泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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パル→←←←←←嬢。
ヤンデレ、ストーカー嬢。
どっちかっていうと嬢パル。







「パール」

俺は君が好きだった。
愛していた。

小鳥のように美しい声で俺を呼ぶその音色。ほんのりと頬を染めながら俺に向ける表情。俺にだけ見せてくれる、ちょっとした仕種。そのどれもが可愛くて、愛おしく思えて、気付いた時には君の姿を目で追っていた。


「パール?」

でも傷付くのが怖くて。自分の為に、彼女の為に、心を刔った。
君と俺自身の心臓に、深い傷を残した。
これが最善の選択だと、己に言い聞かせながら。

「パール……」

それでも、君は俺の元へやってきた。
いつもと変わらない表情を俺に向けて。何事もなかったように、にっこりと笑ってみせた。

「パール…っ!」

そんな彼女を見た俺は彼女は拒絶した。何度も、何度も。

「君なんか嫌いだ」
俺がそう言えば、彼女は優しく微笑んで"大好きです"と答えた。
「大嫌いだッ!」
俺がそう叫べば、彼女は涙をぼろぼろと零れ落とし、目を腫らしながら"愛しています"と訴えた。
「近寄らないでくれ」
俺がそう告げた時、彼女は無表情でその場から去っていった。


そして、また次に会った時、彼女はもう俺の知る彼女じゃなくなっていた。



「もういい加減にしてくれ…!」

「どうして、ですか?」

もう限界だと、怒りをぶつける俺に対して、彼女は何も分からないと言いたげに不思議そうな顔をして首をかしげた。

「ふざけるな!」

「ふざける?この私が?ふざけているのはパール、貴方の方ですよ」

くすくすと俺を嘲るように笑う彼女。これが本当に"あの"彼女なのだろうか。
くすくすくす。
止まらない彼女の嘲りに眉を寄せた。なんとも言えない不快感に襲われ、また感情が爆発しそうなる。
そんな俺を見ながら、彼女は嘲笑う。

なんだ、これは。
いつもだったら彼女は泣く側で、俺は泣かす側の筈なのだ。なのに今は、俺が追い詰められて、彼女が追い詰める側に立っている。
立場の逆転。
なにかがおかしい、おかしい。

「貴方は私にこう言いましたね。私の事なんか嫌いだと。大嫌いだと。そして貴方は私に近寄るなと言って拒絶した。ならば今、それを示せば良いじゃないですか。こうして、貴方の前へにじり寄る私をはね飛ばしてしまえば良いんです。貴方はいつも私を言葉で拒絶するけれど、どれも私が泣いて去るのを待っていただけです。さぁ、本当に私の事を嫌悪しているならばできる筈ですよ。どうしてしないんです?どうして?どうして!?」

「……答えられないんですか?ならば、私が代わりに答えてさしあげます。なぜならば私達は……、」




愛し合っているから。


ぞくり。
重く黒く放たれた言葉が背筋を凍らせ、自身の体全体を強張らせた。それはまるで金縛りにあったかのような錯覚。徐々に近付く彼女を制止する事も、呼び止める事すら出来ない。
目の前に佇む彼女の瞳には、どんな風に俺が映されているのだろう。かつて白金色に輝いていた瞳。今では虚ろの中に妖しさがあるだけ。

ああ、太陽のように眩しく無邪気に笑っていた彼女はもう、そこには居ないのだろうか。いや居る筈がない。
だって、彼女の笑顔も優しさも全部、自分が奪ってしまったのだから。

「パール、」

唇の端を吊り上げて、妖艶に笑う彼女が首に手を回した。彼女の瞳の奥に宿るそれは、狂気。今にも自身を侵しそうな程に歪んだ愛情。一歩間違えれば狂気に魅入ってしまいそうになる。
いや、違うな。

もうとっくに全て狂ってる。

「パール、愛してます」

「……あい…して…る…」

…ああ、俺は理解した。理解せざるおえなかった。
俺はもう捕らえられてしまった。もう彼女から逃れる事は出来ないのだと。




(あぁ、パール。好きです大好きです愛しています。私のパール。私だけのパール。もう離しません。離れる事も許しません。私はいつでもいつまでも貴方を追い続けます。ああ、愛しのパール。パールパールパールパールパール。愛しています、貴方をずっと、)





title by 確かに恋だった

10.8.24
//これが最高のバッドエンド