!」
「だーから、来れるもんなら来てみっつってんだけど」
「だから、もうっちがう…っ!」
止めてくれたら上に行けるのに。こいつマジでバカなの?話が通じない。私が言いたいこと、絶対わかってるはずなのに。いかんせん最後まで喋らせてくれないし、自由を与えてくれない。けど、このもどかしさが胸を締め付けて、快感だと勘違いしてしまう。悔しい。
「諦めてよ 無理なんだから」
「そんなこと、な、ああっん!!」
「ほら〜」
突き上げられながら空いた手でクリをグリグリ撫で上げられて、また喘ぎを濃くしてしまった。赤也の眉間のシワが深くなって、その溝を滑った汗が私の体へポタポタと滴り落ちてくる。激しく揺さぶられながらじっとりと見下ろされ、抵抗すればするほど強くなる刺激に耐えれそうにない。かと言ってどうすることも出来ず、ただ我慢して、必死にしがみついてガンガン突かれる奥とクリの刺激に耐える。耐えるしかない。でも耐えれないよこんなの
「やだ、お願い あかやあっ…!」
「あーもう、それ ヤベエ」
「もうっ…おねが、っんんっ…っ」
「っんと、煽んの、マジで得意っすねっ…!」
もう頭と体がイカれすぎて何をお願いしてるのか分からなくなっちゃってた。とにかく私は何かをヒドく願ってて、そんな私で赤也はヤバく興奮してるってこと。私たちの夜はたぶんこんな感じのまま終わると思う。そして初めて二人で朝を迎えるわけだけど、甚だ疑問だ。私たちは一体どんな目覚め方をするんだろう。寝坊しないといいんだけども。
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