破鏡重円
庭に植えてある木が青々と生い茂り、湿気を含んだ初夏の風が吹くたび、左右に揺れている。甘夏の実を雀が啄みに来ていたのを槇寿郎さんの鎹鴉が追い払っていた。
ここにきて約半年になる。初めて迎える夏だ。私が住んでいた所より南にあるこの地方は今まで経験した事ない気温になるのかな。まだお昼前の時間帯なのに既に蒸し暑く、汗が滲む肌に当たる風が風鈴を揺らして、硝子の転がる音が心地良かった。
いつもは賑やかな家は今はひっそりと静まり返っている。非番になった槇寿郎さんが杏寿郎さんと千寿郎を連れて浅草へ出掛けているからだ。都会とはどういう所なんだろう。知りたい気持ちはあったけど、慣れない人混みが怖くてせっかくの誘いも断ってしまった。いつか、一緒に行ける日は来るかな。
「リュウ、」
風鈴に似た涼しげな声と共に、廊下を歩いてきた瑠火さんが静かに私の横へ腰を下ろす。
「一緒に行かなくて良かったのですか」
『はい、私はここの方が落ち着きます』
「大人に気を使わなくても良いのですよ。子供は自由に生きていいのです」
真新しい畳の匂いと優しいお香の匂いがする。まるで大きな空を悠々と泳ぐ雲のように瑠火さんの声は私の中にストンと落ちてきた。母親というのは、どうしてこんなに落ち着く存在なんだろう。
全てを包み込んでくれるような安心感と背中を押してくれる強さ。私の母もそうだった。私や琥珀が言う事を否定せず、最優先にしてくれていた。それは父も同じ。大丈夫だと言われたら本当に何でも大丈夫だったんだ。
懐かしいと思うには早すぎて、逢いたいと思うには遠すぎる。
二度と戻らない日々がドロドロに溶けていった。もう誰とも関わらない。失いたくない。大切なものはもういらない。そう思ったのに…
「貴女がうちに来てくれた時、まるで娘が出来たみたいで嬉しかったのですよ」
ハッとして横を見れば、優しげな笑みを浮かべた瑠火さんと目が合った。伸びてきた白い手が壊れ物を扱うように私の頬を静かに撫でる。冷たい体に陽だまりのような体温が浸透していく。
「うちの男達は真っ直ぐすぎて時に周りが見えなくなる事があります。千寿郎はまだ幼いですが」
『心配、ですか?』
「そうですね。強くなればなるほど危険はついて回るもの。リュウにお願いをしてもいいですか」
頬にあった手が離れる。強く、まっすぐな緋色の瞳に吸い寄せられるように瑠火さんの方へ座り直して身構えた。決意の目は槙寿郎さんの目と良く似ている。
「私に何かあった時、あの子達を頼みます」
ガツンと殴られたかのような衝撃が走る。
だって、それはまるで…
「これから先、たくさん壁にぶつかるでしょう。逃げたくなるような場面に何度もぶつかり、前を向く事が怖くなる時も来るでしょう。そんな時に傍に居てあげてほしい。力になってあげてほしい」
そっと瑠火さんが両手を広げて私の名前を呼んだ。おずおずと引かれるように近付けば、大きな熱に優しく包み込まれる。濃くなった杏子の香り、長い髪が首筋に流れてくすぐったかった。
「我儘な母からの願いです」
視界が滲む。
想いが揺れる。
背中に回された腕が僅かにぎゅっと強くなった。本当は自分がその役目をしたいと思っているはず。なのにどこかで出来ないと思って言っているの…?
