「今日ネズミ業者の人見たよ」
「へえー」
ネズミ被害に悩まされている我が校だが、ついにネズミ駆除のスペシャリストを招待した。教頭と話し込むネズミの人。私はたまたまその現場を目撃したのだ。つまり、その感想なんだけれど。
「そのネズミ駆除のボスの人の顔がめちゃくちゃネズミに似てた」
「クッソおもしれーじゃん」
階段を降りながら二人でケラケラと笑い合う。飼い犬は飼い主に似るっつう話もあるもんなあ なんて適当な赤也の言葉に頷く。今日は部活は休みらしいので赤也が家まで送ってくれるらしい。だらだらと歩いて駐輪場まで到着すると見慣れたチャリ。
「でも潜在的に飼い主自身が自分に似てる犬を選んでるとも思わない?」
「潜在的とか ンな小難しい言葉使うなよ」
「逆説的な話だけどね」
「逆説的とか ンな小難しい言葉を使うなよ、って天丼か!」
「天丼食べたい」
「な、俺も今自分で言ってて思った」
赤也はズボンのポケットをまさぐり、小銭を確認しながらギリ足んねえわ牛丼にしねー?と提案を変えてくる。陽気にオッケーを出す私。そしてその小銭の中からチャリの鍵を取って解錠する赤也。カチャ。私が荷台に股がったのを確認するとソロリソロリとイズミモトヤの歩行速度バリにゆっくり前進する。徒歩の生徒に後ろから追い抜かれながらも大袈裟に赤也の体に腕を回す。私達は色んな理由をつけては少しでも長い間イチャイチャしたい年頃。そんな中でも会話は続く。
「もしかしたら最終的に同じ顔になんじゃね?」
「融合するってこと?」
「それに近い」
「まるで意味わからん」
「遺伝子レベルの話でさ、同じ顔になるまで長い年月がかかるんだろうよ。みんなその域になるまで生きられないだけでさー」
「あーなるほどね!」
よく分からんが話は一周して結局あのネズミ業者の人は人間の姿に擬態したネズミでありネズミ退治阻止の為に人間界で色々工作活動してるネズミのスパイだってことで落ち着いた。超理論。
よろよろ運転で無事辿り着いたチェーンの牛丼家で偶然にもジャッカル先輩と丸井先輩に遭遇する。オウ〜赤也とその彼女じゃ〜ん一緒に食おうぜテメエら若えんだから大盛行けい!なんて気前よく振る舞ってくる丸井先輩。マジすかオレら天丼いきてえっす、なんて赤也。そのまま天丼奢ってもらっちゃった。ジャッカル先輩に。
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