Text
(……頑張って、無事に強くなって出てきなさい、植木)
「八ツ星覚醒臓器、クリアー!!」
あれから私達は近くの木陰でゆっくり休んでいた。
「…その傷、本当に大丈夫なの?」
先程植木の腕にぐるぐる巻いた包帯を指さして言った。そう聞くといつも植木はかすり傷程度だから大丈夫だと聞かないのだ。それがまた心配にさせると知らないで。
「だから、いつも言ってるだろ?」
「かすり傷程度、でしょ?どこがよ。どう見たって包帯ぐるぐる巻きじゃない。あんたって、いつもそうやって強がるのね」
今日私は植木がテンコの覚醒臓器に入ると聞いてここまでかけつけた。待っている間は何も出来ないけれど、それでも待っていたかった。最悪の場合死に至る事だってある、星を上げる為の試練。植木の無事な顔を一秒でも早く見て、安心したかったのだ。
「私ってば、植木が傷付いているのに、何も出来ないんだね…」
せめて何かしたいと傷の手当てをしたり、お弁当を作ったりしたけれど所詮それだけしか出来ない。植木の痛みを背負ってあげる事も出来ない。私はいつも守られているだけで、誰かを守ってあげる事もそんな力すらないから。そんな自分がもどかしくて、たまらなく嫌だった。
「何言ってるんだよ、お前にだって出来るコトはあるぞ?」
そう言うと植木は突然私の隣にやってきて、肩にもたれかかってきたのだ。幸い後ろでは木に寄り掛かっていたので重みで倒れる事はなかった。だけど、近い。植木の顔が半端なく。
「ちょっ、植木……っ!?」
「…疲れた。ちょっと肩かしてくれ…」
「ちょっと、私に出来る事って一体何なのよっ」
「………」
しかし植木は答えてくれない。
あれこれしている内にどんどん体温が上昇していく。植木の髪が私の肩にかかって、くすぐったく感じる。顔が熱い。多分いつもなら、真っ赤な事を指摘されるくらいだろう。しかし、それがない。
私は恐る恐る植木の顔を覗いてみた。
「うえき……?」
「ぐーぐー…」
って、寝てるのかい。
…そんな植木の顔は安らかで。見ているこっちも安心させてくれるような、そんな寝顔だった。世界が滅ぼされるかもしれないってのに、こいつのこの平和そうな顔が羨ましくなる。
「……本当、のんきなあんたが羨ましいな。…って、言っても聞こえないか」
聞こえないから言っているんだけど。
…そういえば最近バトル続きだったな…。いつも私は守られてばかりで、植木に守ってもらって。植木はいつも私達の事を考えて。疲れるのも、無理はないのよね。
ううん、植木はいつも疲れているんだと思う。あんな戦いで疲れない方がおかしい。でも、いつもそれを口にしようとしないのだ、植木は。それが今、ほんの些細な事でも頼ってきてくれたのが、とても嬉しかった。
植木、いつもありがとね。
そしておつかれさま。
(……お前ら、完全にオレの存在を忘れているだろ)
10.4.9
//今キミにできるコト