泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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ダイ→嬢パル




オイラは全てを知っていた。

これでもオイラは自分の周りの状況をよく理解している。…知らないのは当人達だけだ。特に、パールはオイラに隠し通せてると思っているのかな。いや、分かっているんだろう。だからこそ、いつも控えめにしているんだ。

(パールもお嬢様が好きなのに…)

それなのに自分を抑えて、何してるんだろうね?


お嬢様もお嬢様だ。
いつもオイラ達を呼ぶ時、パールを先に呼ぶんだ。オイラが先に呼ばれた事なんて、ない。…それではまるで、オイラに勝ち目がないと宣告されているようで…。

「……ばか、みたいだ」

一人で馬鹿みたい。
だって、そうじゃないか。パールはお嬢様の事が好きで、お嬢様はパールの事が好きで。オイラの入る隙間なんてない事ぐらい分かってる。


(ただ、許せないんだ)



あの時。

そうある日、二人が見当たらなくなった日、オイラは必死に探したんだ。ホテルの中、町の中、そして森の中。
結論から言えば、町外れの森の中にお嬢様は居た。だけどいつものお嬢様は居なくて、お嬢様は泣いてた。一人で、静かに。
オイラはそんな小さな背中が愛おしくて、抱きしめたくなったんだ。だけど、オイラは確かに聞いてしまった。

「…っ…ぅっ…パールの…ばか…っ」

そこで悟った。
パールが、お嬢様に何か言ったのだと。おおよそ想像がつく。パールがお嬢様を拒絶したんだ。
パールは少なからずオイラに遠慮しているから。
それだけじゃない。オイラ達は、お嬢様に釣り合わないから。身分が違いすぎるから。それがパールが最も気にしている部分だと知っている。

「お嬢様……」

「……っ!…だ、いや…」

「お嬢様」

「こ、これは、…」

お嬢様は、溢れ出る涙を必死に止めようと笑った。オイラにいつもの平穏を見せる為だ。笑顔を見せてそれを保とうとする。でも、作り笑顔はすぐに崩れていって、それでもオイラに笑顔を見せようとして…。

そんな健気に振る舞おうとするお嬢様の涙を、オイラは指で拭った。

「……だいや」

「お嬢様…。大丈夫、オイラは何も聞かないから。だから、気のすむまま泣いていいよ」

そう言って、オイラはお嬢様を抱きしめたんだ。拒絶されるかと思ったけれど、お嬢様はしなかった。驚いた様子だったけど、そんなオイラの肩に顔を埋めて思いきり泣いたんだ。


「…ぁ…っっ、…ううぅぅ…っ!!」


その時、思ったんだ。
オイラは、もう二人の仲を傍観するだけの存在でいよう。どうせ、二人の仲には入れないんだ。だから、オイラは見ているだけの存在でいようって。

(でも、それでもお嬢様が悲しむのが許せないんだ)

自分で矛盾しているんだって分かっている。でも、お嬢様が悲しむ事だけはどうしても許せない。例え長年付き合ってきた親友だとしても、ね。

オイラは、お嬢様が幸せならそれでいいんだ。お嬢様が笑っていてくれるなら、オイラも笑っていられるから。
だから、パール。

どうかお願いだから、
お嬢様を悲しませないで。







(お嬢様が深く傷付いた時、
その時、オイラはパールを――…)




10.3.19
//僕を映さない瞳でも