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ヴァンティナ(DDFF) >> other
辺り一帯を埋め尽くす白。見渡す限りの雪景の中にヴァンは少女を連れてやってきた。ふざけた道化師から逃れる為に。
その道中で赤くて大きな丸いポンポンと、これまた大きくて赤い鼻、丸っこいボディが特徴なモーグリと出会う。この世界のモーグリは商売という形で、必要な物資をくれる有難い存在だ。
オレの世界のモーグリと呼ばれる種族と随分違うよな、なんて考えながらヴァンは必要なものを買い揃えていくが、途中である事に気付く。
周囲への反応が希薄な少女の焦点の合わなかった瞳が、モーグリにぴったり合わさっていたのだ。
「モーグリ、気になるのか?」
こくり。静かな肯定。
「なら、ほら、触ってみろよ」
そう言って赤いポンポンを無造作に掴むと少女の胸の前に差し出す。恐る恐るといった様子で触れる少女。なにするクポッ!?という抗議の声が上がったが、この際無視だ。
ふわふわ、もふもふ、ふかふか。
後に少女のどことなく嬉しそうな様子を見たモーグリは、大人しく降参したという。