SSおきば
※:性的描写あり17.02.06
相方くん×ヨリ ※if
おいしい朝ごはんの話
恋人である彼が済んでいるアパートに居候するようになって数週間が経過していた。今まで空き家を転々としながら生活を送り、時々幼馴染が経営している銭湯に転がり込んではタダ飯を食らい、電卓で今までのツケ合計額を悲痛な表情で訴えながら背中を叩いてくる彼に苦笑を漏らしつつ退散し、本格的に財布の底が見えてきた時は知人に仕事を紹介してもらってはカネを稼ぐという固まった生活のサイクルは一瞬で崩れ(幼馴染の店にはちょくちょく顔を出すようにしている)、気付けば一日の半分はこの部屋で過ごすようになっている事に自身でも驚きを隠せない。
傍から見れば、所謂世間で言う同棲という形に落ち着いているのだが、切っ掛けは些細な事で彼が普段から不思議に思っていたらしい自身の生活状況においての話題が出た時の事だった。
「アンタの家はどこだ」
「は? そんなのないけど」
「…ない、だと…」
銭湯の休憩所で何気なく聞かれた質問に何気なく答えたつもりの返答内容がどうやら想像を超えていたものらしく、その後は厚く伸し掛かる威圧感のせいもあってか、根掘り葉掘りと問い質された事項に素直に答えていくにつれ表情も段々と険しくなっていった(死ぬほど怖かった)。最終的にその日から彼の住むアパートで一緒に暮らす事を勝手に決めつけられ、大したものはなけれど銭湯に置かせてもらっていた自身の荷物を回収し(幼馴染は至極嬉しそうにダンボールへと纏めてくれた。何故か涙が出そうになった)、お世辞にも広いとは言えないアパートの部屋の中で過ごす男二人の共同生活が唐突にも始まってしまったのだった。
とにかくいつでも手持ちはなかったので(普段の元々の稼ぎが少ない)生活費はほぼほぼ彼が全額負担だった。正直なところ年上である以上、十以上も離れている若者に養ってもらうのはさすがに抵抗があり、せめて自分に使うカネだけでもなんとか工面しようと最近は暇さえあればホクサイ・ヒューを肩に担いではナワバリバトルへと足を運んでいる(現在、売春禁止令が発令されている為、軽率に最終手段に手を出してしまうと死よりも恐ろしい刑を科せられる。前科あり。しばらく思い出したくないくらいしんどかったので出来ればバトルだけの稼ぎでなんとかしたい所存)。
「うっし。じゃ、今日もちょっくら行ってく…」
「待て」
「あ?何で」
「いいからそこに座れ」
颯爽と家を出ていこうと壁に立てかけてあったホクサイ・ヒューを手に取った瞬間、台所からひょっこりと顔を出した彼の声に制止され、不思議に思いながらも渋々ソファーベッドへとそっと腰掛ける。出鼻を挫かれてしまった事により少々気分もよろしくなく、待たせておいて再び台所へと消えてしまった大きな背中に苛立ちが生まれ危うく舌打ちを零しそうになっていた頃だった。
(…おっ。なんだ、この匂い)
ふと鼻腔をくすぐるような匂いがゆっくりと漂い始めていた事に気付き、そっと視線を台所の方へ向けてみればいつの間にかお盆を持ってリビングへと戻ってきていた彼が目の前のテーブルへ次々と湯気立つものを並べていった。
「せめて食ってから行け。倒れるぞ」
「えっ、あ…お、おう。あん、がと…」
ほかほかの炊き立てであろう、お椀へ山盛りに盛られたぴかぴかと光を帯びた白いご飯とかつおの香りが仄かに昇る大根の味噌汁、そしてその奥に置かれたのはこれまた美味しそうな塩鮭の切り身と白菜の漬物だった。そういえば昨日もバトルに疲れ果て、帰って来た途端に惰眠を貪っていたせいもあり夕飯も食べずに朝を迎え、腹を空かせていた事も今になって思い出したところだった。いざ、美味しそうな匂いを醸し出す料理を目の前にして食欲が生まれないはずもなく、そっと見上げた先の無表情に今の気持ちを訴えては小さく頷かれたので、手渡された箸を受け取った直後、いただきますと一言呟いてはすぐさまあつあつのお椀を手に取った。
