嗜好は人それぞれ。いまさらそんなことを口に出して、とやかく言うつもりはない。俺だって鯖が好きだし、光秀だってイカが好きだ。しかしそれが自分の身に降りかかってくるとなれば別問題。
俺はベッドの上に正座して、シーツの上に広がるセーラー服と睨めっこしていた。
遡ること1時間前。
休日を利用して光秀の部屋に泊まりに来ていた俺は鳴り響いたチャイムの音で目を覚ました。時刻は午前9時過ぎ。別段早い時間というわけでもないが、昨晩寝た時間が遅かったこともあり僅かに瞼が重い。同じく眠いのか欠伸を噛み殺しながら、光秀が床に落ちている衣服を羽織る。
再度チャイムが鳴った。
「へいへい……ったくこんな時間になんだよ?」
ぶつぶつと文句を言いながらも玄関へ向かう光秀。
仕事関係となれば携帯が鳴るはず。そう考え何か勧誘の類だろうかと腰に怠さを感じながらも適当に衣服を羽織った。
昨晩の記憶が途中から曖昧なのを思い出す。しかし今は気持ち悪いところもなく綺麗に体が清められている。そうなれば当然後処理をして綺麗にしてくれた人物は一人しかいない。体を重ねるのも、こうやって朝を迎えるのも数え切れない程なのに、未だに羞恥が付きまとうし、意識してしまえばそれだけで顔が火照ってくる。そんな俺を光秀は笑うが、照れてしまうのだからどうしようもないのだ。そんなことを考えながらのろのろと服を着ていると、片手にダンボール箱を抱えて光秀が戻ってきた。
「宅配業者だったのか」
「おう」
「贈り物か?」
「いや、通販。今日届くの忘れてたわ」
「そうなのか。何買ったんだ?」
単なる好奇心からそう聞いた俺に、光秀はテーブルに箱を置きながら笑みを返してきた。
「なんだと思う?」
「質問に質問で返すな」
「まぁまぁ。いいじゃねぇか……時に真琴クン」
「なんだ」
「そんなツンケンしなさんな」
「そう呼ぶ時の光秀は何か企んでる」
「……気のせいじゃねぇ?それより――」
そう言って光秀はあるものを俺の目の前に差し出してきた。
「中に入ってるモン当てたらコレやるよ」
「っ!!光秀それ!!」
光秀が差し出してきた物、それは魚通の間では有名な高級割烹料理店の優待チケットだった。
「なんでそれ!しかも数ヶ月先まで予約が埋まっているという1日1組限定のコース料理じゃないか」
「あぁ。ちょっと、な」
「本か?……いや、光秀がわざわざ通販するぐらいだ……珍しい酒か?」
「ったく、途端にやる気出しやがって」
「だって魚だぞ!?」
興奮したように光秀に詰め寄れば、驚いたように目を見開かれた。次いで聞こえる笑い声。
「っくく、ほんっと分かりやすいよな」
「うるさいっ」
目の前に喉から手が出るほど欲しい物があるというのに、気持ちが高ぶらない筈がない。笑い続ける光秀にジトりと視線を向ければ、ようやく笑いが治まったのか自信たっぷりに告げてきた。
「チャンスは1回だ」
「ヒントはないのか?」
「ヒントだぁ?……そうだな、さっき言ったのは両方とも違う」
「……色とか」
「白、だな。あと赤もか?」
(白と、赤……)
出された手がかりを頼りに答えを導き出す。白と赤、そして光秀がわざわざ通販してまでも手に入れるもの。
(っ、やっぱりコレしかない)
「……わかったぞ。イカだろ?通販してまで取り寄せるということは幻のイカ料理か?」
「ぶっは!!くくっ……幻ってなんだ、幻って」
「えっ?違うのか?」
「違げぇよ」
「そうか違うのか」
