「綺麗だわ、ルフレ」
「ふふ、ありがとうサーリャ」


照れ臭そうに柔らかく微笑むルフレは、純白の華やかなドレスに身を包まれていて。
誰よりも美しくて、美しくて、美しくて。


「心臓がばくばく言ってて凄く恥ずかしいんだけど、とっても幸せ」
「そう…」


心臓を落ち着かせようとしているのか、鼓動を聞いているのか、白く細く小さな手が胸の上にゆっくりと乗せられた。ふう、と紅を塗った形の良いふっくらとした唇から吐き出された溜め息から、ルフレが幸せに浸っているのがよくわかって、胸が痛い。まだ何にも捕らわれていない左手の薬指。そこに通る指輪が、私の手から通される指輪だったらどれだけ幸せだったのか、私には想像出来なかった。


「ルフレ」
「なあに?」


首を傾げる姿も、純粋無垢な瞳も、可愛らしい声を発する唇も、私のものにはならない。私に向けられることはない。どうして私はルフレと同性なのか。どうしてこの世界は異性としか結婚出来ないのか。どうして私は、私は、

ガイアには、なれないのか。


「…好きよ、ルフレ」
「あら、あたしも貴方が大好きよサーリャ」






私が愛した人が愛したのは、


title:不在証明
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