▼ ▲ ▼


Something Blueの続編です。
台本というよりメモに近い流れで、小説に書かなかった以降の流れを書いています。
前後がわかりにくいところも多々ありますが、ご興味ございましたら目を通してくださるとうれしいです。







違和感をずっと抱いている彩海。
焦凍も前を向いたはずなのに、もやついている自分に気が付く。
上手く言語化も出来ず誰にも言えないまま焦燥感を抱いて過ごす。

八斎會騒動が始まる前、冷の見舞い帰りに荼毘に会う。(忘却リスタート)
思い出しかけていた記憶がまた消される。
インターンでは父であるポセイドンのところに参加し、水流操作の勢いをサイドキックたちに褒められる。
特に火力が強い。どうやって特訓したんですか?とポセイドンに聞くサイドキック。
「俺は特に教えてないんだわ。逆にどうやったのか知りたいねえ」
父の発言にもやが深まる。普段のようなおちゃらけている様子はない、問いかけるような目の父。
私はどうやってこの個性を磨いたの?
深まるもやつき。いらつき。
思い出したいのに何かに邪魔されて思い出せない。記憶を封じ込まれている。

9月 文化祭。
彩海のクラス2-Aはお化け屋敷。ホラーが苦手だからミスコン参加と受付のみで免除してもらえることになる。
1- Aのライブに参加して感動し楽しむが、心の中で誰かが囁く。
『よかったな。お前だけは楽しめて』
心の底から楽しめない。1人おいてかれてたような感覚。
「あなたは、誰なの。私の心にずっと棲みついて離れないあなたは一体……」
集中力が途切れミスコンはうまくパフォーマンスできずに終わる。
心配した焦凍に声を掛けられ泣いてしまう。
「どうした?」と聞かれても本音を打ち明けられず、うまくパフォーマンスできなくて悔しかったとごまかす。
「来年頑張ればいいだろ。綺麗だった」
素直に褒めてくれる焦凍に本当のことを言えなくて罪悪感を覚える。また泣いてしまう。
「ごめんね」
「なんで謝るんだよ」
「ごめんね……」

八斎會騒動でインターンも中止となり、空いた時間で街に繰り出した。
何を探しているかわからないけど止まらずにいられなかった。
そしてたどり着く。少女との再会。
悲鳴にも似た警報のようなものが頭の中で暴れまわった。
頭が痛む。目がかすむ。でも止められなかった。
藁に縋るように少女の手を掴んで叫ぶ。
「あなたは……誰なのッ……!!!」
普遍的な少女は驚くように一瞬目を見開いて、でも細い息を吐いて言った。
「あなたが思い出すべきは私じゃない。心に従うの。その強い思いがきっと救うはずだから」
自然と掴んでいた力が緩む。
少女は逃げもせず、真っすぐ彩海をみて言った。
「再び始まりだしたら、私を呼んで。きっと、あなたたちを紡いであげる」
少女から小さな切れ端のメモを渡される。
手書きのID番号。
気が付けば喧騒に少女はまぎれて消えた。

勧誘と称して人を殺しまわる荼毘に少女が再会。
「あなたたちはすごい絆で結ばれているのね」
その言葉に表情を変える荼毘。
「余計な事をしてねえだろうな」
「するわけない。ポリシーに反するし。でもきっと、彼女はあなたを思い出す」
荼毘の瞳が揺れる。
「その時は近いうちに来る。あなたたちの本当の再会の日が」

エンデヴァーがハイエンド脳無に勝利したTV報道で荼毘が映る。
炎が映った瞬間、涙が伝った。

全部思い出した。
全部、全部。
私には幼馴染が4人いた。
その中で一番私がなついていたお兄ちゃん――……燈矢くん。
「あなた……だったんだ」
荼毘=燈矢だと気づいた瞬間。

その後、エンデヴァーを労わると称した轟家の会食に呼ばれる。
冬美の手伝いをしながら、仏壇の前でふと立ち止まる。
燈矢の事をすべて思い出した事を悟る。
私は見た。ここで彼の死を。
ゆるやかに死に急ぐ彼の命を繋ぎとめようとした私を、彼は断罪したのだ。


幼い頃、焦凍と遊べない間面倒を見てくれていたのが燈矢だった。
面倒を見ていた、というより彩海が勝手に懐いてついていく、という表現が正しかった。燈矢はめんどくさそうにしているものの、長男ゆえの面倒見の良さで彩海を次第にかわいがっていく。
心を許し本音も話すようになり、彩海は燈矢の父に対する思いの理解者になっていた。

個性の特訓も付き合った。
彩海の個性の発現を見たのも、個性の伸ばし方を教えてくれたのも、すべて燈矢。
彩海の一番の理解者であるのも燈矢で、瀬古杜岳によく一緒に籠った。
彩海にとってはお兄ちゃん兼師匠のような位置づけ。
燈矢にとっても妹みたいな存在。
焦凍と遊べる時間があるときはそっちに行くのが正直面白くなかったが、大して気にしないようにしていた。