イカに目がない光秀の事だからと思ったが見当違いの答えを導き出し、あからさまに落ち込む俺の肩に光秀が手を置いてきた。
「まぁそう落ち込むンじゃねぇ。優しい俺様が慈悲を与えてやろう」
「光秀……」
「実はなぁ、コレ真琴用に買ったんだ」
「俺?」
「そ。だから受け取ってくれるだけでいい」
「でもそれじゃぁ俺ばっかり」
「だぁから、慈悲を与えてやるってんだ」
そう言ってチケットをちらつかせる。ぴらぴらと目の前で揺れる獲物に思わず飛びつきそうになるのをグッと堪えて光秀を見上げた。
「それ開けてみろ。んで、中のモン使うっつーんだったら、コレやるぜ?」
「……使う?」
光秀の言葉にどこか引っ掛かりを覚えつつも、箱を開けてみる。中から出てきたのはそう、白い――セーラー服だった。
「……」
「嬉しくて声も出ないかァ?」
「光秀……最初からこれが狙いだったんだろ?」
「あぁ?違げぇよ。そいつはどっちにしろお前に着せようと思ってたから」
「なお悪い!!」
頭が痛くなる。何でこんなもの、と視線を下に落とすと畳まれた紺色のスカートと思しきものの横にボトルがある。瞬時にそれが何か分かってしまい頬に熱が集まっていく。
(これって、あれ……だよな)
俺の視線に気付いたのか、光秀がニヤと笑みを浮かべた。
「もうすぐ無くなりそうだったからよぉ。ないと困るだろ」
見えたパッケージの『温感』の文字。ふとこの前手頃な店で調達したものが冷たいと光秀に文句を言ったのを思い出した。気を遣われて嬉しいやら恥ずかしいやら、もう俺の頭の中はパニック状態だ。「言っとくけど、それ買ったついでに服なんかが目に入ったンでよ、オメェに似合いそうだからつい買っちまった」と呑気な声が聞こえるが、それどころではない。
気が付いたら咄嗟にそれを手に取って光秀に向かって投げていた。
「うおっ、あっぶねぇな」
光秀は難なくローションのボトルをキャッチする。
「エロオヤジ!」
「はぁ?って、顔真っ赤じゃねぇか」
「うるさいっ」
「で?どうするンだよ。いらねぇの?コレ」
ソファに深々と腰掛け例のチケットを見せつけながら、愉しそうに俺の様子を伺ってくる。完全に光秀のペースだ。悔しさで目じりを釣り上げ睨みつけたが、当の光秀は悠々と構え投げつけたボトルを手持ち無沙汰に空中に放っている。
「う……」
「真琴がいらねぇってンなら、そうだな……和食が好きそうな伊達川にでも譲る――」
「ま、待て光秀!!」
「なんだよ」
「その、いらないとは、言ってない」
「じゃあそれ」
そう言って光秀の視線が箱の中身に移る。
「う……」
「じゃあコイツは伊達川に――」
「分かった!着れば良いんだろ」
『魚料理』の誘惑にどうしても抗えなかった。
どうせ着るだけだ。そう言い聞かせ制服を引っ掴んで光秀の前を通り過ぎる。箱の下にあった何とも言い難い、目に毒な配色の物が鎮座していたのは見なかったことにする。
「あっち向いてろよ」
「あぁ?ここで着替えればいいだろ」
「馬鹿そんなこと出来るか!」
そして数刻前まで居たベッドに逆戻り。勢いのまま掴んで持ってきたセーラー服をシーツの上に投げてため息をひとつ。
(なんでこんな服……俺なんかが着て何の得があるんだ?)
首を捻るが答えは出ない。
「おーい真琴。まだかよ」
「っ!大人しく待ってろ」
「へいへい」
間延びした催促の声がかかる。光秀のことだ。前科もあるしモタモタしてたら様子を見に来かねないから、とりあえず着替えるべくシャツに手をかけた。
(こっ、これは短すぎないか?)
