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バレンタインでのお話。
バレンタインデーは嫌いだ。
何故に女が男にチョコレートを贈り、想いを告げる日などあるのか理解に苦しむ。元々チョコレート会社の策略なのだから、もっとタチが悪い。
この季節になると、ジムリーダーである俺宛てにファンレターと称してチョコレートが贈られてくる。もうジムにある一室の片隅には、贈られてきたチョコレートの山が出来ているくらいだ。
何故こんなにも贈ってくるのか、何故こんな甘いものが好きなのか。溜息をつきながら、このチョコレートの山の処分を考えていた。
「あら、モテモテね。グリーンは」
チョコレート山の処分でただでさえ面倒だというのに、もっと面倒な女が来てしまった。
「何のようだ、ブルー」
「なによ、つれないわねぇ」
そう言うと、ブルーは、そっと何かを取り出して机に置いた。丁寧に包んであるそれを見て、俺は絶句した。
「ブルー。悪いが、甘いものは、」
「そう思って、とびっきりビターにしといたわ。せっかく作ったんだから、一個ぐらい食べてよね!」
「おい…」
「じゃ、お返しは三倍返しで宜しく!」
それからあの女は言いたい事だけ言って満足したのか、とっとと出て行った。
「…チッ、うるさい女だな」
机に放り出されたままのチョコレートの包みを取っ払い、一つ取り出して口に入れてみる。…ちょうど良いほろ苦さが口の中で広がった。
少しだけ、ほんの少しだけチョコレートを好きになれた気がした。
10.2.14
//ビタービターチョコレイト