「リュウは温かいですね」
そんな事ない。生まれた時から普通の人より体温が冷たいの。追い討ちをかけるように鬼の血が混ざった影響で更に低く下がったの。氷みたいに、まるで死んだ人みたいに…
「相手を想える心は強気者の証拠です。その熱を忘れないで下さいね」
風鈴の音がまるで泣いているように聞こえた。肩越しに見える入道雲、真っ青な空。蝉が鳴き、四十雀が小さな花を啄み、黒アゲハが塀の外へ飛んでいく。変わらない毎日、愛しい日々、続いてほしい未来。
もう二度と作らないと決めた大切なものをまた作ってしまってもバチは当たらないかな。この人達の事を守りたいと思っても怒られないかな。
恐る恐る腕を回してぎゅっと着物を握り締めたら、耳元で瑠火さんが笑った気がした。
お出掛けから帰ってきた槇寿郎さん達からお土産を貰った。綺麗な紅色の包装紙に包まれていたのは瓶に入った金平糖。明かりに照らされてキラキラと宝石みたいで。
ーーお母さん、これなに?
ーー金平糖っていうのよ。ほらこの色、リュウの目とお揃いね。
母が一粒の紅い金平糖を私の手の平に置いて楽しげに笑った。ホワホワと胸が温かくなり、口に入れると甘く、頬がぎゅうとなる。この日から私の宝物になったんだ。
貰った瓶を両手でぎゅっと抱える。これは幸せな思い出がたくさん詰まったものだ。
『ありがとうございます。大事に頂きます』
槇寿郎さんの大きくて不器用な手が頭を撫でる。横にいる杏寿郎さんは無邪気に笑い、瑠火さんの膝を枕にするようにして千寿郎が眠っている。
ああ、あったかい。
心地いい。
守りたい。守る。
約束した。
託してもらった。
同じ年の冬
瑠火さんが体調を崩した。
そこから大きく歯車が狂っていく。
ただ変わらなかったのは風鈴の音だけ。
チリーン...チリーン...,
「…っ!…リュウっ!」
『…え、あ、どうしたの?』
「それはこっちの台詞!ボーっとしてどうしたの?」
友達の声にハッとして辺りを見渡す。八月に入ったばかりの夏休み真っ只中。真夏の炎天下、文化祭で使うダンボールを近くのスーパーに貰いに行った帰り道だった。
何だろう、何か見ていた気がするのに思い出せない。どこからか涼しげな風鈴の音がする。まるで波のように左から右へと体を通り過ぎていく感覚が心地よかった。
「大丈夫?暑さにやられちゃった?」
『うーん、蜃気楼みたいに何かが見えてた気はするんだけどなぁ』
「え!?それって熱中症じゃない??」
「早く学校戻って休んだ方がいいよ!」
『大丈夫!本当、体は凄い元気なの!』
よくある事だと言ったらきっと変だと思われるから黙っておこう。相変わらずこうして気持ちとか思考がトリップしてしまう事が多々ある。それは家だったり、学校だったり、帰り道だったり、不特定な場所で。何も覚えてないのに罪悪感が胸に溜まって消化出来ない。このモヤモヤが晴れる時はくるのかな。
真上からは赤々と燃える太陽、下からは熱せられたコンクリートの熱。湿気を含んだ風は気温以上に暑さを掻き立てた。両手に抱えたダンボールを掴む手が汗で滲んで滑りそう。
夏は昔から苦手だ。
溶けてしまいそうだから。
でも、
「自由に生きろ!少年少女達!」
夏みたいな先生の事は大好きだった。
「絵の具、あと一式誰か持ってないー?」
「こっちにも追加のガムテープお願いー!」
「ちょー可愛いっ!これインスタ映え間違いなし!写真撮らせてっ!」
「男子も遊んでないでダンボール運びなさいよっ!」
「リュウ、体調は大丈夫?ちゃんと水分とってる?」
『フラフラもしてないから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう!』
「それならよかった!あとね、ここに門を作りたいんだけどどんな感じがいいと思う?」