太腿の半分にも満たないスカートの丈。足元がスースーして何とも頼りない気持ちになる。思わずピンっとスカートの裾を引っ張った。そうやっても長くなるわけではないが、気持ち的に。
着替えも終えたことだし、とりあえずベッドの上に広げたままになっている、着ていたシャツやズボンを畳もうと前屈みになってそれらを引き寄せた。
「おっ、いい眺め」
シャッター音と共に聞こえた声に思わず固まってしまう。慌てて振り返るとそこには携帯を構えた光秀の姿があった。
「なっ、な……」
「もうちっと足開いて屈んでみな」
「な、んで、ここに……」
「遅かったからよ、着替え手間取ってンのかと思って見に来たとこだ。なんだ、似合ってるじゃねぇか」
シャッター音は止むことなく俺の醜態が納められていく。半ば反射のように光秀に飛びかかった。
光秀の携帯を奪おうとするものの手を高く上げられただけで頭の遥か上、手の届かない場所に追いやられてしまった。
「消せよ!」
「もう保存しちまった」
悪戯っ子のように歯を見せて笑う姿にカッとなり、つい冷静さを欠いてしまう。暫く攻防が続いたが、光秀がベッドに足を取られ倒れ込んだことでそれは終わった。俺が下敷きになりそうなところ、体を捻って光秀のほうが背中から倒れる。
「うわっ……」
「……って!」
僅かに顔を顰める光秀に慌てて上体を起こす。
「すまない。大丈夫か?」
「いや、俺もやりすぎたわ。怪我ないか?」
「あぁ平気だ」
「そうか」
光秀の気遣いに心臓が高鳴る。愛しげに覗き込んでくる瞳。言動は粗雑だがこうやってふとした瞬間に気遣われたり、労わるってくるのが堪らなく好きなのだ。――本人には決して言えやしないが。
そのまま少しの間お互いを抱きしめあったまま体温を確かめた。
「光秀、そろそろ着替えたいから離してくれないか?」
「んーなんでだ?」
「何でって……着ただろ、これ」
足元はスースーして落ち着かないし何より恥ずかしい。男の俺がこんな格好をしているのを見て何が楽しいのだろうか?今は光秀に抱きしめられていて見られる心配もないが、正直早く脱ぎ捨てたくてしょうがない。
「俺は別に着ろって言った覚えはないぜ?」
「は?」
「使ったらやるって、言ったよな?」
口角を釣り上げる光秀に思わず腰を引く。が、がっちりと抱き込まれていてそれも叶わぬこととなった。
「使うってまさか……」
「おっ、察しがいいな」
さすが真琴と褒められるが、全くもって嬉しくない。短いスカートの裾から光秀の手が入り込んでくる。魔の手から逃れようとも器用に光秀の足に挟み込まれ満足に体を動かすことも出来なかった。
だから逃げ出すことに躍起になっていた俺は気付くのに遅れてしまった。魔の手がスカートの下の布切れにまで及んでしまっていることに。
一瞬の間だったと思う。あっと思ったときにはスカートの中に侵入した手が下着のゴムを引っ掛け、そのままするりと抜き取られてしまっていた。
こいつは早脱がせのテクニックでも持っているんだろうかと疑いたくなる。
「光秀何するんだ。返せ!」
「邪魔だから脱がせた」
「邪魔っ、て……ン、変な触り方するなっ」
「……なんかイケナイことしてる気分になるな」
「はっ、ぁ、このっ、変態」
「その変態に触られて、ココ、こんな風にしちゃってんのは誰だよ」
「うあっ!」
指摘され顔が火照っていく。徐々に熱を帯びるそこを膝で刺激され、引きつった声が漏れる。
「エッチな生徒には指導が必要だな。なぁ、真琴?」
「……ひっ」
耳元で低く囁かれ、同時に耳たぶを食まれる。吐息と僅かな水音が鼓膜を通して伝わってきて、背筋にゾクリとしたものが走った。
上着を捲くり上げられ、脇腹を辿り臍の周りを手が這う。男らしい無骨で大きな手。肌の感触を確かめるようにゆっくりと動かされる。
「ここに手ぇついてな」
「手?」
「そ。ここに」
