泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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レッドがロケット団に堕ちてます。
レッドがサカキに負けたのを前提にしてます。
真っ暗です。絶望に満ちてます。
バットエンドです。
レッドが汚い言葉を使っています。
イエローの一人称が私です。
















「嘘…、レッドさん。どう、して…?」

「……」


かつて私を助けてくれた人は、私の憧れた人は、私の光だった貴方が、闇に染まっていた。








信じられなかった。
信じたくなかった。

だけど、目の前の光景がそんな思いを否定する。

噂を聞いたのは2ヶ月くらい前。
トキワの森で狂暴化したポケモンに襲われた私を助けてくれたレッドさん。私を町まで送り届けてくれて、「ジムに行く」と言って別れたのが貴方を最後に見た瞬間でした。ジムは何かがあって崩れ落ち、激しい戦いがあった事を示していた。
それから約2年。「レッド さんが行方不明」「悪の組織の手に堕ちた」などと噂で聞いた。

私は真相を確かめたかった。私を助けてくれた優しい貴方が、本当に闇に堕ちてしまったの…?


…そして、ようやく見つけた。
だけど、目の前に居る彼は私の知っている彼じゃなかった。
まずは服装。赤い色がトレードマークだったジャケットは、黒を基調とした服装に変わっていて。彼の表情、あの明るかった彼はどうしたのだろう?真っ直ぐで暖かかった彼の瞳はどうしたのだろう?今では別人のように、酷く暗く虚ろな目だ。一体、貴方に何があったの…?
1番目を疑ったのはその行為。「正しい、優しい気持ちで育てれば、いつまでも友達でいてくれる」優しい彼が言ってくれた言葉。そんな彼がポケモンを使って人を傷付けていた。助けを求める人々を容赦なく。
彼の顔には赤いものがついていて、だけど彼は怪我をしていない。そんな様子はない。だけど赤く濡れている。それは、彼の血じゃない。返り血だ…!

「レッドさん…、なんで……っ!?」

「なんで?どうしてそんな事を聞く?」

彼は冷たい言葉でそう言い放った。彼の瞳は真っ直ぐこちらを向いている。だけどその目は虚ろなのだ。心がこちらを向いていない。
変わってしまった彼に再度驚かされる。だけど…っ!

「レッドさんっ、私です!二年前、トキワの森で助けてくれたでしょう!?覚えてませんかっ?!」

「トキワ…の、森…?」

彼が僅かながら反応を示した。揺れる瞳。彼は明らかに動揺している。

「レッドさん!私、ずっと探してました…。貴方の事、二年前に居なくなってから。レッドさん、どうしてこんな事を…、貴方は私に教えてくれたじゃないですか!正しい、優しい気持ちで育てれば、いつまでも、とも、」

「黙れっっ!!!」

「………っ!!」

遮られた言葉。
かつての彼が言った言葉が、今正に彼自身によって否定された。彼の激しい剣幕に、私は言われた通り黙るしかなかった。
突き立てられた言葉。突き放された態度。冷たい表情。…怖い。言葉が見つからない。どうしたら貴方を暗闇から救えるの?どうすれば昔のように笑ってくれるの?

「…レッドさ」
「黙れ…」

「レッドさん…!」
「黙れ、黙れ、黙れ黙れ黙れ!!!!」

「いやっ…!!!」
「黙れよ!!」

「嫌です!!レッドさん、レッドさん、レッドさん、レッドさんっ!!!」

「黙ってくれよ…っ!!なんでだよ…!!俺はっ…俺は…っ!!!」

彼は泣いていた。虚ろで何も映さなかった目は涙を流していた。潤んだ瞳が、輝きを取り戻したかのように光っていた。
彼は自分の意志で闇に染まったんじゃないんだ…。レッドさん、貴方も苦しいんだね。私達が苦しんでる間、貴方も同じように苦しんでたんだね。
私、貴方を救いたい。救いたいよ…。

「レッドさん…」

「……ぁ」

私はレッドさんを抱きしめた。全てを包み込むように、優しく。彼の胸に顔を埋めて…。

「大丈夫です。…レッドさん。私、嬉しかったんです。貴方に助けて貰った日から…」

「やめろ…」

「私、あの日から、…貴方を想ってました。優しい貴方を。想っていました。貴方が好きです」

「……やめてくれ」

「貴方が好きです。だから…、帰りましょう?皆貴方のこと、待ってます…」

「俺は帰れない。俺の手は、もう既に汚れてしまったから…。だから…、」

「レッドさ…、」


次の瞬間、後頭部に衝撃が走った気がした。自分では何が起こったのか分からない。
あれ…、あれ…?
…意識が遠くなっていく…、
だんだんレッドさんがぼやけていって…、しろく、なって…。
見え…なく…な、って……、


ご め ん な





次に目が覚めた時には、もうレッドさんはいませんでした。
倒れた私と、側にある血だまりがの残されているだけで、消えてしまった…。

そんな私を心配そうに見つめるブルーさんとグリーンさんが、悔しそうに、悲しそうに瞳をふせた。
…ごめんなさい。私のせいです。
彼を救う事が出来なかった。

…でも、道は見えた気がした。
最後に彼の残した言葉。


「ご め ん な」


それが彼の本心だとしたら…。まだ彼には僅かな光が残っている。まだ希望はある…!
…レッドさん、待っててください。私が貴方を救います。必ず、貴方を救ってみせます。貴方が私を光へ導いてくれたように、今度は私が貴方を導く。

……だから、待っててください。
レッドさん…!


10.1.15
//残響、残骸、残存