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「あのっ…!」
「ん?」
僕がレッドさんに差し出した物は、昔に僕も使用した事があるレッドさん愛用の物だった。
巨大なカイオーガ―――いや、水のエネルギー体と何も分からないまま戦って数時間が経った。あの時は状況が状況、しかも石化から解けたばかりで、何故自分が所持していたのかも分からない。
何故かレッドさんにお姫様だっこされていて、真っ赤になってしまって…。
(しかもレッドさん、なぜか裸だったし)
慌てて降ろしてもらって、自分が持っていたそれにやっと気付いた時、当人に聞いてみたのだ。
そしたら、
「持っとけ」
なんてそっけなく言われてしまった。
その言葉に困ってしまい、レッドさんの真意を確かめようとした次の瞬間、ゴールドさんやクリスさんがやって来てそれどころでは無くなってしまい、レッドさんとはそれっきりなのだ。
「あのっ、これっ…!」
そこはホテル一室。
戦いに疲れた僕達は、ホテルで休ませてもらう事になったのだが、今ではエメラルドさん以外の所有者達がひとへやに集まって雑談をしている。
さすがに9人居るのはとても騒がしく賑やかで楽しい。
そんな時だ。
彼の持ち物をいまだに所有していた事に気付いたのは――――、
「これ、図鑑…?」
「これって、レッドさんのですよね?石化が解けた時にも言ったんですけど…」
そう、図鑑。
2年前に旅立つ時に渡されたレッドさんの大切な物。そして今でも大切にレッドさんが肌身離さず持っていた筈の物だ。
「あぁ、返さなくて良いよ。それイエローのだもん」
「…え、ええっ!?」
レッドさんが愛用していた大切な物のはずなのに、そんな簡単に…、
「どうして、ですか…?」
「実はさ、オーキド博士からバージョンアップ版を貰ったんだ。俺にはもう必要ないから」
そう言って、レッドさんは誇らしげに新しい図鑑を見せてくれた。まだあまり使われた事がないのだろう。それは新品の輝きを放っていた。
「ありがたく貰っときなさい、イエロー!」
ふと後ろから声がした。ブルーさんだ。ブルーさんがにやにやしながら、僕の後ろに立っていた。いつの間に聞いていたのだろうか…。
何やら視線を感じながら周りを見わたすと、僕は驚いた。気付けば周りの視線の全てが僕達に集まっていたのだから。
「…えっと、いいんですか…?」
少しだけ恥ずかしくなって、俯きながらもレッドさんに聞いた。
「あぁ!!」
勿論、レッドさんの答えは肯定のもので、それが当たり前かのように堂々とした声で答えてくれた。
そしたら後ろからまた声がして、肩に腕を回された。ゴールドさんだ。いきなりでびっくりしたけど、次のゴールドさんの言葉で嬉しくなった。
「これで、イエロー先輩も、正式な図鑑所有者っスよ!!」
…あぁ、やっと分かった。僕にこの図鑑をくれようとした理由。
それは、この人達の優しさだ。
今まで劣等感ばかりだった僕。
それを気付いていたんだ…。
「ちょっと、ゴールド!イエローさん、困ってるじゃない!」
「いいじゃんか、俺達の仲間だぜ?」
「んもうっ!」
「そろそろやめとけ。当人が困ってるぞ」
「仲間との絆かぁ、Beautiful!!」
「仲間…、格好良いったい!」
一気に騒がしくなって、驚いたけど、僕の頭はそれどこじゃなかった。感激で嬉しいって事しか頭になかったんだ。
「…僕、本当は皆さんが羨ましかったんです。図鑑を持って、旅をして、バトルして、楽しくしてて、羨ましかったんです…。だから、本当に皆さんの仲間に入れたみたいで嬉しいです」
「入れたみたい、じゃないだろう?」
遠くから椅子に腰掛け、微笑みを浮かべながら言ったのはグリーンさん。
「もう、あたし達は元から仲間なんだからね?」
後ろから抱きしめてくれたブルーさん。
そして…、
「これからも、俺達は一緒だ!」
大きなてのひらで優しく頭を撫でてくれたレッドさん。
もう僕はもう独りじゃない。
いや、独りじゃなかったんだ。
今なら胸を張って言えるよ。
『僕は皆の仲間です』って――!!
10.1.11
//キラキラした確かな愛