『ここ』と光秀の頭上、ベッドヘッドへと手を導かれる。訳も分からず大人しくそこに掴まっている俺を光秀は満足そうに見上げ、たくし上げられた制服から覗く淡く色付く突起に触れてきた。ようやく光秀の意図を汲み取ったが、否と言う言葉は伸びてきた手によって嬌声へとすり替わっていく。
「いい子だ」
「はぁ、あ……光秀、っう」
「こうやって眺めるお前も新鮮だな」
「なに言って……ん、ふぁ……」
光秀の頭に覆いかぶさるように胸元を晒し、その手を、舌を受け入れている。意外と布の多いこの制服。自分の位置からでは光秀の表情はおろか、何をされているのかまで見ることは出来ない。恥ずかしいはずなのに、止めて欲しいはずなのに、崩れ落ちそうになる体を必死で支えている自分がいる。
ぷくりと主張しはじめた突起を指の腹で転がされ、爪先で弾かれる。その度に背中から腰にかけて軽い電流が走り抜けたかのように痺れた感覚が広がっていく。口に含まれ舌で嬲られ、じゅうっと音を立てて吸い付かれる。
「あぁっ、ひぅ、ぁ!!」
「っと」
がくんと一気に力が抜け、倒れそうになるところを光秀に難なく抱きとめられた。体勢を入れ替え、間髪入れずに覆い被さってくる光秀を今度は仰ぎ見る形になる。
「そんなに気持ちよかったかよ」
「……」
恥ずかしさから口元を手の甲で隠し思わず視線を逸らす。その仕草があまりにもわかり易かったらしく、笑った光秀が髪をくしゃりと混ぜてきた。
おずおずと光秀を見ると優しい瞳とぶつかる。意地の悪い笑みで煽ってきたり、獣のような獰猛な一面を見せてきたり、かと思えば蕩けるような優しい表情をしたり……本当に心臓に悪い。そして、この男に心底惚れ込んでしまっていると実感させられる。
近くなる距離に瞼を伏せる。唇に触れた柔らかな感触。
一度軽く触れ離れたあと、すぐに触れる。啄むような優しいものから徐々に呼吸を奪うものへと変わっていく。
「は……ぁ」
「っ、ぁ……ふぅ」
縋り付くように光秀の首に腕を回せば、きつく抱きしめ返された。
上着を捲られ露わになった乳首が、体を密着させたことで光秀の衣服に擦られる。耐え切れず上ずった声を発してしまった。
「感じちゃったんですかぁ?」
からかうように声色を変え、光秀が訊いてくる。その態度が面白くなくて、体の間にそっと手を差し入れる。するとぴくりと片眉を上げて光秀の動きが止まった。触れたそこはすでに熱を孕んでいて、形を確かめるように手を動かせば光秀の口から荒い吐息が溢れた。
「光秀こそ俺の触っといて、こんなになってるくせに……」
「っ、は……オメェな……自分で言っといて、そこで照れんな」
「う……だって」
「大胆なんだか、ウブなんだか……ま、そこが可愛いんだけどよ」
「可愛くない」
光秀が苦笑しながら額に唇で触れてくる。擽ったくも温かなそれはとても優しいものだった。それとは裏腹に不埒に這い回る手。スカートの中で主張する自身を握り込まれる。
腰を持ち上げられ不意に体が宙に浮く。そのまま光秀の太腿の上に乗り上げるような形にされた。しかし上体は寝そべったままで体勢に若干の息苦しさを覚えていると、こちらを伺っていた光秀の瞳がすぅっと細められる。
「……はぁ、んぅ」
「スカートにこれは、アンバランスで逆に唆るな」
「んぅ?」
ぽかんと光秀を見やれば、静かに涙を溢れさせる俺自身をピンと指で弾いてきた。
「ひっ、やぁ!」
刺激に耐えながらも視線をそちらにやれば、たくし上げられた紺色のプリーツスカートの裾から屹立したものが見える。通常ではあり得ない組み合わせ。言いようもない羞恥に襲われ、うろうろと視線を彷徨わせれば同じく紺色のセーラーカラーと赤いリボンが目に入る。
改めて自分の格好を思い出してしまい、全身の血液が沸騰してしまいそうな心地さえする。
そんな俺をよそに光秀はさっき届いたばかりの例のローションを手に取った。片足を抱え上げられ、脛に口付けを落とされる。
