Text
敗者復活戦、私は圧倒的不利に立たされていた。
やっぱり、私には無理だった。
秋山さんの役に立つ所か、自分の危機さえ押し返す事が出来ない。せっかく貴方に助けてもらったのに、その意味が失われてしまう。
結局、あの人をこんな忌ま忌ましいゲームに巻き込んでしまっただけだ。
…秋山さん。
2回戦が終わってから、お礼がしたくて、電話をかけ続けていたけど、出てくれなくて。
役に立ちたいとか立派な理由をつけて、このゲームに戻ってきたけど、本当は、
貴方に会いたかったんです。
馬鹿、ですよね。
それでこの状況なんです。
秋山さん、
叶うなら、貴方の声が聞きたいです。
秋山さん、
願えるなら、貴方に会いたい。
秋山さん、
秋山さん、
秋山さん、
秋山さん、
助けて───っ!!!
「また、泣いてるのか」
あぁ、懐かしい声。
低くて、威厳があって、だけど包み込むような優しい声。
振り返ると、懐かしくて変わらない姿のあの人がいて。私が今、世界で一番会いたかった人がそこにいた。
「あ、きやま、さん…」
嬉しくて、嬉しくて、でも目の前の状況が信じられなくて、思わず秋山さんの胸に飛び込んでしまった。
「あきやまさん。秋山さん、ですよね…?幽霊とかじゃない、ですよねっ?」
「おいおい。俺は本物だし、まだ死んでないよ」
半信半疑だった私に優しくそう言ってくれた。
まだ夢みたい。あんなにも会いたかった人が目の前にいるなんて!
涙を抑えきれない。
感情を抑えきれない。
「秋山さん、良かっ…、っ!会いたかったです…っ!」
「…俺が来たから。もう大丈夫だから」
秋山さんの手が私の頭をなでた。私は安心して、秋山さんの胸に全てを預けて泣いた。
わかってます。
貴方の言う事は信じられます。
(貴方の言葉は魔法のコトバ)
(安心するんです)
09.12.2
//世界でいちばん、