冷が焦凍に熱湯をかけて火傷をした。彩海も庇って火傷を負ったが、実はすぐ治った。
肩の本当の火傷の原因は燈矢によるもの。
後日、エンデヴァーを待って瀬古杜岳で炎上した日、燈矢を追いかけて山に入り負ったもの。
彩海は記憶が混同していて、傷が残ると医者に言われたのは、山火事の事故後の記憶だった。
両親が轟家に火傷をごまかしていた理由も、死亡した燈矢を想起させてしまうと思ったから。
少女の個性――忘却により記憶の小さな掛け違いが起きていたと気づく。

3年後、轟家の仏壇の前で手を合わせる男を見つけ、燈矢だとすぐに気が付く。
大号泣する彩海。
「お前だけだ。いつも俺を見てくれるのは……」
優しく抱擁する燈矢。彩海への思いがより複雑な愛に変わった瞬間だった。

その後も周りに秘密で会う2人。
以前よりもより拗れた燈矢をどうにか立ち直らせようと頑張る彩海だが、逆効果。
ヒーローじみていく彩海に憎悪を抱く。
「知ってるか?人魚ってのは不幸の象徴なんだ」
全部が彩海のせいだと罵る。彩海が刷り込まれていく。
「お前は誰も幸せにできない」
燈矢の中に残るのは無邪気に慕ってくれていた少女のころの彩海。
燈矢を、焦凍を、轟家を救いたいと願い前を向く彩海は嫌い。

雨が降る日、2人で傘に入り、彩海が英雄に入る事を告げる。
感情が爆発して、罵る。
「お前が嫌いだ、奏出彩海」
キスをされ、ただ受け止める事しかできない彩海。
後日、燈矢に呼び出されて少女の個性で記憶を消されてしまうのだった。


すべてを思い出した彩海は少女のから受け取ったIDで彼女を呼び出す。
待ち合わせ場所で少女を待つ場所に現れたのは荼毘――燈矢だった。
「燈矢くん」
「……いまさら何しにきたヒーロー」
「ヒーローなんかじゃない。ヒーローじゃないよ、私は」
「そうだな。お前はヒーローじゃない」
頬をなぞる燈矢の手を振り払わない彩海。
ゆっくりと目を閉じる。涙が伝い落ちる。
「おかえり、彩海」
燈矢はキスをした。

歪んだ愛情とわかっていても振り切れない彩海。
間違ったこととはわかっていても、燈矢を見捨てられなかった。
燈矢の言う通りだ。
ヒーローになり切れるほど覚悟がなくて。
悪者になる勇気もなかった。
「偽善者」
その言葉がこんなにも似合うやつが、私以上にいるだろうか。

回数は多くないが、燈矢と逢引きを重ねる。
彩海の異変に周りも気づくが、頑なに認めない彩海。
インターンも再開するが参加せず、プレゼントマイクに師事をした。
歌声の個性を強化する目的。
彩海は決意を新たにしていた。
「燈矢くんを私が止める」
飽きもせずまた独りよがりに抱えこみ、解決しようとしていた。

燈矢とあった帰り道、呼び止められ声を掛けられる。
ホークスだった。拠点が九州のはずのヒーローがなぜここにいるのかと警戒をする。
「君がポセイドンさんの娘さんかあ。よく噂は聞いてましたよ。ポセイドンさん、君のことめちゃくちゃ可愛いって言いまわってますんで、有名で」
「ははは。父がいつもお世話になってます」
「いえいえ。こちらこそ」
警戒してその場を去ろうとする彩海に、含みのある視線を向けるホークス。


年明け。
冬美に呼び出され、インターン後のオリジン3名と一緒に会食する事になる。
張り切る冬美の手伝いをする合間、夏雄に彼女が出来たと聞いて喜ぶ。
色々と質問攻めをする彩海に照れ隠しから「そういうお前は焦凍とどうなんだよ」と聞かれ、微笑み返す。
夏雄には余裕のある顔に見えたが、実は決意を固めた笑顔。
焦凍に2人きりになった際「話があるの」と告げる。

冬休みが終わる前、焦凍に別れを告げる。
理由はヒーロー活動に専念するため。恋愛に没頭しすぎてよくないと気づいたと、それっぽく聞こえるような言い訳を伝える。
「バイバイ焦ちゃん。大好きだったよ」
納得しない焦凍を振り切り、一方的に別れを告げる。


3月下旬。敵が潜む山荘に奇襲を仕掛ける前方組に配置される。
燈矢が山荘にいる事は知っていたから自ら志願した配置だった。
ホークスと荼毘の戦闘に混戦。
ホークスを援助するようにみせて、攻撃する。
遅れて入った常闇に驚かれる。
「やはり…お前が内通者だったのか」
ぼろぼろのホークスが言う。彩海に目を付けていたというホークス。
「内通者なんて安っぽいもんじゃねえ。こいつは大事な共犯者さ」
彩海の腰を引き寄せる荼毘。
「な?裏切者」
「その言い方はやめて」
ホークス・常闇に攻撃する彩海。
ギガントマキアに荼毘と一緒に乗り、蛇腔病院に向かう。
死柄木のところに到着し、仲間たちを見下ろす。