「黒のストッキングかハイソックスってのも良さそうだな」
「は……って、ちょ、ぁ、光秀」
「ンな顔しても煽るだけだっての」
「待て光秀!これっ……嫌だ」
掴まれた片足を光秀の胸元にぐっと引き寄せられ腰が浮いた状態になる。光秀の眼下に晒されているであろうものを想像してしまいジタバタと足をばたつかせた。
「大人しくしろって」
「だったら降ろせ」
「それはできねぇな」
「……ひうっ」
とろりと粘ついたものが垂れる。冷たさはないが、独特の粘りに体がピクリと反応してしまう。その隙に光秀の指が奥の窄まりへと突き入れられる。
「あぁっ……んっ、ひ、ぁ」
「ハッ……丸見えだなァ」
「っ、の、変態っ!……ぅ、ヒッ!あぁぁっ」
「へぇ……まだ余裕じゃねぇか」
ニィと弧を描く光秀の口元から犬歯がチラと覗く。
2本の指を飲み込むそこへ再びローションが垂らされる。指を伝ってナカへと入っていく感覚に、きゅうと締め付けてしまう。広げるように掻き回される指の動きにあわせて、ちゅぷと水音が響く。
指がしこりを捉え、そこを容赦なく押しつぶし、抉ってくる。
「あぁっ、んっぁ……そ、そこ、やぁっ!」
「あぁ?締め付けてきてンじゃねぇか」
「やぁ……も、イく」
「おー我慢せずイっちまいな」
「ん、ぁっ……ひっ、ァ、ぁぁっぁ!!」
目の前が真っ白になる。
絶頂を迎えたと同時に腹や顔に熱い飛沫を感じた。ぼやけた視界に驚いたように目を見開く光秀が映り込む。
「こりゃまた……盛大にぶちまけたなぁ」
「んっ……」
言いながら頬に添えられる光秀の手にさえ達したばかりの体は敏感に反応してしまう。どうやら腰を高く持ち上げられていたせいで自分の顔にかけてしまったらしい。驚きながらもどこか興奮したように、ギラギラした目を向けてくる光秀。お前のせいだろうと口に出して言いたくとも、いまだに呼吸の整わない状態では難しい。
「その表情たまんねぇな……ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる」
「はぁっ、ぁ、しゅみ、悪いぞ」
頬をするりと撫で、飛び散った白濁を親指で拭われる。そのまま光秀は己の唇に持っていき、見せつけるように舐めた。肉食獣を思わせるようなその仕草に喉が鳴る。
体を折り曲げるように伸し掛られ、後孔に光秀の熱を感じた。
「う、ぁぁ……ひっ、ァ」
「ッ、は、きっつ……真琴、力抜け」
入り込んでくる凶悪なまでの質量に息が詰まる。じわじわと侵食されるような感覚に思わず身震いをしてしまう。同時にそれも光秀に伝わってしまったようで、低い呻き声が聞こえた。
「はぁっ、んぅ……光秀」
「っぐ……う、大丈夫か?」
「ん、だいじょぶ……だからっ、はやく……動け」
「言うねェ。後悔してもしらねぇから、な」
「うっ、ぁ、ひ……ッ、ぁぁん!」
最奥まで突き入れられ息が詰まる。けれど苦しいだけではなく、そこから染み出るように体中に快楽の波が広がっていく。もっと、もっと。はしたなく動く腰を咎めるように掴まれ奥を抉られる。
「腰……っ、揺れてるぞ」
「ッ、んぁっ、は……あぅっ」
「堪え性がねぇな」
「……えっちな俺を、っ、ぁ……指導するんだろ、明紫波せんせ?」
「……ッ!」
口元に微笑みを湛え光秀を見上げれば、呆けたようにじっとこちらを見つめている。暫くして舌打ちが聞こえたかと思うと、腹に響くような突き上げによって揺さぶられた。さながら歯を剥き出しにして唸る獣ようで、背筋がゾクりと粟立つ。けれど、悦楽を感じているのも事実。
「ひぁ、ッ……んぅっ、ふぅ」
「はっ……そうだなァ、エッチな徳川には補習でもしてやろうじゃねぇか」
「あぅっ!は、ッ、あぁぁ……やぅ、そこっ」
「ココ?」
「やぁぁっ、ンぁ!」
「嫌じゃねぇ、だろ……気持ちイイとこだよ、なぁ?」
「あっ……ん、ぅ、いい……からぁ」
「いいから?」
