董卓軍から民を助けに行っていた兼続さん、馬超さん、銀屏ちゃんが無事帰ってきて、胸を撫で下ろしたのも束の間、信玄さんたちが危ないと一報が入った。
新しい仲間と友好を深める間もないまま救援に向かい、どうにか織田軍を退けることに成功する。
今更ではあるけど、前回と今回、新しく仲間になった人たちに挨拶をしてこようか。それにしても、歴史上の人物が目の前にいるなんて変な感じだ。もっとしっかり勉強しておいたら、もっと楽しかったのかなとも思う。
……まあそれはいいとして。
「………、」
「やる気が失せるので、そんな顔を見せないでいただけますか」
前を横切ろうとした法正さんが、ちらりとわたしに視線を寄越したかと思うと不快だと言わんばかりの顔をして立ち止まった。いや、わたしどんな顔をしてるんだ。
「法正さん、それはひどい言い草ですよ」
「物欲しそうな顔をしているあなたにも問題があると思いますが」
「もっ、ものほしそう、な、わけでは…」
わたしの見ていた方向に目を向け、そこにいた練師さんと直虎さんが話している姿を見て、彼はますます怪訝な顔をした。
「仲良くしたいなら行ってきたらどうですか」
「いや、そういうわけじゃ…あ、仲良くしたいは、したいですけど…」
そう、仲良くしたくないわけじゃない。むしろ仲良くなれればいいなと思う。でも今はそういうことじゃない。彼の言う物欲しそうに、ががっつり当たっていたりする。
「…どうやったらあんなに育つんですかね」
彼女らのたわわな胸と、己の申し訳程度の胸を見比べる。なんだよ、あのでかい胸。こぼれ落ちそうじゃないか、うらやましい。
と、そんなことを思っているわたしを見てなにやら理解したらしい法正さんは、とんでもなくくだらないという顔をした。
「まあ、あなたは残念ですね」
「う、ひどい…」
なんだろう、なんだかすごくぐさりときた。
「そんなに落ち込むことですか」
「落ち込みますよ!どーせ男はみんなおっきい方がいいに決まってるんですから」
「ふむ、一理ありますね」
なんだろう、なんだかショックなんですけど。わかっていたことでも、はっきり肯定されると悲しくなるものだ。
うなだれるわたしを、法正さんはあごに手を当ててなにやらじっと見つめている。
「…………なんでしょうか?」
「いえ、あなたを乱れさせてみるのも一興かと思っていたところです」
「え?」
この男の口からなにが発せられたのか、瞬時には理解できずに動きが止まる。
「あなたはどのように鳴くんでしょうね」
「は?え、ちょ、それ、え?!! 」
目を白黒させるわたしを横に、法正さんは鼻で笑って去っていった。
え、からかわれただけ?