Odei

汚泥/メモとクソ

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葛駄楼
 随分と。随分と僕も人間みたいなことを思えなくなってしまったものだなあ。夜音さんにお茶を淹れる。夜音さんの中にある不審は、僕に向けられることはないだろう。ひとつも疑わない。
 僕が鬼になっていることだけが彼女の真実だ。だから、きっと大丈夫だ。僕は君から、痛いを消してやろう。

 痛いよ、痛い。たすけて、たすけて。声に出している、つもりなのはぼくだけだ。誰にもこの叫びが届くことはない。焼かれる。叩かれる。折られる。臓物を潰すように。生あることを忘れるように。嘔吐するものもない。食ってない。いつからだ。わからない。なんでなんで、あれ、あれ?

「痛く、ない?」

 君の目がいつ白くなったか覚えているかい。目を片方は酸で、片方は炎で焼かれたときだ。
 君の髪がいつ白くなったか覚えているかい。首の折れるほど引き回され、そのまま泥に浸された日だ。
 君の肌か、血が、肉が、まっさらになったのは、

「楼くん、ぼくは死ねるのか」
「あはは、そう、生きてくれよ」



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