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3章以前の二人。
(早く、行かなきゃ)
僕は走っていた。
なぜかって言うと理由は簡単。待ち合わせの時間に遅れていたから。
今日はレッドさんと会う約束していて、あろうことか僕は寝坊してしまったのだ。目覚ましのベルに気付けなかった自分を呪いたい。僕は必死に走る。目指すはトキワの森だ。
「はぁ…、はぁ…。怒ってるかなぁ。レッドさん…」
やがて木に寄り掛かっているレッドさんの後ろ姿を見つけた。普段通り、赤い帽子を身につけていたのでそれが目印になりすぐに分かった。
「レッドさんっ、遅れてごめんなさい!」
着いたと同時に僕は頭を下げて謝った。しかし返事は返ってこない。
何秒くらいこうしていただろう。只、沈黙の時が流れていた。
そんなに怒ってるのかなって思ったけど、流石におかしいなとも思ったので恐る恐る頭を上げてみる。
「レッド…さん?」
「……ん」
「寝てる…の?」
レッドさんは木陰で気持ち良さそうに眠っていた。多分僕が遅れたから待っている間に日差しが心地よく眠ってしまったのだろう。幸せそうな寝顔だ。わざわざ起こすのも悪い気がして、そっと寝かせておく事にした。
僕はレッドさんの隣に寄り添うように座った。多分、今の僕の顔は赤いんだろうなぁ。そう思いながらレッドさんの横顔を見つめた。
レッドさんは静かに寝息をたてている。そんなレッドさんを見て、僕はほほえましくなった。
…そんな時、僕は思ってしまったんだ。
レッドさんに触れてみたいって。
「……ぁ」
でも、そんな事出来る筈ない。レッドさんにとって僕は仲間であり、男なのだ。こんな感情抱いてはいけない。
…もどかしい。今この時。世界で誰よりも1番レッドさんの近くにいる。手を伸ばせば触れられるぐらい近くで、ううん近くなんてものじゃない。僕はレッドさんの傍にいる。…なのに触れられない。触れてはいけない。
「僕が望んだ事なのに…」
僕が女だってあの時、森で助けてもらった女の子なんだって、レッドさんに伝えようと思えば伝えられたんだ。なのに僕はしなかった。レッドさんの傍で無邪気に笑っていられる代わりに、永遠に変わる事のない関係を築いたんだ。
……レッドさん。
僕は貴方が好きなんです。
決して、伝える事は出来ないけれど。
世界で1番近くに居るのに
(辛いって分かってる)
(それでも、貴方を想い続けます)
「……ん、…ん…あ、れ…?」
「あ、レッドさん。おはようございます」
「……おはようございます。って俺、寝ちゃってた!?ごめん!」
「いえいえ、僕が遅れてしまったのがいけないんですし」
「うーん…。もう結構な時間が経ってるけどさ、今からでも一緒に散歩しない?」
「はい、よろこんで!」
某ミクさんの曲より。
10.2.17
//世界で1番近くにいるのに