泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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植森 >> ueki


植木がメガサイトから帰ってきて暫くが経ち、植木、森、佐野、鈴子、ヒデヨシのお馴染みの五人で集まっていた時のお話。
時刻は夜七時。夕飯を食べようと適当なファミレスに入り、注文を決めてしまうと、森が「お手洗いに行ってくるわね」と席を立つ。
これ幸いとしたのは佐野だった。

「単刀直入に言うわ。植木、お前がおらへん間、森がようさん男共から告白されたのは知らへんやろ?」

いきなり爆弾を投下する佐野に、向かい側に座っていた鈴子は絶句する。同じく二人の向かい側に座っていたヒデヨシの方はといえば、呆れた目で佐野を見ていた。しかし、細かい事を気にしない彼は平気でこう続けていく。

「しかも、森は『好きな人がいるから』って断ってたらしいねん」
「……、」

植木が森の事を好きなのは周知の事実であり、本人も認める所であった。そんな植木の心臓を鷲掴みするように追い討ちをかける佐野の言は植木を追い詰めていく。

「森……」

あまりにも衝撃的だったのだろう。鈴子の「佐野くん!」という声や、ヒデヨシの「ぶっちゃけ、それは断る為の方便ってやつだっただろ」という声、佐野の「こうでも言わんと、コイツら進展せえへんやろ。それに、全く嘘とも思わへんしな」という声は耳に入っていないようだった。

「お待たせ」
「……」
「うえき?」

森が手洗いから帰ってきても植木のそれは続いた。
ちなみに、

「森。俺、森のコトが好きだ。森が他の誰を想っていようと、森のコトが好きなんだ!」
「……ちょ、ちょっと待って」
「待たない。森が好きな奴のコト、俺はよく知らない。ケド、森を好きな気持ちは誰にも負けないって自信はあるぞ。だから、」
「ちょっと待ってってば!私の好きな奴って一体何のコトよ?!」
「ん?」

佐野の奸計に気付くのも、

「でも、あながち間違いでもないのよね。だって私の好きな人は──」

想いを確かめ合うのも、少しだけ後になってからの事である。