陽炎に欲情
降り注ぐ蝉時雨に思考がぼうとする。眼差しは縫い付けられたように小さな横顔から離れない。小麦色の肌の上を、つう、と一つ汗が流れた。
「……先生?」
ふと、振り返った彼女が首を傾げ、それからあっと短く声を上げた。反射的に動いた腕を、小さな手が掴む。ふっくらとした唇が開いて、今まさに彼の手の中で溶けて落ちようとしていた氷菓を呑み込んだ。どろり。桃色の舌先が僅かに覗く。顔を上げた彼女はうすらと笑った。
「……ねえ、今。何を考えてたの?」
汗で張り付いたセーラー服が眩しい。白衣の袖で顔を覆うと、放っておいてくれとぶっきらぼうに呟いた。
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