『うーん、モチーフがアリスだから…』
私のクラスは焼きそば屋をやる事になった。他にもやりたいクラスがあったみたいだけど、しのぶがジャンケンで勝ち取ったらしい。モデルのように可愛い顔に加えて勝負事にも強いところも魅力の一つだと思う。あの冨岡先生さえもしのぶの前では押され気味だから凄い。一体私が転校してくる前に何があったんだろう。
私の視線に気付いたしのぶがパタパタと近寄ってくる。その足取りの軽さがまるで妖精みたいだと思った。思わず顔が緩んでしまう私は変態なのかもしれない。
「リュウの方は順調そう?」
『うん!ダンボールも足りてるから結構進んでる!』
「私も向こうが終わったら合流してもいい?」
『もちろん!!しのぶに驚いてもらえるようにめちゃ頑張るよ!』
ガッツポーズして言えば、しのぶは口元に手を当てて楽しそうに笑った。なんだろう、私はこの表情に弱い。笑ってくれるとホッとするんだ。他の子が笑ってくれるのも凄く嬉しい。だけど、しのぶは。自分の心を隠そうとする癖があると分かった時から、本当の姿が見れると嬉しくなったんだ。優等生と呼ばれている子だってみんなと変わらず怒ったり、時には拗ねたりもする。人間らしくて好きだ。
うーんと大きく伸びをして「よし!」と手を叩いて気合いを入れる。そしてまた山積みになったダンボールへと向き直った。
****
結局、夢中になりすぎて気が付いたら18時半を過ぎてしまっていた。先生への申請は18時までになっていたから早く退散しないと見廻りに来た先生に怒られてしまう。夏休み中に登校する事が禁止になってしまったら元もこうもないので、あとの片付けは私としのぶでやる事にして、他のみんなには先に帰ってもらう事にした。
『19時までに出れば大丈夫かなっ?!』
「見廻りが始まるのはもっと遅くからだから大丈夫よ」
『それならよかっ』
「む!こんな時間まで残ってどうしたんだ?」
突如、背後から聞こえた声に二人してドキッと飛び跳ねてしまった。慌てて振り返った先に居たのは腕を組んで頭を傾げている煉獄先生で。お盆の時期以外はちょこちょこ学校に来る事は聞いていたけど、まさかのタイミングに違った意味でも驚いてしまう。
「文化祭の準備をしていたのですが時間を過ぎてしまって」
「そうだったか!熱心な事は感心するが、夏でもこの時間は暗くなって危ないぞ!」
『すみません!次からはちゃんと時間を見て作業するように気をつけますっ』
「うむ!では、二人とも送っていくから準備をしなさい!」
「『え!?』」
思いがけない展開に二人して顔を見合わせた。聞き間違いかと思ったけど、先生はこちらの反応を伺っているのかニコニコと笑ったまま動かない。
『先生にそこまでしてもらうワケにはっ!ちゃんと帰るので大丈夫です!』
「私は姉さんと帰るのでリュウをお願いします」
『しのぶ!?』
「遠慮する必要はない!俺ももう帰るところだ!では、風雪!十分後に教員用の駐車場に来るように!」
『先生ーっ!!』
一気に捲し立てると先生はまるで風のように走っていってしまった。呼び止めようと伸ばした手は虚しく宙に漂う。事の重大さをジワジワと実感し、全身が茹で蛸のように真っ赤に熱くなる。
『待って!どうしよう、しのぶ!』
「先生と二人きりね!」
『他の子に見つかったら大変だ…』
「夏休みのこんな時間に残ってる生徒はいないから大丈夫!」
『いや、でも!先生と二人きりの空間に耐えられる気がしない…』
「せっかくなんだから満喫しなきゃ勿体ないよ!」
『うーん…』
「がんばれ、がんばれ!」
ガッツポーズしながらウキウキと応援してくれるしのぶ。可愛いさが眩しくて眩暈がした。
正直、嬉しい。
