泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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植木がメガサイトから私達の元へと帰って来た後、植木は皆に再会した。会った瞬間の佐野とハイジのリアクションが面白くて、大爆笑でお祭り騒ぎ。皆が植木の帰りを泣いて喜んだ。
結局、今は植木が帰って来た事を喜ぶべきだという事で、温泉旅行はまたの機会に植木を含めた皆で行こうという事になった。
その後はナガラ達に会いに行ったり皆でお祝いをしたり、わいわい楽しく過ごしたが、家族に会う時間も必要なんじゃないかという意見が出たのでお開きになった。そして…、


「なぁ、森ー」

いつもの通り道である土手に差し掛かった所で、突然植木は足を止めた。隣に居た筈の植木を1、2歩私が追い抜かしてしまい、何事かと思わず後ろを振り向く。

「植木…?」

「…ちょっと話していかないか?」

「え、でも、家族に会うんじゃ、」

「俺はまだ、森と一緒にいたい。沢山、話していたいんだ。駄目かな?」

「ううん、駄目じゃないよ」

駄目なわけ、ないじゃない。
だって私も植木と一緒に居たいから。植木ともっと話したいから。素直じゃない私が、そんな事を言える筈もないけれど。

芝生の上で腰を下ろした私達は、今までの事を振り返る形で話していた。バトルの事や、繁華界で互いにどう過ごしていたのかとか。その話をしている途中で、私は3年前のある事を思い出した。

「そういえばさ、あんたが前に好きな人が居るって言ってたケド、あれ誰の事なの?」

「んー……」

…別に期待等していない。
あれは当時、女子に興味が無かった植木が女子に好かれていた為に考えついた嘘だと分析している。だって、あの時から今まで植木は誰か特定の女の子を思っていたそぶりなんて無かったから。
そう思っているのに、どうしようもなくドキドキしている自分がいるんだ。もし、本当に好きな人が居るんだとしたら…。そう思ったら植木の事を見れなくて、


「お前だよ、森」

「え?ぁ……」


私は自分の耳を疑った。
好きな人が居るというあの時発言。それは、私だったの……?
もしかしたら冗談か何かで私をからかってるんじゃないか。そう思ってしまい、素直になれなくて、私は真っ赤になりながらその場を茶化す言葉を頭の中で探した。

「何よそれ、嘘ばっかっ」

「…嘘だよ」

「っ、」

…そう、だよね。
やっぱり私をからかっていただけなんだよね。何、期待してたんだろう。
私は植木のその言葉を聞いてもう何も言えなくなっていた。私をからかうって事は、植木は私を何とも思ってないのと同じ事だからだ。だって、そうでしょう?普通、好きな人にそんな事は言わないもの。そう思ったら何故か目に涙が溜まって、気を抜くと零れそうで、こらえる事に必死で、植木の事を直視する事が出来なかった。顔を背けて植木に顔を見れなくするのが精一杯だった。

「森…」

「うえ………っ!」


バサッ、

一瞬、何が起こっているのか分からなかった。植木が私の事を呼んだので反射的に植木の方に体を向けたのだ。そして、気付いた時には私は植木の腕の中にいて、植木の肩へと体を寄せられていた。

「うえ、き……?」
「1年の時に言ったあれは嘘だけど、今俺の好きなやつはお前だよ、森」

「………っ!」

そんな植木の言葉を聞いて、先程まで溜まっていた涙がついに溢れた。さっきみたいに悲しかったからじゃ決してない。
嬉しかったから。だって、私も植木が好きなんだもの。ずっと待っていたんだもの。

「100年間。森が居たから、森が待ってるって言ってくれたから、俺は耐えられたんだ」

「うえ…きっ、私も、私も大好きだよ。植木の事、ずっと待ってたんだから」

下ろしていた腕を植木の背中へと回し、ぎゅっと服を掴んだ。もう離したくない。もう、どこへも行かないでほしい。

「植木、もうどこにも行かないで」

「うん」

「私を置いていかないで」

「うん」

「私を…っ、」

「もう、森の事離さないから」


私は1年、植木は100年。
植木が居ない1年は心にぽっかり穴が空いたように痛くて、苦しかった。いつもの日常に植木がいない。植木だけがそこにいない。ただそれだけで悲しかった。死にそうな思いだった。一人の時はいつも泣いた。
1年でさえこんなに辛かったのに、100年はどれくらい長いんだろう?植木はどれくらいの淋しさを感じたのだろうか。私には想像もつかない程なんだろう。そう思うと、胸がぎゅうっと締め付けられたように苦しくなった。
だけど、これからは違うんだ。植木の100年の想いが報われたから。植木はこの世界にいる。この場所で生きていく。

やっと、やっと通じ合えたんだ。


「ねぇ植木。さっきも言ったケド、あらためて言わせて」

「なんだ?」




「…おかえりなさい!」


私達はここから始まるんだ。
植木と一緒に、この世界で。




植森Web企画、
「あふさか」提出作品。

10.4.6
//報われるべき望み