泣かない君へ

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再会の才 / よろずりんく

Text


「好きだ」
「何を?」
「カイリの事を」
「誰が」
「俺が」
「誰が?誰を?」
「俺が、カイリを」

なんだ、このコントみたいな会話は。
ソラとならともかく、カイリとやるなんて思わなかったぞ。
ぽかんと驚きながら目をぱちくりさせる彼女。
こらこら、もう一度復唱しなくても良いだろ。ここまで自分の思いが届いていなかったとは、親友の手前隠してきた事もあるが流石に傷付くな。

「……。私もリクのこと、」
「そういう意味じゃない」

お前が言おうとしているのは友情の方だ。

「……。ごめん、私……」
「知っているさ。カイリの気持ちも、ソラの気持ちもな」
「え、じゃあ、どうして……」
「自分の気持ちに決着を付けたかったんだ。どうしても。ごめんな、俺の我がままに付き合わせて」
「それは……、謝る事じゃないよ」
「そう、だよな」
「うん」
「こんな事があってすぐに元通りになるとは思わない。だが、俺はこれからもお前達とは友達として付き合って行きたいと思っている」
「私も、だよ」

そうは言っても、何日かの間は気まずくなるのだろう。
この後の事も含めてだ。
分かっていて選んだ事。後悔はしない。

「後でソラに呼ばれているんだろう?」
「なんだ、リクには全部お見通しってこと?」
「ソラの様子を見ていれば分かる。あいつの右手と右足を同時に出している姿を見たら笑えるぞ」
「なにそれ、見たい」
「カイリ、ソラと一緒に幸せになれよな」
「もう、リクは分かってないな。あのね、言っておくけど、私達の幸せはリクが幸せにならないと駄目なんだからね。覚えておいてよ」

効果音で表すなら「ビシッ」だろうか。彼女はそう言い残してから去っていく。
その背中を見送りながら俺は苦笑した。
駄目だ、全然違う。分かっていないのはカイリの方だ。俺の幸せはお前達の幸せなんだよ。
それだけで、俺は生きていられる。
だから、幸せになれよ。ソラ、カイリ。






リクは自分の幸せ=二人の幸せになっちゃっているイメージがある。それは、島を滅ぼして、二人に迷惑を掛けてしまった負い目から、償いの為に必死に元に戻そうとしていくうちに根付いてしまった気持ち+自分は幸せになる資格がないと思い込んでいる事から。リクが自分の幸せを自分の目で見つけるには、戦いが終わってからなんじゃないかなぁと想像。ソラとカイリの真の幸せはそれぞれ他の二人も幸せになる事だろうから、リクの願う二人の幸せもその先にある。


12.11.22
//幸せを願う