こんにちは、絶望


気づけば、荒れ果てたという言葉がかわいく思えるくらいの場所にわたしは立っていた。実際行ったことはないけど、テレビで見た火山がこんな感じだったような。
ごつごつとした黒い岩に、所々マグマのような赤く焼けたヶ所がある。見上げた空は赤黒く、この世の終わりだと言われてもうなずいてしまいそうだ。

なんでわたし、こんなところにいるんだろう。
ここに来るまで自分がなにをしていたか、思い出せない。たしか今日、と言っていいのかわからないけど、今日は仕事が休みで、いつもより少し遅い時間に起きて、軽く掃除機をかけてお腹すいたなと思って…。覚えているのはそこまでだ。

「何見てるんだ?」

突然背後の岩壁の向こうから男の声が聞こえてきた。こちら側もあちら側も、お互いの姿は見えないようだから、あっち側には2人以上の人がいることになる。こんな場所だからか、人がいることに少し安心して、その声に耳を傾ける。

「この先にいるんだよな、あの妖蛇が…」

「ああ…」

「どうなるんだろうな、俺たち…」

なんだかとても悲痛な声だ。ようじゃ、がなにを指すのかわからないけど、絶望的な雰囲気から察するにいいものであるはずはないだろう。

「みんな、死んじまったな…」

「ああ、生き残ったのは数えるほどだ…」

2人の男は、会話をするというより同じ記憶を一緒に辿っているようだった。
人の死をこんなふうに聞いたところで、あまり実感がない。死んでしまったみんな、というのは、彼らの知り合いのことだろうか。それとも、まさか人間全てが?

どちらにしても、わたしが辿り着いた先には、どうやらとてつもなく暗く、絶望的な世界が広がっているようだ。