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俺とイエローはトキワの森に来ている。一緒に木陰で寄り添い、隣で過ごす。所謂デートというやつだ。
時々透き通る風か髪を揺らし、木々をざわめかせる。傍では川のせせらぎや鳥のさえずりが聞こえ、とても心地が良い。こんな自然が溢れる場所でイエローと過ごせるのがとても幸せな事なんだと俺は思う。
そんなイエローは、隣で絵を描いていた。一生懸命、スケッチブックや画材を広げて。主に背景や動物、植物を描いたり、時々俺を描いてくれたりする。そんなイエローを眺めるのが俺は大好きだった。
ふと、大地に広げられている絵の具が目に入った。青、緑、黄、色んな色の絵の具が散らばっていて、その中の一つが他の色より異様に使い古してあるのだ。
「なぁ、イエロー。今、大丈夫か?」
「はい、なんでしょう?」
「お前、赤が好きなの?」
「えっ、どうして、ですか?」
「だって、赤だけ沢山使ってあるだろ。他のよりさ」
「えっと、それは…」
俺の前でイエローが描くのは主に、背景や植物だ。大自然の中で、赤を使う事なんてあまり無いだろう。それなのに、何故赤だけが減っているのか。それが気になったんだ。
ぼんやり考えを巡らせた後イエローの方を向くと、驚く事にイエローの頬が赤く染まっていた。
…これでは、まるでイエロー自身がキャンバスみたいだぞ。
「イエロー…?」
「……だから、」
「え?」
「れ、レッドさんの色だからですっ!」
「な!?」
俺の、色だから?
あぁ。そうか、俺全体的に赤が目立つもんな。
「って、もしかして、いやもしかしなくても、いつも俺の事を描いてたりするの?」
そんな俺の問いにイエローは小さく頷いた。今のイエローの顔は、熱があるかのように真っ赤だ。そんなイエローにつられて、俺も少々恥ずかしくなってしまう。
「それだけじゃないんです。レッドさんは、名前も赤だから。だから、好きなんです、とても」
「…そっか」
ぶっきらぼうに返す俺だけど、とても嬉しい気持ちだった。イエローが俺の色が好きだと言ってくれた事が本当に、にやけてしまうくらいに。
「じゃあ、イエローは俺の好きな色、何だと思う?」
「……え?」
「正解は黄色」
「!!」
「なんて言うと思ったか?」
「なっ、レッドさんっ!」
「はははっ」
「…酷いです」
さっきまで真っ赤に染まっていた顔が違う意味で赤くなり、涙を溜めながら怒るイエロー。イエロー自身は怒っているつもりのこの顔も、いちいち可愛いらしく見えてしまう。これだからイエローをからかうのは飽きないのだ。
「…俺の好きな色はオレンジだよ」
「どうしてですか?」
「理由。聞いたら、絶対お前もオレンジ好きになるぞ。絶対に、だ。それでも聞きたいか?」
「…?…聞きたい、です…」
さて、ここで問題です。
それはそれは誰にでも分かるような簡単な問題だ。
「オレンジって、何の色を混ぜると出来るか、知ってるか?」
ろなってしまうんだ。つまり、俺達の色を混ぜ合わせたらオレンジになるんだぜ?こんなにも、俺達にぴったりな色はないと思うんだよ。なぁ、そう思うだろ?
君の色、僕の色。
(な、好きになったろ?)
(はい、大好きになりました!)
10.3.8
//君の色、僕の色