本当にとんでもなく、舞い上がりたいくらい。だけどここから家までの距離を先生と一緒で心臓が持つ自信は1%もなかった。髪型だって崩れてるし、汗もかいてるし、こんなボロボロなところを見られたくない。…取り敢えず制汗スプレーと汗拭きシートだ。バタバタと慌ただしく準備をしている横で、やっぱりしのぶはワクワクしてて楽しそうだった。
昇降口でしのぶと別れ、校舎の裏側にある駐車場へと向かう。夏といっても19時を過ぎると辺りは薄暗くなっていた。昼間より少しばかり涼しくなった風が心地よい。
大きな深呼吸をし、先生の車を探しているとバタバタと足早な足音と共に先生が向かってきた。まさか走ってきてくれるとは思ってなかったからキュンとしてしまう。
「遅くなってすまない!さぁ、前へ乗ってくれ!」
そう言って助手席のドアを開けて微笑む姿に胸が早鐘を打つ。惚れ直していたばかりなのにこれ以上ドキドキさせないで下さい。しかも夏場だというのに石鹸のような良い匂いまでするから助けてほしい。今からこれではもたない。
バタンと閉まった二人だけの空間。車内全体が先生の匂いで溢れてて目眩がしそうになった。エンジンをかけた瞬間に流れた音楽とか、シートベルトをする姿とか、助手席の椅子の位置を直してくれるところとか、一つ一つの仕草や環境が新鮮で嬉しく、緊張で体温が上がってしまって仕方ない。心臓が口から出てしまいそうだ。まともに先生の顔が見れない。
「さて!出発するとしよう!」
『よ、よろしくお願いします!』
「君の家はどの辺かな?」
『学校の最寄駅から三つ目の駅の近くになります』
「そうか!あの辺りは静かでいいな!少し先に大きな公園があるだろう?何度か宇髄達と花見をしに行ったものだ!」
『そうだったんですね。先生達は仲良いですよね』
「中学からの付き合いだからな!」
すぐ近くで先生の声がしてる現実に心がホワホワして仕方ない。なるべく余計な事は考えないように、意識しないようにいつも通りに振る舞う。平常心、平常心!煩く速い鼓動を必死に押し殺した。
「文化祭の準備は順調か?」
『はい、何とか形になってきたので今から楽しみです!』
「それなら良かった!風雪のクラスは確か焼きそば屋をやるのだったな」
『しのぶがジャンケンで勝ち取ってくれたんです。沢山用意しているので先生も食べに来て下さいね!』
「もちろんだ!君が担当の時間はもう決まっているのだろうか」
『十一時半から十三時半の二時間です』
「書き入れ時だな!頑張るように!」
『ありがとうございますっ』
良かった、ちゃんと話せてる。時々、声が上擦りそうになるけど何とか誤魔化せていると思う。チラリと横を向けば楽しそうに運転してる先生がいて思わず緩みそうになる顔を必死に食い止める事に忙しかった。
右へ左へ緩やかに揺れる車内。緊張していなかったら一発で眠ってしまいそうなくらい優しい運転。息を吸う度に煉獄先生の匂いしかしないから溺れそうになった。好きな匂いの中で死ねるならそれは幸せなんだろうと、物騒な事を考えてしまうくらい愛しさで胸が溢れかえる。
『車に乗った時に流れていた曲は宇髄先生の趣味ですか?』
「よく分かったな!たまに乗せる事があるのだが、勝手に車内を弄っていくから後で驚く事が多々ある!ダッシュボードから音が鳴る犬のぬいぐるみが出てきた時は流石に肝が冷えた!」
『確かにそれはビックリしますっ。仕返ししたりはしなかったんですか?』
「したぞ!職員室の宇髄の引き出しの中にそのぬいぐるみを入れておいたら、開けた時に驚いて後ろにひっくり返っていたな!」
『あはは!その瞬間を見て見たかったです!』
楽しげな場面がすぐ浮かんでおかしかった。何より煉獄先生がそんな子供っぽい仕返しをしていた事が可愛いくて、その一部始終を見てみたかったと思った。前の席に座っている冨岡先生も笑ったりしたのかな。先生同士が仲良いと嬉しい。こっちまで微笑ましい気持ちになる。
