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SSS

shortにも満たないお話たち
ジャンルは色々

2026/04/13

旅人=空(男性側)
意中の人を振り向かせるお香、そう言われて足を止めるのは仕方ないと思う。まじまじと並べられている可愛い容器を眺めているとお店のお姉さんが「どんな香りを探してはるん?」とこれはこれは大層いい笑顔を浮かべて話しかけて来た。「や、えっと。その、見てただけで…」「あらぁ?ウチはてっきりあの男の子を振り向かせたいんやと思ったんだけどな?」「うっ」「ふふ、正直者やねえ」そう言ってお店のお姉さんこと鶯さんが何個か小さいものを見繕ってくれる。「これは花のが強めでほのかに香る優しい香りやね、こっちは少し大人っぽい香り、こっちは海の香りがするって言われとる」「ふむふむ…」真剣に話を聞きながら、それぞれの香りをかいでいると「何見てるの?」耳元で空くんの声がした。「うわ!?」振り返ると空くんも少し驚いた表情をしていた。「ご、ごめん」「いや、こっちこそごめん。で、何見てたの?」「えっと…」「香炉やよ」そう言った鶯さんの言葉に空くんは私の手元のものの香りを嗅いでから「俺はこっちの方が似合うと思うな」と私の手から掻っ攫って行った。(旅人/gnsn)