泣かない君へ

  1. Info
  2. Update
  3. Main
  4. Clap
  5. Memo
  6. Home
Last up...12/16 メイン追加
再会の才 / よろずりんく

Text





アミティ→シグ&あやクル
某ぐみさんの曲、弱虫モンブランイメージ。










あたしはシグの事が好き、大好き。
シグと一緒にいると気持ちがふわふわして、レムレスがくれるような、とびっきりの甘いお菓子を食べたような気分になって。
嬉しくて、でも何だか切なくて。そして、もっともっと一緒にいたいなって、そんな気持ちになるんだ。
ラフィーナが言ってた。それがシグだけに向けられる感情ならば、あたしはシグの事が好きなんだって。
あたし、ラフィーナの事も大好きだったけれど、その好きとラフィーナが言っている好きが違う事は知っているつもりだよ。
そしてラフィーナの言う通り、シグに向ける気持ちはシグにしか向けない。だからあたしはシグの事が大好きなんだよ。

ああでも、どうしてだろう。
今でも信じられないんだ。
紅い彼があたしの前に現れた時、似たような気持ちを抱いてしまったのはなんでなのかな。
気持ちがふわふわ浮いていって、切ないけれど嬉しくて。今にも泣きだしそうな程に哀しい表情を見せた彼があたしの頬にふれた時、もっとさわってほしいなんて思ったりもして。
なんでかなあ。あたしはシグの事が大好きな筈なのに。

考えれば考える程わからなくなって、心の底から響く声が大きくなっていくの。


あれ、あたしが好きなのは誰だっけ?




『貴女が愛したのは――』




その声を最後まで聞いてしまったら、きっとあたしはもう戻れなくなるんだ。
でもね、止められないの。
ゆっくりゆっくり何かにあたしが沈んでいく、水の中にいるみたいに音も風景もだんだん遠くなっていくようで……。
嫌だ、恐い。
あたしはまだ、あたしでいたいのに。
誰か、誰かっ、




『助けて、××――!!』




――……。

あれ、あたしは誰だっけ?

13.8.2
//夢に溺れて現を捨てた