「っ、と……もっ、と」
猛った剛直で力強く穿たれ、めちゃくちゃに掻き回される。光秀に知り尽くされた気持ちイイとこ、今更隠しだて出来るはずもない。
小刻みに揺さぶりながら上体を起こした光秀は、俺の姿を上から下まで舐めるように視線を這わせた。
「ん、はっ、ァ……な、に?」
不躾なまでの視線にさすがに耐えられなくなる。
「んー?いや……エロいし、可愛いなって」
まじまじと見つめられ、事も無げに告げられ、忘れかけていた羞恥心がむくりと膨れ上がる。そういえば制服を、本来の性別が身に付けることのない衣服を身につけていると。
「ばかぁ、そんな、見るなっ」
「見るなって……見るだろ、普通」
「ふぁっ、あ……ン、くぅ」
「セーラー服着て、ココおっ勃ててよ。ちゃんとオトコノコなのに、オンナノコみてぇだな」
ダラダラと涙を零す自身が目に入る。今にもはちきれそうなそれは、男としての証なのに視界に一緒に飛び込んでくるのはスカートと、ぴったりと押し付けられた光秀の腰。
気が付けば捲くれ上がったスカートを握り締め、目一杯ピンと伸ばし、そそり立つ自身を隠していた。
「や、だ……はずかし」
「ンなことしたって、逆効果だっての」
「んやぁぁ!!は、ぁっ、あっ、ん」
光秀の手にスカートごと自身を握り込まれ擦り上げられる。敏感になったそこは衣服に触れることさえも快楽として拾う。じわりと溢れるものが染み、色濃くなっていく様を引きつった声を上げながら、ただ眺めることしか出来なかった。
「っ、あー……たまんねぇな、その顔」
「ひぅっ、あっ……ひぁ、あぁ、ァ!」
「はっ、あ……真琴」
色々言ってやりたいことはあるのに、口を開けば全て嬌声にすり替わる。弱い場所を長大なもので擦られると堪らない。腰を仰け反らせポロポロと涙を流す俺を見て、さらに中のものが大きく反応を示す。眉を寄せ必死に耐えている姿が愛しいと。俺で感じて、気持ちよくなってくれていることが嬉しいと素直に思える。
「はぁっ、ン……みつひで」
縋るように手を伸ばせば握り返してくる。そのまま光秀の背中に回すよう導かれ、しがみつき、縋り、鳴いた。
光秀も限界が近いのか律動を早める。
「んぁっ……ンっ、ぅ……みつ、ひで、ぁっ」
「限界か、ッ?」
「ん……あっ、ひ、ぅ……みつひれ、も、いっしょが……いい」
「ッ、く……言われなくとも」
「あぁっ!あうっ、ひっ、あ……あぁぁっ、ぁぁ!」
絶頂と共に、中に熱い迸りを感じる。最後の一滴まで搾り出すかのように、光秀がゆるゆると腰を動かす。達したばかりの体ではその動きすら敏感に感じ取ってしまう。
「ん……」
「はぁ……んぅ、ぁ……」
ずるりと抜け出る感覚に軽く身震いをする。指一本動かすのも億劫で、このまま眠りについてしまいたい。光秀も隣に寝転び、俺の髪を撫で遊んできた。
「……大丈夫か?真琴」
「なんとか」
脱力し天井を見上げてふと気付く。
(……まだ昼じゃないか)
起きてベッドに逆戻りなど、なんて淫猥な時間を過ごしていたのだろうと考えていると顔に影がかかる。何事かと見上げると、光秀がやや乱雑に顔を拭ってきた。そういえば自分のものを顔にかけてしまったのだと思い至り、頬が熱くなる。
「……ありがとう」
「うし、綺麗になったな。さてと……真琴、次はどれがいい?」
「次?」
「おう。これの中でどれが良いかって聞いてんだ」
「ヒッ!!」
光秀が手に持っているものを見て思わず悲鳴を上げた。
「これなんかいいと思うが、どれ使うよ?」
「なっ、え、と……ナンデスカソレハ」
ダンボール箱の下にあった、見て見ぬふりをしていた、所謂大人の玩具。それを手に、笑顔で訊いてくる光秀。
その後俺が痛む腰を庇いながら、光秀と共に高級料亭に行くことになったのは言うまでもない。
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