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「ねえ降谷」
「なんだ」
「こんどちょっと風見借りてもいい?」
「は?なんで」
「デートするからに決まってるでしょう」
「………は?(バキッ)」
「えっまっていまボールペン折れたんだけどえっこわ」
「風見とデートってどう言うことだ。付き合ってるなんて聞いてないが?そもそも届出も出してないよな?」
「は?出してないに決まってるでしょ、捜査だもの」
「…は?」
「いまウチの班が抱えてる案件でパーティーに潜入しなきゃいけないのよね。しかも同伴じゃないとダメなやつ」
「お前自分のところの部下と行けよ」
「そうしたいんだけどウチの部下も別口で潜入するから無理」
「仕事だろうが。それに、風見は俺の部下だ」
「あら、降谷の部下は同僚の私の部下でもあるわよ」
「どんなジャイアニズムだよ」
「降谷だってウチの部下使ってるでしょうが。しかも私に何の断りもなく。報告は上がってんのよ」
「…まぁ、」
「だから風見かりるわね」
「…そもそもなんで風見なんだ?」
「真面目だし、身長おっきいし、悪目立ちしない」
「…まあ、真面目なのは認める。だが、普通は同僚に頼むんじゃないのか?そう言うのは。僕だってお前より身長あるぞ」
「は?馬鹿なの?降谷目立ちすぎるからダメでしょ、自覚ないの自分の見た目」
「イケメンですが何か」
「はーーーーこれだから!そう言うところ!昔から腹立つわー!!そもそもパーティーなんだから目立ちすぎちゃいけないのよ!風見が最適なの!」
「でも風見割とすぐ顔に出るぞ」
「マスカレードパーティーだから問題ない」
「じゃあ風見の代わりに俺が行く」
「いやだから「マスカレードパーティーなんだろ?なら目立たないしお前も僕のほうがやりやすいだろ」…………まぁ、そう、だけど…」
「じゃあ決まりだな」
「うううううん」
「…なんだ、」
「……………ドレス買わなきゃなあって」
「何だ持ってないのか?あるだろ」
「あるけど降谷赤嫌いでしょ」
「嫌いだな」
「だから買わなきゃいけないの」
「なるほど、なら買いに行くか」
「……は?」
「こういうのは早いほうがいいだろ」
「いやいやいやいや、待って?」
「何だ」
「何で一緒に買いに行くの前提で話すの!?」
「パーティーに一緒に行くのが僕だからだよ」
「いやでも一緒にはないでしょ、つーかまだ仕事終わらないし」
「気分転換にする」
「人の買い物を気分転換にしないでくれる!?」
「風見、2時間くらい抜けても平気だな」
「はい大丈夫です、降谷さん」
「松戸も平気だな?」
「はい大丈夫です!!!!!!!」
「いやなんで私の部下にも確認してんの!」
「よし行くぞ」
「いやあああこんな格好で買い物行きたくない〜!!!!!!!」





「あの2人本当に仲良いよな」
「仲がいいのかあれは」
「ウチの上司素直じゃないから…」
「降谷さんも素直じゃないしな…」


※松戸(まつど):主の部下で右腕。風見と同期。降谷に使われることも多々ある。有能。既婚者。