泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

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なぁ、覚えてるか?
俺達が出会った最初の最初の出来事。

それは桜舞う季節、入学式での事だった。桜の花びらが、とめどなく降り注ぐ校舎前。クラス発表に期待をよせる新入生がごちゃごちゃと固まっていた。新しいクラスにわくわくしている者、不安そうな顔をしている者、知り合いと一緒のクラスになれて、歓喜している者やそうでない者。そんな様子を遠目で見ている俺には、どこもかしこも話し声でいっぱいで、暑苦しい人混みがただただ苦痛でしかなかった。
しかし、じーっと見ていても仕方がなく、早く終わらせるに越した事はないと思った俺は、早々に済ませようと意を決した。そして、人混みの中へ入ろうとしたその時、

「きゃっ、」

横から小さな悲鳴が上がった。突如として肩にかかる重さに驚きつつ、倒れかかっている女の子をとっさに支えてやった。この人混みの中だ、きっと誰かにぶつかってしまったのだろう。

「危なかった…」

「……ぁ、すいません!」

体勢を整えた女の子はぺこりとお辞儀をした。礼儀正しい女の子。しかしそんな事よりも俺はその子の頭の上に目がいっていた。ちょこんと頭に乗せられた濃いピンク色をしたメガネ。それに相対するような空色の髪。
じーっと見とれていたのもつかの間、遠くから「あいちーん」と叫ぶ声にぴくりと反応した女の子はもう一度ぺこりとお辞儀をすると、

「私、行かなきゃ。助けてくれてありがとう。じゃあねっ!」

と言い残して行ってしまった。
頭にへんなメガネを乗せた礼儀正しい女の子。…あい。あれがあの子の名前なのだろうか。
あの子が走り去った方を見ながら、じっと考えていた。数秒間そうしていたら、人々のざわめきによってはっと我に返った。周りを見回すと人ばかり。相変わらず人でごたごたしている。

(そうだ、俺………)

クラス発表を見に行く途中だった事を思い出した俺は、今度こそはと人混みの中へ自ら入っていった。






「えー、次は森あい。自己紹介、お前の出番だ」

「あ、はいっ。えっと、森あいです。8月8日生まれのA型です。えーっと、趣味は映画…を見る事です。宜しくお願いします」

「…………ぁ、」


その子と同じクラスになった時、驚きと同時に実は嬉しさもあった、なんて言ったら森はどんな顔をするだろう?



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