SSおきば
※:性的描写あり19.04.25
シナトくん×ヒカタくん ※
からあげそぼろ漬物丼の話
自分には今まさに悩んでいる事が一つある。悩みというよりはひとり静かに自分自身と戦っていると表現したほうが正しいのかも知れない。
珍しくお互いにオフの日が重なり、しかし仕事による疲れもあってか何処かへ出掛けるよりも家でゆっくり二人で過ごそうと決めたのは昨日の夜。何かする訳でもなく午前中はだらだらと布団の上で過ごし太陽が真上に昇りきった頃にようやく動き出したかと思えば、未だ目を擦っているヒカタは寝間着のままゲーム機の電源を付け、腹が減ったと一言溢してからは以降テレビ画面から目を離す事はなかった。
彼が自分に対して素っ気ない態度を取るのは今に始まった事ではなく、寧ろ自然体に近い為、今更どうこう思うところではなかったけれど普段以上に低いテンションにどうやらかなりお疲れなのだろうという事だけはすぐに理解した。
(今日はヒカタの好きなもの、たくさん作ってあげようかな)
そう奮起した直後、自身のお腹の音が情けなくぎゅるりと部屋に響いた。二人して見事に寝過ごしたので朝食は勿論昼食もまだ食べず仕舞いだったので、昨晩のおかずの残りも使って大盛りの丼でも作ってやろうと奮起しキッチンに並べた材料の数々を眺めていると、背後で何やら荒い息遣いが聞こえ始め不思議に思ってふと先程までいた居間を見渡せば、あろう事かそこにはゲーム機のコントローラーをそれぞれの手に持ったヒカタがテレビ画面に向かって拳を突き出していた。
「何やってんの?」
「…こないだ出た新作。試しに買ってみた」
菜箸を片手にそっと覗き見るとそこにはフットボクシングを模したスポーツゲームで、実際にプレイヤーも合わせて体を動かす最新鋭のソフトらしく、意外にもそういったジャンルも好むヒカタは気分転換にもなるのか、仄かに汗を描きながら目の前の画面に集中していた。あれだけ具合の悪そうに見える程腹を空かしていたはずであったのに、趣味に没頭するとこうも輝きを取り戻すものかと感心していたまでは良かったが、こちらにとっては正直言ってその光景はあまりにも心臓に悪かったのだ。
(うっわー…えっろい)
激しい動きで体が熱くなったのか、いつの間にか上半身は何も着ていない状態、しかもその項から背中にかけてたらりと流れる透明な汗、始めたばかりとは思えない俊敏な動きでゲームについていくヒカタのその姿はまるで真剣な眼差しでリッターのスコープを覗き込むバトル中の彼の表情と重なり、自然と自身の頬に熱が籠もっていくのが嫌でも分かった。
無意識のままに持っていた菜箸をシンクの上に置き、集中しているのか彼の背後にそっと近寄っては肌を撫でるように脇腹へ右手を滑らせ、その流れで背中を包むように抱き締める。危うく激しい動きの流れで肘打ちを食らいそうになるもなんとか寸前でそれを避けては、想像していた通り不機嫌そうな表情を浮かべたヒカタが振り向き、今にも文句を吐き出されそうになった直前に思わずそれを抑え込むよう咄嗟に唇を押し付けた。
「んっ…うぅ!」
かちゃりと音を立ててヒカタの手から落ちる二つのコントローラーを他所に、そのまま正面を向かせては引き寄せるように背中へ腕を回す。そして僅かな隙間からにゅるりと舌を差し込み、口内で絡み合い狭い部屋の中で響く水音にゆっくりと体の力が抜けて腰を落とす彼を支えるようぐっと脇の下を持ち上げた。
「ばっ、ちょ…おい、このッ!」
寝坊をしたおかげで未だ布団を敷きっぱなしだった事に気を良くしながら、右肩に担ぐような形でヒカタを持ち上げ寝室へと運びそのままごろりとうつ伏せにゆっくりと寝かせると、見下ろしたその先には眉間に皺を寄せ、如何にも怒っていますと言わんばかりにこちらを睨み上げる彼にそっと口角を上げたのだった。
「テメェ、この…何考えてんだ、クソピンク。寝すぎて頭沸いてんのか」
「まぁ、そういう事にしてくれてもいいけどね」
「ふざけんな! こっちは貴重な休みをンな事に費やしたくな…っ、あ、っく」
体は正直なくせによく言う、なんて言ってしまったら本当に不機嫌になって手が付けられなくなると思い、ぐっと堪えては溢してしまいそうになった心の声をなんとか飲み込んだ。
しかし、そもそも自身が発情してしまった原因が目の前にいる時点で余裕などある訳がなく、体勢を低くし這うようにヒカタの上半身に顔を近づけてはぷくりと膨らんだ薄桃色の突起をすぐさま口に含んでは、舌先でころころと撫で上げながらそっと視線を上げればじんわりと頬を染め、唇を噛み締めながらふるふると小さく首を振っていた。
「は、ぁっ…く、んうぅ! やめ、ばかっ…!」
「…んっー、ちゅっちゅ。はむはむ」
「ひ、あぁ! 噛むな、このクソボケ!」
「いっだい!」
刺激を与えれば与えるほど膨らみが増してゆくヒカタの乳首にちゅっと音を立てて吸い付けば、さすがに怒りを買ったのかぶるりと体を震わせた後、股間に強烈な衝撃を食らい思わず叫びを上げると、少しばかり呼吸を乱した彼がけらけらと笑いながらざまあみろと頬を赤く染めたままに吐き捨てたのだった。
「ゲームで鍛えた膝蹴りの味はどうだよ、この頭ン中花畑野郎」
「あっー…いででで。んもうヒカタってば、いつもそうやって俺の新しい扉抉じ開けてくるよねぇ」
「誰が何の扉抉じ開けたってェ!?」
「痛い痛い、あいたたた! ごめん、ごめんって! ほんとにごめんなさいー!」
痛いはずなのに何故だか胸の奥がどくどくと鼓動してしまう自身に苦笑しながら、未だに怒りが収まらないらしい彼のむちむちの尻の下に手を忍ばせてはスパッツの上からむにゅりと握り締めると、今度は顔面に飛んできた容赦ない拳に堪らず声を上げて笑った。
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