女神に従いし若き龍後


喜んでばかりもいられないけど、ひとまず腕輪を手に入れることに成功した。とりあえず、今のところはよかったってことにしよう。
ふうと一息ついていると、ペルセウスさんが立っているのが見えた。

「ペルセウスさん、どーかしたんですか?」

「あ…凪殿」

ペルセウスさんが静かに微笑む。半分神さまというだけあって、きれいな人だ。仮面で顔が隠れているからかどこか儚げに見えて、なんとなくほっておけない。

「幸村殿が、私を友だと言ってくれたのだが…」

「はい」

「、驚かないのか?」

彼の言葉に、わたしはきょとんとする。

「え、別に驚きませんけど。ていうか、わたしもペルセウスさんのこと友だちだと思ってますよ?」

仮面の奥の瞳が見開かれる。おかしなことを言ったつもりはまったくなかったけど、彼にしては思いもよらない言葉だったらしい。

「あ、友だちというか仲間というか…あの、迷惑でした?」

「いや、そのようなことは…」

ただ、とペルセウスさんが言葉を続ける。

「突然現れてどこの誰ともわからない私に、そう言ってくれるとは、思わなかった」

瞳を伏せた彼に、自分を見ているようだと思う。
知っている顔もない、知っている場所もない、今までの生活とはかけ離れてしまった。大した働きもできない人間を、こうして受け入れてくれているだけでもありがたくて、だからわたしはここにいるみんなが大切だ。だけど、わたしが友だちだと、仲間だと思っている人たちはわたしをどう思っているのか。なんとも思われていないのが当たり前な中、友だちだと言われたら、わたしもペルセウスさんと同じように戸惑ってしまうだろう。

「わたしもおなじです。むしろわたしこそ、ぜんぜん違う場所から来ちゃって、なんていうか疎外感を感じてたっていうか」

「すまない、あなたにも迷惑をかけてしまっているな」

申し訳なさそうなペルセウスさんに、慌てて首を横に振る。

「ペルセウスさんのせいじゃないです!それにわたし、ここに来てみんなに会えたこと、よかったと思ってるんです」

わたしからしたら、ずっと昔を生きた人たちが目の前にいる。わたしの世界の彼らと同一かはわからないけど、ここにいる人たちはすごくまっすぐで、こっちまで誇らしい気持ちになる。

「あなたは優しいな」

花が揺れるような笑みを浮かべたペルセウスさんに、ついつい見惚れる。そう言えてしまう彼のほうがよほど優しいのに。

「私も、凪殿も幸村殿も、友だと思っている」

「、……」

自分が言うときはなんとも思わなかったのに、こうして言葉にされるとじんわりと胸が熱くなる。さっきのペルセウスさんよろしく目を見開いたわたしを、彼は心配そうに見つめた。

「凪殿?」

「ごめんなさい、なんかすごくうれしくて」

下手くそな笑顔を向けると、ペルセウスさんもきれいに笑い返してくれた。

神さまの笑顔って貴重