嫌い、嘘。大嫌い、


私にはずっと好きな奴がいる。
それは…



「お疲れ。お前の顔すごいことになってるぞ」

「お疲れ様。何よそれ!てか私より降谷の方が断っ然酷いから!」



私と同じく、警察庁警備局警備企画課に所属している降谷零。

彼は公安のエースと呼ばれる存在で、私は課の中でまだまだな下っ端。
"警察学校時代からの友人"から意識が変わり始めたのはいつだっけ…?



こうやって可愛くない返ししかできないけど、ほんとは、

"お疲れ"

その一言をかけてもらえるだけで嬉しい。でも、ついて出る言葉はいつも思ってる真逆のことで。

軽口叩けるくらい降谷に近い存在になれたのは嬉しかった。
前はそれだけで幸せだったのに、一度この想いに気づいてしまえば、どんどん欲が出てきてしまう。



私を1人の女として見て欲しい、
とか、
降谷と恋人関係になりたい、
とか。


いくら思っても素直になれない自分が嫌い。

でも今更降谷に対して素直になれるとも思えない。
いや、なったところで振られる未来は見えている。"日本のために"という意識が人一倍強い降谷には…


「どうしたんだ?」

「別に…」

「何かあるなら言えよ」

「 …大丈夫だし」

「本当か?」

「ほんとに!!」

「…じゃあ、もし俺が明日消えても、泣くなよ?…嘘つき」



意味深なことを言って笑いながら去って行く降谷。

何よそれ、縁起でもない…。
まるで明日からはここに居ないみたいな言い方じゃないか。




***

翌朝、降谷はこの部署から消えていた。
リストを見ても、どこにも降谷零の名前がない。
何で、そうやって何も言わずにいなくなっちゃうの?

…いや、言ってたか。



もしあの時、私が自分の気持ちを伝えてたら…?
彼を引きとめられていた?


そんなことは絶対になくても、伝えられなかった後悔はなかったのに。

こんな私なんて…



2017/05/16 rewrite
さこさん企画 第1回 #DC夢題
『嫌い、嘘。大嫌い、』より

★Top


back next