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「ダイヤモンド。私の事を呼んでくれませんか?」
「お嬢様の事を…?」
いつもよりどこか、不機嫌なオーラを纏っている彼女。
彼女に対して今日の印象がそれだった。
どこかトゲのあるような低い声。鋭く射抜く視線の先に、戸惑うダイヤの姿。
どうして彼女がこんなにも機嫌が悪いのかは分からない。でも、鋭く光る瞳の奥で揺らめく、冷たい淋しさのようなものをダイヤは感じとっていた。
『お嬢様』
いつものように優しく微笑みながらダイヤは呟いた。暖かいその笑顔は彼女の奥にある冷たさを溶かす筈だった。彼女を想うダイヤの一生懸命な姿を見て、彼女をも喜びに満ちた笑顔に変える筈だったのだ。
しかし、今日の彼女は不服そうに顔を歪める。言われた通りにしたのに何がいけなかったのか。ダイヤは頭上一杯に?マークを浮かべた。
「私の事、いつもいつも名前で呼んでくれませんね…」
「ああ。お嬢様は、オイラに名前で呼んでほしいんだね?」
こくり。
彼女は何も言わずに肯定する。
つぶらな瞳を潤ませて訴える彼女。
そんな様子を見たダイヤは、彼女のお願いを聞き入れるしかなかった。否、ダイヤは喜んで聞き入れたかった。
(お嬢様の喜ぶ顔がみたい…)
彼女を笑顔にさせる事は、ダイヤにとって何よりの幸福だった。彼女が悲しんでいる姿を見ると自分の心も痛む。
だから彼女には、いつでも笑っていてほしい。
(そして何よりも、お嬢様には笑顔が似合うと思うから)
「………プ、ラチナ」
恥ずかしさのあまり俯くダイヤ。肝心の顔が見えない事に残念がったプラチナだが、その隙間から見え隠れする赤色には大いに満足していた。
…満足はしていたのだが、
(もっと、もっと貴方の照れる姿が見たい。もっと私を想ってほしい。それが私の、幸せ……)
「ダイヤ、もっと言ってください。私を、呼んで」
「プラチナ…」
「もっと、言って」
「プラチナっ」
「もっと、」
「う〜。意地悪だよ…」
「ふふっ、ダイヤ照れてます。可愛いです」
「オイラはおじょう……、プラチナの方が可愛いと思うけどな」
彼女へと真っ直ぐ届く想い。
照れながらも彼女への愛を命一杯貫くダイヤ。その愛しさ故に我慢出来なかったプラチナは、思わず彼を抱きしめてしまう。
ぎゅううぅっ。
ぱちくりと目を丸くしたダイヤ。彼女の愛情を一身に受ける彼は、呆然としていたのもつかの間。微笑みを浮かべて二倍にして彼女に返してやるのだった。
名前を呼んで
(ダイヤ。好きです大好きですっ)
(オイラもプラチナの事、大好きだよ)
11.6.12
//名前を呼んで