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心地よい川のせせらぎと木々のざわめき、自然がもたらす音を身に感じながら僕達は森の中でお散歩をしていた。貴方と初めて言葉を交わしたこの場所で。
風が僕達の間を吹き抜けると同時に、頭の上に乗せていたものがぶわっと浮いた気がした。気付いた時にはもう遅い。風に浮かされた麦わら帽子はもう僕の手には届かない場所にあって、一生懸命に手をのばしても掴めなくて、どうこうしていたら後ろからするりと長い腕が伸ばされた。風に流されていた帽子をひょいっと取ってくれた貴方が、優しく僕の頭に帽子を乗せてくれた。
僕がお礼を言うと、貴方は頭をかきながら、ちょっぴり照れて笑った。
「…懐かしい、な」
「はい…、そうですね」
懐かしい。
目を細めてそう言う貴方は、あの日の出来事が浮かんでいるのだろうか。
僕は今でも目を閉じれば、貴方との出会いが鮮明に浮かぶ。僕が貴方に出会ったのは、僕が9歳の時。幼い僕はこの森に異変が起きた事を知って一人で様子を見に行ったのだ。…ポケモンがあふれる外の世界に、子供が一人で行けばどうなるかも知らずに。
「確かミニリュウに襲われてたんだっけな」
「はい、レッドさんに助けていただいて…」
あの時、もう駄目だって思った。自分は死ぬんだって。もう助からないって半ば諦めていた。そんな時に来てくれたのが貴方だったんだ。ヒーローみたいにさっそうと現れて、僕を救いだしてくれた。襲いくる恐怖から守ってくれた。
「あの時は、俺も必死だったんだぜ?」
「はい。あの時の事は、感謝してもしきれません!」
あの時から、貴方は僕のヒーローで、憧れの存在になったのです。貴方がいなければ、僕は存在してなかった。貴方との出会いがなければ、今の僕はなかった。貴方との出会いが僕の世界の全てを変えた。レッドさん、貴方が僕の始まりだったんです。
ここは始まりの地。
出会いの場所なんですよ。
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テーマは「出会い」
11.6.5
//始まりの場所で