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「植木」
「ん、なんだよ」
「あんた、さっきの戦いで怪我したんでしょ?見せなさい」
先程能力者が襲ってきた。それほど強かったわけじゃない。さっさと植木が倒して終わった事だ。
しかし、植木は怪我を負ってしまった。
「…バレてたか」
「バレるのも何も、さっきから手を庇っていて、当たり前じゃない!」
観念した植木は素直に手の平を出してくれた。敵に傷付けられ、少々赤く腫れている。その症状を見た私は慌てて濡らしたハンカチで手の平を押さえた。
「森、ハンカチ」
「良いのよ、ハンカチなんてっ!」
ハンカチを押さえた手を真っ直ぐ見つめた。…この怪我の原因は私だ。
敵の能力が私の方に飛んできて、それを植木が庇ったのだ。私がいなければ、出来なかった傷なのだ。
「……森?」
「…なんでっ、植木は私を庇うの?」
「なんでって…、そういう性格だし。俺は森が傷つく所は見たくないんだ」
「ばかっ、それであんたが傷ついてたら、世話ないじゃない…っ。私は…っ」
涙をこらえながら植木の瞳を真っ直ぐ見つめた。植木は驚きながら私の訴えたい事を理解したのか、目を伏せて、
「……ごめん」
とだけ呟いた。
その一言に私はとうとう涙が溢れてきてしまう。 そんな私に植木はそっと頭を撫でてくれたけれど、また小さくごめんと呟くだけで何も言わなかった。
体に傷一つ、心に傷二つ。
(例え私を守ってくれたとしても、)
(私の心は傷ついていくんだよ…?)
10.3.27
//体に傷一つ、心に傷二つ。