泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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幼少期if。
もし、あの数日間にルビーが誕生日を迎えていたら。





幼い僕達。
懐かしい感じる思い出。

僕とあの子が遠くで楽しそうに遊んでいる。ポケモンとふれあい、おしゃれさせたり、木登りをしたり、じゃれあったり。夢のような時間。
あぁ、これは幼い頃の……記憶だ。





「えっ、今日はルビーくんのお誕生日なの?!」

「うん、そうだよ。今日は僕の家でお母さんがケーキをつくってくれてるんだ。よかったら、君もおいでよ」


幼い彼女はその事実に声をあげて驚いた。対して、幼い彼はそれを何事もなかったかのように、さらりと彼女へそう告げた。
彼女は下を向いてぷるぷると震えている。そんな彼女を、彼は訝しげな目でみた。彼女は一体どうしたのだろうかと。
やがて彼女は、何かを決意したかのように顔をぱっと上げ、その様子が理解できなかった彼はどうしたのかと尋ねる事にした。

「…?どうしたの、サファイアちゃん」

「おいわい」

「え?」

「お祝い、するよっ!」


すると彼女は彼から背を向けて、後ろで座り込みながら、持っていた鞄を何やらごそごそと漁り始めた。
可愛いものが大好きだった彼女の鞄には、女の子らしいものが沢山あふれていて、あれでもないこれでもないと、ぶつぶつ言いながらほいほい出される物に、彼は感心していた。

「あった、これ!」

そう言って、彼女が彼に差し出した物は、一つの石ころだった。石ころと言っても只、道端で落ちているようなものではなく、赤く燃えるように透き通る石ころ。

「いし…?キラキラしてる…」

「綺麗でしょう?ただの石じゃないんだよ。これはね宝石なの」

「宝石?」

「そう。知ってる?ルビーくんと同じ名前の宝石があってね、その宝石は赤いんだよ。わたしの一番の宝物なの。ルビーくんにあげるっ!」

「良いの?宝物なのに…」

「宝物だからこそ、だよ。ルビーくん、お誕生日おめでとう!」

彼は彼女に持たされた宝石(と彼女は呼んでいた石ころ)をまじまじと見た。その宝石の価値は彼には分からないけれど、彼女の大切にしていた物を貰った事に、何よりの価値を感じるのだった。


(ありがとう、大切にするよ……)






「……ビー…、ルビー…ルビー!!!」

「うわあっ!!!」

目覚めるとそこはベッドの上だった。
真っ白な天井と、自分を覗き込むようにじーっと見つめる彼女――サファイアが目の前に飛び込んでくる。
脳裏に焼き付く幼い彼女と、幼い僕が楽しそうに談笑する姿はもういない。


(あぁ、あれは夢だったんだ……)



「というか、なんでサファイアが僕の部屋にいるのさ」

「そっ、それは、約束しよった時間にルビーが来ないから…っ!」

「……あ」


……そうだ。今日は、サファイアと会う約束をしていたんだっけ。待ち合わせの時間は10時だった筈。そして、時計を見やると今現在の時間は11時を回ろうとしていた所だった。
僕とした事が、こんな時間になるまで寝ていたなんて…。

「ごめん。今すぐ支度するから――……」

「どげんしたと、ルビー?」


ベッドから立ち上がった時、一番最初に目に入ったのは、机に置いてある一つの石だった。
幼い頃に彼女から貰った宝物。赤く透明に輝く宝石……。

「石……?」

「宝石だよ。君は覚えていないのかい?昔、君がプレゼントしてくれたじゃないか」

「あ、…ああーっ!!確か父ちゃんに買ってもらったおもちゃ…。それを宝石って言ってルビーに……。今思うと恥ずかしか…」

「…でも、大切にしててくれたんやね。ありがとう」



「……で、君はいつまでここにいる気?僕の着替えるトコ、見たいの?」

「………っ!!!」


僕が笑ってそう言うと、サファイアは顔を真っ赤にして口をぱくばくさせた後、慌ててドアへと向かった。
僕の裸見ていけば?と言うと、瞬間に誰が!とサファイアは叫んだ。
ぱたんと静かに閉まるドアの音がした後、しーんと静まり返る部屋に残された僕は、騒がしい声を名残惜しみつつ、サファイアの為に早々とクローゼットを開けた。
この反応。ああ、やっぱり君をからかうのは飽きないや。


title by カタリグサ

10.7.2
//遠い日のふたり