泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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「森、危ねぇ」

「…っ!」

道端の石ころに躓き倒れそうになった森を、俺が間一髪の所で支えた。斜めに傾く森の体を起こし、体勢を整えさせてやると、怪我をしなかったか確認するように促した。

「…植木。ごめん…」

「良いって。怪我、なくてよかったな」

気にするな。俺は笑ってそう言ったが、森は下を向いたままだ。転ぶ事もなく、怪我する事もなかったというのに、今にも泣きそうな顔をしている。

『ごめん』
俺が助けてやると、いつも森はこう言う。悲しそうに、悔しそうに。涙を溜めながら。思えば、あの神を決める戦いが終わった後からだったと思う。森が言うようになったのは。

「なぁ、森。一つ聞いて良いか?」

「え、何?」

「どうして、森はいつもごめんって言うんだ?」

「それ、は…」

言葉を詰まらせた後、森は下を向いたまま黙ってしまった。森の頬から雫が伝ったのが見える。俺が驚いてどうしたと声をかけても黙ったまま。俺の方を向く事もなく、どうしたのものかと困り果てていると、とうとう森は声をあげて泣き出してしまう。

「だってっ、私、いつも植木に迷惑かけてばかりなんだもん…」

「…俺は迷惑だなんて思った事はない」

「バトルの時から、私は守られてばかり。私から植木には、何もしてあげられない。申し訳、ないに決まってるじゃない…」

「森…」

あぁ、そうか。
あの時から、森は森なりに悩んでいたんだな。そう感じた俺は、森の頭をわしゃわしゃと安心させるように撫でてやる。こうしてやる事が、今俺がしてやれる唯一の事だと思ったからだ。
森はそんな俺をゆっくり見上げた。

「なぁ、森。森はさ、誰かに何か親切をしたら、ごめんって言われたいか?」

「…それは、」

「ごめんって、相手に謝罪する言葉だけどさ、自分を戒める言葉でもあるだろ?確かに失敗したら同じ事を繰り返さないように、自分を戒めるのも大切な事だ。でも、俺は、相手を後悔させる為に誰かを助けてるんじゃないんだよ」

「植木…」

「森には、後悔する為の言葉じゃなくて、次に繋がるような希望に満ちた言葉を使ってほしい」

「うん。そうだよね。私、全然分かってなかった。ごめ…」

「ストップ!」

俺が森の言葉を制止すると、はっとした様子で顔を赤らめた。もうその瞳に涙はない。俺がにっと笑うと、一緒に森も笑ってくれた。そして、森はこう言ってくれたんだ。


「植木、ありがとう!」

「どういたしまして!」



10.7.21
//明日へ繋がる魔法のコトバ