「う、うまっ…い」
「そうか」
「…あ、いや、その。まぁまぁだ! まぁまぁ」
身を崩した鮭を一つまみ掴んでご飯と一緒に箸で挟んでは口の中へと放り投げた直後、素直な感想を無意識なままに零してしまったものだから慌てて訂正をしたものの、きっと彼にはすっかりばれてしまっている事だろう。諦めにも似た感情を胸に帯びては小さく溜息を吐きながら、隣りに腰を下ろして同じものを食べているエプロン姿のままの彼を他所に、止まらない食欲がどんどん並べられたおかずへと手を伸ばさせていく。
「ごっちそーさま! でした!」
「…よく全部食ったな。余程美味かったのか」
「うっ、え、と…は、腹、減ってたんだよ!」
「そういう事にしといてやる」
「何だよ、それ…ったく。で、でもまぁ…その、美味かったのは…本当、だから…」
付き合う前からぶっきら棒な態度を取り続けていたものだから、呆れる程未だにつっけんどんな返し方しか出来ずにいて、情けないくらいに力なく床へと落とした言葉は尻すぼみに溶けて消えていく。
からっぽになった食器を流し台の方へと片付けて、沸々と生まれ始めた照れ臭さから逃げ出すようにホクサイ・ヒューを乱暴に掴んでは玄関へと繋がる廊下へ足を踏み出したその時。
「な、んだよっ」
後ろから腕を捕まれそのまま無駄に広く大きな胸の中へとすっぽり抱き留められた体、腰へと回る筋肉質な両腕ががっしりと自身を包み込むと、項に寄せられた唇が小麦色の肌へと吸い付き、ぴりりと微かな痛みが帯びて思わず小さく声が漏れた。
「あっ…く、も、離せッ、アホ…!」
「…いい、匂いがする」
「ひ、あぁっ! この、老け顔ッ…朝から、盛ってんじゃね…!」
ぼろぼろのロッケンベルグTブラックの裾からスパッツの中へと手を差し込んで、既に固くなりつつある自身をゆっくりと握っては上下に扱きあげ、その間にも耳元で熱の籠もった名を呼ぶ声が脳内でぐるぐると響き渡っては意識にぼんやりと靄を掛けていった。
「ん、うぅっ…は、あぁあ! う、しろ…ンなの、当てんなっ…」
持っていたホクサイ・ヒューが音を立てて床へと倒れ真っ白な太い毛先がふんわりと揺れる。
右手で陰茎を扱き上げ、もう片方の手でするすると胸を撫でるように滑り込ませ、指先で弾くようにぷくりと浮かんだ飾りを弾けば、自分の意識を無視してその度に両肩が跳ね体が小刻みに震える。どうにか制止をしようにも力では到底勝つ事も出来ず、腕を引き離そうと試みるも敵うはずもなく、それどころか流れるように捕まっては片手で一つに纏められた両腕が背後へと回されてしまった。
臀部の間にぐりぐりと押し付けられていた彼の大きく膨れ上がっていた陰茎が今度はスパッツ越しに手の甲に触れ、首を横に振りながら必死に嫌だと訴えるもその控訴はすぐさま却下された。それどころか、彼はとんでもない要求を乱れた呼吸もそのままに訴えてきたのだった。
「…早く、触れッ」
「な、に、言って」
「もう、待てない…ヨリッ…!」
びきびきと浮いた血管が無言にも自分へと訴えているような気がして、ごくりと喉を鳴らし息を呑んで、大きく深呼吸を吐いては恐る恐るその太すぎる陰茎を手のひらでしっかりと握り返した。
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