memo


猿より馬、おまけに鹿

2023/10/24(Tue)
当て馬な真田

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合宿にかち合うなんて最悪。
どうせ毎月来るんだから少しは気を使ってくれてもいいのに。

「ん、どうした?しかめ面とは珍しいな。」

あの鈍感な真田に心配させるぐらいやばいのか。
昨日雨だったせいもあって頭の痛みも最高潮だったのもよくない。
これから練習メニューこなさないとだし気を引き締めないと…。

「ごめんしんp」

「顔が猿みたいになっているぞ。」

「は?」

「感情を制御する事も試合では必要だ。
跡部と何があったのかは知らないがここは1つ大人になってだな。」

「うっっっさいっ!このクソオヤジ!!」

「なっ!!!!おいっ!瀬戸口!待て!瀬戸口!」

高校生になって女子に気を使えるようになったのかと思って少し感動すらした気持ちを返せ!
感情の制御なんてクソ食らえと言う気持ちを込めて裏太ももに1発蹴りをぶちこんだ。

「…瀬戸口。」

「うるさい。」

「待ちんしゃいって。」

「着いてくんな。」

真田に蹴りを入れたとこを見られたのか仁王が追っかけて来た。
こっちは使いたくもない力を蹴りに使ったせいで
さっきよりお腹が痛い気がしてイライラしてるんだからほっといてほしい。

「おまんはほんと手のかかるじゃじゃ馬じゃのう。」

「だったら関わらなきゃいいでしょ!
人の事猿だ馬だって失礼な事言ってるけど私はあんた達に関わりたくて合宿に参加したんじゃないの!
ちやほやされたいならストーカーみたいにつきまとう可愛らしい女の子達に頼んで!
その子達なら今のあんたにお似合いよ!」

「少しは落ち着きんしゃい。」

余裕そうな仁王の顔が余計に腹立たしい。

「ふんっ。」

「話しはまだ終わっちょらんて。」

「離して!私は話しなんてな、あっ、」

掴まれた手を振り払おうとして一歩踏み込んだその足が滑った。
跡部が手配する合宿所はどこも綺麗で使いやすいけど洗練された石畳はとてもよく滑る。
前日が雨だとそれはもう思いっきり。

『チュッ』

足を滑らせるなんて非常事態だった。
走馬灯が見えるような感覚で悠長に脳内で跡部に文句が言えても事を理解しているわけじゃない。
体は咄嗟に自分を護る為に動いてしまう。
だから私は支えようとしてくれた仁王を掴んでしまった。
それで、引っ張って、仁王も引っ張ってくれて、転ぶ事はなくて、それで、それで…
ダメだ、理解が追い付かない。
理解が私の代わりに転んでる。

「足は?捻っとらんか?」

「う、ん。」

「これで少しは頭も冷えたじゃろ。
やけど温めるのも大事じゃき、ほれ。」

「え、コンポタ?」

ゆっくりと離してくれた仁王は私の手にコンポタ缶を握らした。

「気休めじゃが何もせんよりはマシじゃと思うきに。」

私は間違いなく馬だった。
ついでに鹿でもある。

「まぁ、それ飲んで気張りんしゃい。
特別なお礼も貰えたけ、追いかけんのも悪くないのぉ。」

「仁王、」

「これは2人の秘密じゃよ。」

余裕そうな仁王はやっぱり腹が立つ。

「あぁ、もう…ほんと最悪…。」