SSおきば

※:性的描写あり

16.02.13

ヨリ→マゴ+相方くん
遊ばれている話
 久し振りに顔を合わせる前から彼と親しげに会話を弾ませていた、店の常連客らしい自分より年下であるボーイの姿がやけに脳内でちらついていた。変に意識をして声を掛けるのも性に合わず、休憩所のソファーにどっかりと身構えて座っては廊下で話し込んでいる二人の様子を部屋の中からこっそり覗き込む。
 毎日とまではいかないが、夜中によく風呂へ入りにやって来る彼とは何かと気が合うらしく、会う度会う度小声で何かを話したと思えばあっさりと店を出て行き、幼馴染は幼馴染で満足気に小さく手を振り、終いにはにこにこと笑いながら欠伸をかましている。

(…なんか、気に食わねぇなぁ)

 話だけならまだしも時よりボディタッチまで含まれる場合もあるものだから、その時ばかりは思わず用事など有りはしないのにわざと幼馴染の名を呼んで側に来るように言った。どうやらそれによって無理矢理話を中断された彼は、少々機嫌を損ねてしまったのか後を追うように休憩所へと足を踏み入れると、隣に座った幼馴染の前へとしゃがみ込み、それを不思議そうに見下ろしているうちにぐっと彼の顔へ近付いていった力強い赤い瞳が、止める間もなく真っ白の柔らかい頬へと、まるで獲物へと犬歯を立てて齧り付くように。

「なっ…おま、ちょ、待っ」
「……ゴミ、付いてるぞ」
「へ? あ、ごめん。ありがとう」

 心臓がばくばくと震えて思わず出てしまった変な声に我ながら情けなくひどく意気消沈する。頬を撫でるように這った綺麗な指が掴んだのは、幼馴染の肩に付着していたと思われる灰色の埃の塊で。おそらく古い天井の隙間から落ちてきたのであろうそれを先で弾いてはゴミ箱へと投げ捨てた。

「たまには風呂以外も掃除しろ。住み込みバイト、存分に使わないと勿体無いぞ」
「ははは、ごもっとも」

苦笑を漏らしつつ小さく頭を下げると再び背を向け廊下へと足を向ける。直後、一瞬だけ此方を振り向いてがっちりと視線が合ったその瞬間、よく耳を澄まさねば聞こえない程度の酷く小さな呟きを落としては颯爽とその目立つ迷彩にとんずらされてしまった。

(…あんにゃろ、バカにしやがって…ぐぬぬ)

 無意味に恥ずかしい思いをしてしまった自分が恥ずかしい。にやりとさり気なく口角を上げて勝ち誇るように去っていったあの背中が憎たらしくて仕方がなかった。そんな苛立ちを募らせ無言のまま顔を火照らせる自分を横目に、クエスチョンマークを無数に頭上へ浮かべていた幼馴染が訳も分からぬままけらけらと笑っていたので、額に一発ぱちんと指を弾いてやったのだった。


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