くぁ〜と大きな欠伸を一回。
「あ、移った」
日本人は畳だろう、という彼の要望で敷いた茣蓙の上に二人並んで横になる。外はまだ少し肌寒いが屋内では暖かい陽が射し込みまさに昼寝日和だ。
「ねー、眠くない?」
「そうだな、少し眠くなった」
少しかさついた手を握り体温を確かめる。
「本当だ、零の手もあったかい」
私よりも大きく無骨な彼の手が好きだ。彼の手ごと持ち上げ光に翳す。
「何をしているんだ?」
「零の手は綺麗だね」
この大きな手で日本を守る彼は本当にかっこいい、そして誇らしい。そんな意味も込めて。
私にとっては至極当たり前のことも彼にとっては嬉しい言葉だったようで、繋がれたままの手を引かれ抱き寄せられた。
体格差があるため彼の唇は私の額辺りに来る。そのため零はよく額に優しくキスを落とす。幾度となくされてきた行為も毎回嬉しく、胸がきゅんとする。
ちゅっとリップ音が鳴り彼を見上げるといたずらっ子のように笑っていた。
「わざとやったでしょ」
「そうだよ。なまえは可愛いね。この柔らかい髪も好きだよ」
彼の金とは違う茶色をゆっくりと撫でた。
「なぁなまえ、このまま昼寝しようか。それで夜はピザパーティーでもしよう」
滅多にない彼からの魅力的な提案は逡巡することなく可決された。