過去の遺物。考えたやつのネタバレありのネタ部屋兼お返事返し部屋。

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キッドと幼女

キッドと「人魚病」を患った少女のはなし
大昔、人間が魚人を認識していなかった時代に人魚を見た、という話から出来た御伽噺「人魚姫」。
人魚が泡になって消えることからつけられた「人魚病」
身体の一部に様々な宝石のような鱗が生え、鱗自体は剥がれても再生され、水に長い時間浸ると泡になって溶ける身体を持つ。
多少水に晒され溶けた程度だと、時間を置けば回復するが、限度があるので水に触れないのが望ましい。
生まれ持ってからかは定かではなく、治療法も見つかっていない。
鱗は宝石と同等の価値があるとして高値で売買されており、その病に罹った者の心臓も鱗と同じく宝石となり、億単位で取り引きされている。一部では金を産む病だと、罹った人間を監禁している金持ちや海賊もいるらしい。

新聞で話題となったのは少女が生まれた10年ほど前(8歳設定)で、今では殆ど忘れ去られているが、噂では海軍の研究所から生まれた病だとも言われている。
発症人数も少ないため、一般人の意識には尾ひれが付きまくって、触れただけで移ると噂されているが、皮膚感染も体液感染も空気感染もしない。

少女は3歳の頃、封書を抱えて町長の家の前に放置されていた。
封書の内容は少女が人魚病を患っているということ、水に触れてはいけないということ、病は他人には移らないということ。
子供のいなかった町長は少女を育てたが、2年程たったある日、町で何人もの人間が人魚病を発症し、多くの人間が雨や水で命を落とした。
町長は他人には移らない、何かの間違いだと町の人たちに話をしたのだが、家族を亡くした遺族には聞き入れて貰えず、疫病神、死神だと罵られる少女を泣く泣く山中へと置き去りにし、決して町へは来てはいけないと言い付けた。

そして3年の月日が流れる。
町の人間の半分が亡くなったが、徐々に人が増え始め少しずつ町としての勢いを取り戻し始めた。
そんな中で町の住民が少女を海軍に引き取って貰おうと、町長の家へとやって来た。
やっと町が活気を取り戻し始めたんだ、また疫病神に何かされては堪らない。あんたには悪いが海軍には連絡をつけてある。それに、あんな山中で生きるより少しはマシな生活になるだろうよ。あんたが人目を盗んであの疫病神に会いに行ってることは知ってるんだ、病を持ち込まれちゃたまらない。
止める術もなく途方に暮れていた時に、キッドたちがやってくる。
町の住民は航海をするもの、勿論海賊相手にも商売をしていて、酒や日用品を買いに来たキッドたちにふと言葉を漏らした。

明日には海軍がここにくる。此処のログは1日だ、溜まったらさっさと出て行った方がいい。
海賊相手に商売してるのがばれちゃ海軍に目をつけられて商売上がったりだ。
なんで海軍が来るのかって?ここの山には人魚病を患ったガキがいてな、それを引き取ってもらうのさ。
あんたらも移されたくなきゃ山には近寄らねえほうが身のためだぜ。

それを聞いたキッドは興味本位で山中へと向かう。
雨が降り始める→雨宿りに洞窟を見つける→噂の少女と出会う→一足早く海軍が来る→少女を抱えて逃亡。
しかし海軍は少女を捕まえる為の少人数だったため、船に戻ったキッドはキラーたちに追い払うように命じ、船内へ。
船長室についたキッドは、抱えていた少女を降ろす。大丈夫か。視線を合わせる為にしゃがんだ目の前で、べちゃりと水にしては重々しいものが床へと落ちる。肉片ほどの大きさの泡だった。
鱗がついていた頬が一部、泡のようになって溶け落ちていた。

船医に少女を任せ、海軍を追い払った後、町長が船に訪れた。
自分では娘を守りきれない、海が危険なことはわかっているがどうか連れて行ってやってくれないか、と。
この子の為にと貯めた金をキッドに渡し、交渉成立。少女はキッドの船に乗ることに。

勉強も一般常識も知らない少女に色々と教えてやる船員たち。見守るキラー。キッドに懐く少女。そんな彼らのおはなし

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