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時々、自分がどこへ居ていいのか分からなくなる。皆が集まってる時、楽しくしている時。自分には迷いがあって、自分の中で自己完結させると、決まってその場を離れる。
…自分には、居場所がないのだと。
「ねぇ、チュチュ。僕に居場所なんて、あるのかな?」
ボールを取り出して、中に入っている友達に話しかけた。元気のなさそうな声で返事をしたの見届けると、ボールをホルダーにしまい込む。
冷たい風が通り抜けていく。肌寒い。さすがに夜は冷たいよね。でも、あの場所に居る時の、心の寒さに比べれば平気なんだ。
静かに風を感じた後、空を見上げた。月が見える。真ん丸で眩しい輝きを放っている満月。まるで、ゴールドさんみたい。ゴールドさんは、一人で眩しく輝きを放っていて、眩しくて、例えるならば月のような人だ。反対に言えば、暖かくて、優しくて、温もりをくれる太陽のような存在はレッドさんかな。
例え方は正反対だけど、二人とも眩しくて人に影響を与えられる人というのは同じ事。
…僕は、その端っこで弱々しく光ってる星だ。赤くもない、青くもない、どこにでもあるような弱々しく光っている星。今にでも消えそうな、一人では輝けない、そんな星。
「イエローせんぱーい!」
後方から声がする。振り向くとゴールドさんが走ってくるのが見える。ゴールドさんは僕に追い付くと、息を切らして言った。
「やっと見つけましたよ…」
「ゴールドさん…?」
やっと、という言葉に僕をずっと探していた事がわかる。探してくれた事は嬉しかったけど、放っておいてほしい思いが優先して、素直に喜べなかった。
「どこに、行くつもりだったんスか?」
「…別に、貴方には関係ないじゃないですか」
自分でイラついているのが分かる。ついトゲのある言い方をしてしまう。
「まー、それが関係あるんスよ。…俺は、アンタがいつも集団の中で淋しそうにしているのを知っていた。そして、決まってアンタは抜け出すんだ」
「…それが何か?僕が貴方に迷惑をかけましたか?」
「迷惑じゃないっス。だけど、気になっちまうんですよねー」
「別にっ!!良いじゃないですか!放っておいてくださいっ!!」
ゴールドさんに背を向けて、走りだそうとする。だけど、直ぐさま彼に腕を掴まれ捕まった。体が、硬直する。
「良くねぇよ。女が夜一人で出歩いちゃいけねぇだろ。大体、俺はアンタにイライラしてんだ。すぐ逃げようとする、アンタに」
「僕が、逃げる…?」
「だってそうじゃないっスか?アンタは、逃げてる」
「っ…、馬鹿言わないで!僕が逃げる…?僕の気持ちなんか知らないくせに!」
それは、逆ギレに近い。
自分でも分かってるんだ。それは、逃げにしかならないって事。逃げる事しか出来ないって事。
「あぁ、知らねぇよ」
「僕は…、貴方達みたいな月にはなれないんですよ…。輝けないんですよ…?そんな僕に何をしろって言うんですか…」
「どうして、そう決め付けんだ。どうして、自分から向かおうとしないんだ?どうして、頼ってくれないんスか…?」
決め付ける。向かおうとしない。頼らない。思えばそうかもしれない。…レッドさん達が喋っている時、僕は自分が入れないものなんだと決め付けた。決め付けたから、自分から向かう事をしなかった。誰かにその事を言った事はなかった。
…僕は、最初から逃げていたんだ。
「……ゴールドさん。ごめんなさい。僕、大事な事に気付けました」
「いえいえ、良くあるこった気にすんな!」
「はい…。僕、戻ります。皆に謝らないと」
僕達は歩きだした。皆が待ってくれている場所に向かって。だけど途中、ゴールドさんが突然手をぎゅっと握ったので思わずびっくりしてしまった。
「ご、ゴールドさんっ!?」
「良いじゃないっスか。この方が暖かいでしょ?」
「…全く、しょうがない人ですね」
冷たい風の中で、手の平だけは暖かかった。その温もりが、とてもとても嬉しくて、心も暖かくなれた気がした。
「イエロー先輩。忘れないでくださいよ。アンタには、俺がついてる。…少しは頼ってください」
「…はい。ありがとうございます!」
「それでこそ、黄金コンビだぜ!」
「なんですか、それ」
10.2.1
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