「そういえば君は宇髄と話しているのをよく見かけるがいつも何を話しているんだ?」
『よ、よくは話していないと思いますが…煉獄先生の事とか…』
「む、俺のことか?」
『あの!変な意味ではなくて!こ、こないだは先生にお見合いの話が沢山来ていると…』
横で煉獄先生が驚いてむせてしまった。そして一度こちらをチラリと見ると何か考えるように口を閉ざして前を見据える。どうしよう、怒らせてしまったかもしれない。
『すみません、先生の私生活を覗き見るような事を聞いてしまって…』
「いや、いいんだ。それは構わない」
『…先生、一つ聞いてもいいですか?』
「ん、どうした?」
『どうしてお見合いの話を断ってるんですか?』
もちろんOKしてほしいワケじゃない。ただ、知りたかった。話が来る女性は才色兼備で家柄も良い人達ばかりだと思う。品行も良くて、綺麗で私から見ても惹かれてしまいそうな相手だと思うのに、頑なに首を縦に振らない理由は何だろうって。
赤信号になり、スーッと車が止まる。カチカチとウィンカーの音が鼓動と比例する。車内が静寂に包まれた。やがてゆっくりとこちらを見る先生につられて私も顔を向けた。
「想い人がいる」
どくん、と心臓が鳴る。
真っ直ぐ瞬きせずに射抜く緋色の目。
吸い込まれそうなほど強い色が揺らめいていた。
どうして考えなかったんだろう。
先生、好きな人がいるんだ。
そうだよね、大人だもんね。
優しくて、格好よくて、強くて、真っ直ぐな人。今までもたくさんモテてきたんだろうな。現在進行形でも生徒に限らずお見合いの話がたくさん来てるくらいだ。
だけど、全てを断っているのは好きな人がいるからなんだ。知らなかった…。知らなければ良かった。自分で思ってた以上に先生の事が好きだったと気付かされ、ドロドロと醜い感情が体内に落ちていく。ばかだなぁ…。自分から聞いておいて勝手に落ち込んで。
『先生に想われる人は幸せ者ですね』
「…そう思うか?」
真剣な目が今は苦しく、痛い。
黙って頷く私を見て先生は何かを言いかけたけど、信号が青になった事に気付いて視線を前に戻し、アクセルを踏んだ。
何も考えないようにしたいのに、先生の匂いが現実に引き戻してくる。
どうしよう、泣きそうだ。
だめだ、ぜったい泣かない。
何か話さないと。
話題を見つけないと。
でも口を開いたら声が震えてしまいそうで怖かった。車内に響くエンジン音が虚しい。ただ前だけを見てた。先生の方を見たら欲しくなってしまうから。
「風雪は好いてる者がいるのか?」
『……います』
先生が好きだよ。
初めて逢った時からずっと。
そう言えたらいいのに。
「そうか…、」
ポツリと呟かれた言葉が静かな車内に吸い込まれていく。今、先生はどんな顔をしているんだろう。見たいのに、見たくない。今すぐ車から飛び降りて遠くへ走り出してしまいたい。
もう無理なんだ。
だってただの先生と生徒で越えてはいけない境界線があるから。こんな気持ちを知らなければ良かったのに、向こう見ずに踏み込んでしまった罰だ。
渡す相手がいなくなった言葉は誰の元に辿り着き、暖かく灯るのだろう。
破鏡重円
『おやすみなさい』と言って車のドアを閉める。私が玄関に入るまで先生は車を止めて待っていてくれた。そんな優しさが辛くて、苦しくて、だけどどうしようもなく嬉しくて、溢れ出した感情でグチャグチャになる。
ハザードランプを一度点滅させて、走り出した先生の車が小さくなるまで見つめてた。
服から先生の匂いがして涙が溢れた。
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