「何やってんだよ、お前……何やってんだ!!彩海!!」
焦凍が叫ぶ。
「なんだあ?喧嘩中か?」
彩海の肩を抱きならぶ荼毘。
荼毘が燈矢であることを伝えて呆然とした2人に「お前だけだったなあ、俺に気づいたのは、彩海。本当に大した女だ」
荼毘ダンス後、一緒に戦うと見せかけて燈矢に対峙する彩海。
「燈矢君、あなたを止める!!そのために私は、ここまで生きてきた!!!!」
「うるせえ尻軽女ァ!!」
個性で応戦するも、炎の勢いに負ける。
髪が燃え、肩ほどの長さに短くなる。
「よく似合ってるぞ、彩海」
少女のころの長さ。6歳のころと同じぐらいの髪の長さになった彩海。
「これで穢れはなくなった」
更に炎を浴び、下に落ちる彩海。
そこで記憶が途絶えた。


目を覚ますと病室。
全身にやけどを負い、髪も短くなっていた。
裏切りもの。内通者として隔離されているため、錠がはめられている。
「彩海」
部屋に轟家一行+ホークスとジーニストが現れる。
そこには冷の姿も。
ホークスに燈矢との関係を聞かれ、話し始める。
9歳の時、仏壇の前で燈矢に再開した事。
記憶を消されていたが思い出し、その後も燈矢とあっていたことを全部告げる。
「彩海ちゃん……ごめんなさい。燈矢を支えてくれてありがとう。でももう、あなただけがすべて背負わなくていいの」
その言葉に涙が溢れだす彩海。
「私こそごめんなさい。独りよがりになんでも抱え込んでごめんなさい。燈矢君を救わなくちゃみんなに顔向けできないって思ってた。また間違えちゃった」
「間違えてもいい。迷ってもまた前を向ければいい。それを教えてくれたのはお前だろ、彩海」
焦凍の言葉に更に泣き崩れる彩海。
そんな彩海にぽつりと、
「だからお前、別れようと言ったのか?」
爆弾発言を落とす焦凍。一同ぽかーん。
「僕たちお邪魔、かな!?」
高速スワイプで打ってしゃべるホークス
「邪魔じゃないです」真顔で返す焦凍。
「焦ちゃん、なんでいまここで、そんな話するの!!」
ふっと笑う焦凍。
「やっと彩海らしくなった」
きょとんとする彩海。
「なに、それ……」
思わず笑う彩海。つられて場が和む。
皆が病室を去る最後、焦凍が残って告げる。
「全部が終わったら。お前をまた迎えに行くから」
病室のドアが閉まる。再び涙があふれる彩海。


最終決戦。
怪我がひどく前線には出ず、避難民たちの警護にあたる彩海。
轟家の3人と一緒にいる。
荼毘が覚醒し、爆発の炎に向かって冷が駆け出したところ、一緒に向かう。
家族みんなで爆発する燈矢を止める中、後ろで支える彩海。
歌いながら、雨を操って氷結をサポートする。
歌声はみんなの個性のサポート。個性の力を上げるため。

私の個性は人魚。
人魚は不幸の象徴じゃないって、私の事、ヒーローだって、言ってくれた人がいたから。
私はあなたのヒーローにもなりたい。
ううん。なるよ。燈矢くん。

私たちみんなで、あなたを救うから。

焦凍到着。燈矢が止まる。


最終決戦終了後、燈矢の隔離された部屋に一人の少女がいた。
穏やかな歌を歌い続ける。
彼女は昔の記憶を辿る。

「彩海の声には不思議な力があるな」
そう褒めてくれた燈矢の笑顔を胸に抱いて。
彩海の個性が初めて発現したあの日の思い出を。
父の個性より先に発現した、母の個性を見つけてくれた、燈矢との記憶。
まるで昔の思い出を懐かしむように2人は一緒にいた。
鮮やかな音色に色泥られた空間を、最期まで過ごして――……。




8年後、雄英に一人の教師がいた。
「奏出先生!じゃなかった……轟先生!」
呼ばれた彼女は振り向く。
「先日は素敵な式をありがとうございました!」
「いえ。こちらこそ忙しいのに来てくれてありがとう。でも今まで通りメールブルーとか、奏出先生でいいよ、緑谷先生」
「いやあ、なんだか感慨深くてつい。そう、式の時の写真ですごくよく撮れたやつがあったので、印刷してきたんです。よかったら」

緑谷から手渡された写真に納まる2人はとても幸せそうに笑っている。受け取った彩海もまた、それ以上に溢れるように笑っていた。

fin


その後のお話